第62話 その少女は何色か(前編)
「やはり来たか……まったく、忌々しい魔法少女どもめ」
ローブ姿の男性に関して詳らかに語るならば、事実に基いた捏造光景を挙げるのが或いは手っ取り早い。
「災厄の王……世界を滅ぼす、悪しき存在」
「そんなものを復活させるだ何て……黙っちゃいられないわ」
男性が行おうとする儀式を阻止すべく駆け付けたファーリーピンクとニアリーブルーが発言する内容はこの辺りだろう。
儀式がある程度進んでいれば災厄の王を誕生させる為に必要なもの――『デモンシード』が形成されていたが、そうなる前の段階で来た場面とする。
「こざかしい……」
苛立たし気な声と共に男性は周囲にあるものを掻き集め、ゴーレムを生成。
ゴーレムの素材となるのは「目の届きそうな範囲内にある実体」……マップ次第では石や砂に雪と様々だが人の背丈を大幅に上回る体躯を形成するだけの量があるものを対象に選ぶ必要が。
儀式の邪魔をしに来た魔法少女にゴーレムを嗾ける。
男性のゴーレム作成能力はその為に在り、男性自体が戦闘する為の能力は無い。
「こ、殺しちゃったの……?」
「何? 儀式を止めたかったんじゃないの?」
ゴーレムが倒されればローブ姿の男性を守るものは何も無い。殺人行為に躊躇の無いニアリーブルーが真っ先に男性をシアンの大剣などで貫くだろう。
デモンシードが形成されていれば、それを破壊すべく共闘状態は続いていただろうが……こうなれば意見が噛み合わぬ会話の応酬が続き、話の流れは何れ……。
「……やっぱりあなたとは考えが合わない」
「あら、奇遇ね。わたしも貴方の事が気に入らないわ……殺したいほど」
殺し合いの戦闘へと発展する事だろう。
一例は挙げ終えたとし、実際の場面である統合五日目にスキュラと遭遇し眷属達にもビームを浴びせる中で廊下への撤退を果たした、ふわふわ髪の女性に移ろう。
男性が前述のような存在だとふわふわ髪の女性は知っているのだが……先の戦闘で一切傷を負わなかった右腕の全体を眺め、思い出していた。
その右腕が根元から切り落とされた、あの日の事を――
参加者の目の前に現れてはその大きな武器で斬殺する『鋏少女』の噂が流れ始めてから幾らかの日が経っていた頃の森林マップにて。
丁度その話題を頭に浮かべていた、ふわふわ髪の女性が深い森の中で周囲を警戒しつつも漫然と突き進み……一人の少女と鉢合わせに。
フィールド内で見知らぬ参加者同士が遭遇し、交戦状態となる光景は頻繁に見られるが、この二人はどのような言動を取るべきか決め兼ね……互いに殺意を発していない状況だと感じた、ふわふわ髪の女性が切り出す。
「こーんにちわー……」
「え、あ……はい」
緊張感の無い緩やかな声を出して相手の油断を誘おうという思惑があったわけでは無いが……やや言葉を返した少女にはその側面が機能したようだ。
そんな少女の髪は鮮やかなオレンジ色で長さは程よく伸びたミドルヘア辺り……瞳の色はビリジアンだがシンプルなデザインながらも頭に被る白いカチューシャの方が特徴的か。
「どうしたのー?」
そんな少女が先程から敵意では無いものの自らへと視線を注いでいる事を強く感じていた、ふわふわ髪の女性がやんわりとした調子で聞いた。
「え、えっと……」
少女の視線の先にはふわふわ髪の女性の胸部があり、少女の膨らみが比較的以上には恵まれた部類である事を踏まえても……ふわふわ髪の女性の有する胸は常軌を逸した大ボリュームと言わざるを得ない。
本能的に見てしまうという主張もありそうだが、そもそも自らのサイズを圧倒的に上回る存在に遭遇するという事は野生動物の世界では死と直面するに等しい。
ネズミなどの小動物がネコやイヌなどと出くわせば、その体格差が如何に絶望的な事を意味するか……想像に難く無い。少女の視線が今も微動だにしないのはそんな理由が主立っていると推察可能であろう。
いつ出会うとも知れぬ自らを上回る能力者の存在。大抵のエネミーに至っては人の体躯以上……そんな事実を常日頃から意識しては怯えて過ごす少女には、小心者という形容が相応しくなってしまう。
今回は生命の危機を感じ無かった為、おおきいですね、と口に出す案が候補となるだけの余裕はあったが……少女はふわふわ髪の女性の周囲で浮く、青磁色の金属の方を言及する事にした。
「き、きれいな金属」
「まわるよー」
ふわふわ髪の女性の発言と同時に、周囲で幾つか浮いていた剣の形状に近い縦長の金属武器らしきものの中でも一番少女に近い物が刀身を軸に何度か横回転する。
ふわふわ髪の女性はマップの地形などを形成するオブジェクトを青磁色の金属に置き換える事が出来るが……一番小さいフィールドでもゲーム時間全てを効率的に使ったところでマップ全体の一割にも満たない結果になる置換速度と言えた。
青磁色の金属は変形だけでなく浮かべて動かす事も出来る為、他の場所で調達したものをこうして伴わせる事は容易。
浮遊操作を続ける上での重量と時間の制限は無いが青磁色の金属を扱う際は常にある程度の意識が注がれている必要があり……それは最早「視界内の青磁色の金属しか操作対象に出来ない」も同然か。
設置型側面が強い為、設置個所から離れがちな探索中は無防備なもの……それをふわふわ髪の女性は青磁色の金属を手元に幾つか置く事で多少は補っている。
性質そのものの変更は青磁色の金属が一切無くとも、初期設定に戻したり一枠のみ保持されるカスタマイズした既定内容を適用したりする事が常に可能。
次の言動を決め兼ねている少女はそもそも比較的近辺でのエネミーとの交戦に巻き込まれぬよう移動していたのだが……その情報をどう切り出すか以前に、こうして見知らぬ人物との会話自体が少女は苦手という事情も。
少女が、いい天気ですね、と言う案を浮かべ、ここが一貫して天候が晴れの森林マップである事を即座に思い出し棄却した、その瞬間。
ふわふわ髪の女性のピンクゴールドの瞳は背中から吹き飛ばされて来る人影を捉えていた。
白いワンピースに長いベージュ髪の女性という風貌で、どちらもよく血に染まっているが……両手で扱う事が前提となるほど大振りの真っ赤なハサミを持っている事の方が目を引くだろうか。
このまま吹き飛び続ければ小心者少女と激突しそうだが……ふわふわ髪の女性がその事実に気付いた途端――
忽然と言うにはやや残像を残すかのような……血だらけの女性の姿が瞬く間に消え行く様を表すのはそんな辺りだろうか。
少女はこの血塗れ女性の視界情報を自らの視界を維持した上で取得していたが、それが今では少女の視界のみに。
この条件でハサミを持つ女性が消えた場合、フィールド参加による強化もあり大した時間も経たぬ内に少女とは比較的離れたマップの何処かに再出現するが、それよりも早く……ハサミ女性を吹き飛ばした元凶がこの場に到着した。
「まだだ!」
追われるようにこちらに来た男性の姿もあったが、元凶は人の背丈を上回る大きさのハチの胴体にカマキリの鎌足二本が生えたようなエネミーの方。
掛け離れている形状要素は多いが色の分布に関してはスズメバチとよく似ており黒に当たる部分が紫で黄色部分が青……そんな二色の詳細を少し言及すれば互いに寄った色合いの為、縞模様部分では同化現象が見られる。
所々ながら金色部分が左右対称にあり、鎌足部分に金色が集中している事を除けば面積比は三色の中で最も少ない……外骨格から成る全体の質感は光沢をある程度抑えた金属のよう。
ハサミ女性がこの『鎌蜂エネミー』と交戦を始めた頃から男性は両手にある二振りの手斧の間で成長する玄武岩らしき外見の石に意識を注いでおり、今や人間の子供並みのサイズに。
そんな男性がふわふわ髪の女性と少女のいる場所まで合流したと主張出来るほど近付いて来た頃に「うっし」と呟くや、
「待たせたなぁ!」
威勢のいい叫び声と共に男性は生成した玄武岩を自身に追従させるのをやめ……それにより宛も迫り来る鎌蜂エネミーへと発射されるかのような光景に。
「喰らいやがれ!」
男性は生成した玄武岩状のものをその体積に応じて火薬が詰まった爆弾へと変化させるや、起爆。
っと!
ふわふわ髪の女性が心の中でそう叫ぶと共に浮遊させていた青磁色の金属を薄く延ばして行き自身と傍にいた少女を包み込む……少女からは右手を突き出し金属の防壁を展開するふわふわ髪の女性の姿が映った事だろう。
爆弾は男性の能力による生成物であり、それによる爆風も能力の生成物の場合が多い……青磁色の金属はエネルギー要素の高い能力の生成物によるダメージを受けない為、爆風による被害は完全に防がれる形となった。
森の真っ只中で起きた爆発の為、視界が青磁色の金属で覆われていようと木々の揺れ具合で収まったかどうか判断出来るが……前方の金属に意識を集中させる一環で突き出した右手をそろそろ下げるかふわふわ髪の女性が検討し始めた、その時。
ボディ左側に大規模な爆撃を直に受けた際、上空へと吹き飛び回転と速度を得ていた鎌蜂エネミーの左鎌足部分がふわふわ髪の女性の目の前に落下して来た。
青磁色の金属は能力で生成された物理的な干渉要素の強い武器による攻撃は反射性質があろうと受け付け……エネミー本体も基本的にそれと同じ扱いに。
前述の通り青磁色の金属は薄く延ばして展開しており、強度を向上させていない青磁色の金属の硬さは鉄程度……薄い布でも裂くかのように回転落下して来た鎌足がふわふわ髪の女性の右腕を断つ余力は充分過ぎるほど残っていた。
青磁色の金属は既存の全体量を消費する事で指定された範囲のみの青磁色の金属の強度を一時的に向上させる事が出来るが……少し上げるだけでも、かなりの量が必要となる。
爆風のみ防げばいい場面だと思っていたふわふわ髪の女性が鎌蜂エネミーの鎌足左部分が丸ごと飛んで来るという想定外の事態に遭遇する中、男性はその場に伏せる事で爆発から逃れようとしつつ爆音が収まる頃合いを見計らっていた。
まだそうとは言えぬ頃、男性は背中に異物感を覚え、激痛を認識するや何かが引き抜かれたような感触……起き上がってみれば左の鎌足部分が根元から無くなった鎌蜂エネミーの姿が間近にあった。
男性と女性二人の距離に関しては近くではあるが攻撃するなら飛び道具が欲しくなる程度と言ったところ。痛みで顔を歪めている男性だが……。
ちぃっ……あの爆風の中から攻撃して来やがったのか!
男性が心の中で吐き捨てるようにそう叫び、男性を突き刺したばかりの右鎌足を伝う血が今にも滴り落ちようとしていた矢先。
鎌蜂エネミーは男性目掛けて雷魔法と形容可能な能力の生成物を男性の頭上から垂直に放ち……それに対する反応が満足に見られぬまま男性を直撃した。
この雷は爆発範囲が狭まった上で威力が増加する効果が付与……派手な見た目ではあるが一度直撃しただけでは致命的とは言えない威力。この雷を鎌蜂エネミーは連発可能で自らを檻で取り囲むかのような本数を一度に放つ場合も。
「ぐっ……がっ」
男性は既に背中に重傷を負っていた為、ダメージは最早身動き出来ぬ程蓄積……呻き声を上げる事が関の山の中、鎌蜂エネミーが残る右鎌足で弧を描くように斬撃を振るい……男性の胴体は断たれる事となった。
ふわふわ髪の女性が右腕を根元同然から断たれた直後まで場面を戻せば……突然の予期せぬ事態に対し、
「あらぁ……」
次の行動を考えながら、そう緩やかに呟いていた。一見すると状況を軽く受け止めているようだが、内心での衝撃の走りようはかなりのもの。
「……止血を」
人体各種の断面ならば赤いハサミを持つ先の女性を通し見慣れている少女は冷静に発言し、右腕の対処は決まっていた、ふわふわ髪の女性は薄く広げていた青磁色の金属を使って傷口を覆い……それを終えるや少女の方へと左手を伸ばす。
「一旦、離れよー」
ふわふわ髪の女性がそう提案したのは鎌蜂エネミーが雷魔法を男性に放つ間際で発言と共に少女の手を取ってそのまま移動を始めた結果、無残に転がる自らの右腕は置き去りに。
程なく起きた爆発音を背に、走り続けたふわふわ髪の女性と少女は先程と変わり映えのない木々に囲まれた場所まで辿り着き……少女が呟いた。
「右腕が」
「……出来れば、やりたくなかったけど……ちょっと待ってー」
ふわふわ髪の女性は傍らの木に左手を当て青磁色の金属へと置き換えて行く。
目の前の樹が徐々に金属へと変わって行く様を少女は思わず凝視……暫くするとそんな金属の一部が分離し、先程から追従している方の金属と合流。
ふわふわ髪の女性がそこそこの体積と化した青磁色の金属を手にすると、上腕が少しは残った右腕の断面を塞ぐ青磁色の金属部分へと充てがう。
「足りる……ね」
ふわふわ髪の女性がそう呟くと縦長の金属はふわふわ髪の女性の右腕と接触した部分から自らの端へと目指すかのように流動性を伴う変形を始めた。
物体であれば何であろうと置き換わる青磁色の金属……もしもこの事実を逆方向から捉えれば「青磁色の金属は如何なる物体にも変化可能」という事になるが、それは誤謬も甚だしい。
しかし使用者に限るならば「青磁色の金属は使用者本体の構造に必要な如何なる物質にも変化可能」で、失われた使用者の本体部分への変化が完了すれば永続的に維持……「使用者自身に存在する物質」として定着する。
その際の置換速度は一層遅いがフィールドに参加した事による強化もあり、あと十分もすれば完遂しそうなペースで進んでいた。
「腕……?」
「もう少しだけ……速く出来るんだけどね」
多少の外傷ならば青磁色の金属により治癒出来るという事だが……青磁色の金属を人体の修復に用いる際はその分に応じて使用者の意識が薄れる。ここまで大規模な修繕となるとその作用もそれだけ大きいものに。
まるで青磁色の金属と同化でもして行くかのような不気味な感覚。
それがふわふわ髪の女性の認識で、可能ならば味わいたく無いほどの恐怖と嫌悪をもたらす体感だった。
今回は傍らに少女がいて孤独感が和らいだからか、
「頑張る、かなぁー」
そう呟くや抑え気味に進行させていた修繕ペースを速め……やがて更に発言。
「あのエネミー。こっちに来るー……?」
そう少女に語り掛ける事で意識の薄れを紛らわす意図もあったが……当の少女は周囲の音などを警戒し、程なく言った。
「少なくとも、近付いて来てる気配は……無さそう」
「そっかぁー」
そんな会話をする頃にはふわふわ髪の女性の右腕は半分以上が完璧に形成されており、その後は何の邪魔も入らず……今までと同等の構造を持つヒトの右腕部分を得たふわふわ髪の女性は指を動かしながら、呟く。
「……こわい?」
短いながらも単刀直入な問いに、少女は「えっと……」と悩んだ後、言った。
「凄い事……じゃないかと」
表情を見て、少なくとも言葉を濁さなかった結果出た意見だと捉えたふわふわ髪の女性は返事をするという選択肢をやめ、こんな言動を取った。
「じゃ、わたくしはー……さっきのエネミーを」
元来た道を戻るべく身動きし始めた女性に対し少女は「私は……」と言った後、
「何も出来ないので、このまま逃げます」
鮮やかなオレンジの髪が程よい長さで伸びた頭部に白いカチューシャをしたビリジアンの瞳の少女――野坂雪乃はそう続けた。
能力発動時にマップ内でランダムな位置に生成される能力の生成物……最近では鋏少女とよく呼ばれている女性の姿形。
そんな鋏少女の思考の一部を指定する事で多少の操作は出来はすれど……先程のように鋏少女が使用者を攻撃出来る範囲まで到達すれば消滅し、やがてまたマップ内でランダム生成される事に。
鋏少女が参加者やエネミーとの交戦で得たポイント……マップによっては参加者が収集したアイテムがその都度流れ込んで来るが野坂雪乃自体は常に無防備。
共有する視界では主に鋏少女が相手を殺すか無残に返り討ちに遭うか……そんな光景から得られる情報を基に何とかゲーム終了までやり過ごすしか無い。
「はーい」
口調と雰囲気が普段通りとなったふわふわ髪の女性は登録名『シザーレディ』の少女を背に先程の鎌蜂エネミーを探すべく、その場から去って行った。
断たれた方のふわふわ髪の女性の右腕は、未だに先程の場所で在り続けている。
・野坂雪乃
初登場は第5話……鮮やかなオレンジ色の髪をシンプルな白いカチューシャ、そしてビリジアンの瞳……『トリコロール』を意識した配色だったりします。
鋏少女が持っている赤いハサミは「材質が上回っている対象ならば断つ」事が可能で、立派な大木相手でもこの鋏を幹に当てて閉じるだけで切り倒せますが、材質が上回る場合は対象が糸のように細くても傷ひとつ付ける事が出来ません。
鎌蜂エネミーを覆ってた琥珀が従来通りのものならモース硬度は2~2.5。
石膏くらいなわけですが、木の幹くらいの直径サイズでも鋏少女のハサミなら余裕で断てます。
琥珀はこのモース硬度なので、数珠繋ぎの琥珀アクセサリーなどを着用する際に触れるものだけで傷が付くそうな。
・トリコロール配色について少し
「青・白・赤」「緑・白・赤」「黒・赤・黄」の国旗がトリコロールの代表格で「それぞれが明快に離れた三色」なのが条件。
・色の同化について
蜜柑を赤い網袋に入れれば実際よりも赤味が増して見える。
赤い網袋に入った蜜柑を取り出すと色が全然違った。
蜜柑のオレンジ系の色と網袋の赤は色相が近いので隣接すると互いの色味に引っ張られて中間の色合いに見えるのが色の『同化』で、網袋がきめ細かく無くて指並の太さの紐だった場合、同化は起きません……蜜柑が余裕で抜け落ちるくらい大きな間隔の網になってそう。
よって同化現象が随所で起こせるアイコンくらいのドット絵をA4用紙の幅を使い切るくらいのサイズで印刷すれば、起きていた同化現象が無くなり、元のドット絵とは印象が大分変わる可能性も。
そのA4用紙に印刷したドット絵を遠くから見れば視界内で色同士が隣接するので、また同化現象が起きます。
一連の説明は「色相の同化」ですが他には明度の同化、彩度の同化があります。
色の対比もあるのですが……
色相対比、明度対比、彩度対比、補色対比、縁辺対比……と並べるだけに留めておきます。
ちなみに「色同士が離れ過ぎていて互いの色が反発し合う」という説明案がありましたが、合ってるかは微妙なところ。
さて、本文では「同化」という言葉が従来の意味でも登場しましたね。
・テセウスの船について
ふわふわ髪の女性と青磁色の金属でこの問題を記述した場合……こうかな。
――女性が自身の肉体を欠損する度に青磁色の金属に置き換え「今まで失った部分で女性の人体が丸ごと作れるほど能力を使い続けた女性」と「その失った肉体部分全てから成る女性」……どちらがふわふわ髪の女性と言えるか?
この能力の性質上、今まで人体が複数作れるくらい青磁色の金属に置き換えられていてもおかしくありません……今回の話から頭部はまだ無いと推察出来ますが、既に同じ箇所の手足や臓器が複数回に渡って置き換えられている可能性は大いにあります。
しかも欠損部分を置き換えている最中は青磁色の金属に意識を乗っ取られるかのような感覚まで……テセウスの船問題はふわふわ髪の女性にとっては重大な概念。




