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あかないキミの、異能世界  作者: 竜世界
ProgressⅡ-SCISSOR LADY-
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第6話 転送装置とクリームパスタ

 ガーデンは完全なる閉鎖領域。


 地球上から集められた能力者たちは地球上にいない……私も能力が発現しなければ今も日本の学校で女子高生してたんだろうなー……。


 両親とは何の衝突も無いまま暮らしてたし反抗期という言葉が無縁過ぎて……もしも両親が能力に目覚めればこっちに来れるわけだけど、同じガーデンになるとは限らないんだよね。


 こっちで入力したデータをこっちのサーバーに送信して、そのサーバーの内容が向こうのサーバーに反映……あっちから入力されたサーバーの内容もこっちのサーバーに反映。


 そんな能力が働いてるサーバーがこっち(ガーデン側)あっち(地球側)にあるおかげで、結果だけ見ればデータの送受信は出来るから、両親とビデオチャットは問題無く出来るし、向こうのネトゲだってプレイ可能。


 でも実際はガーデン内で完結してるデータの送受信と同じ内容が地球にある特殊サーバーがコピーしてるだけ……ネットワークで繋がってるわけじゃ無い。


 だから自身をデータ化して地球側に送信してデータに対応した成分で人体を組み立てればガーデンから脱出出来るという発想は通らない……それが元の自分と同一人物なのかは置いておいて。


 そもそも特殊サーバーは常にプログラム型AIに管理されてるから、許容出来ないデータは破棄される……こちらの内情を暴露しても常に握り潰せる体制だけど、ガーデンの内情は結構オープンに地球側に公開されてるらしい。


 離れた場所に人や物を送る技術……「転送装置」の話に戻ろう。


 こっちで一度バラバラにして向こうで組み立てる……出来上がった人間が自分と同一人物になるかという問題を深刻に考える人は多いんじゃないかな。


 でも、お店で隣の人と同じラーメンを頼んだ場合、運ばれて来たラーメンは「同一」じゃないのに、それを問題視する人はいない。


 だから食品や物品に特化した転送装置の開発は実際に進めれてて……ここ最近だと私はその実験に協力するバイトしてる。


 他はよく知らないけど私のいるガーデンで手に入る物質は地球側のものと同じ。


 こっちで確立出来た技術は向こうでも実現出来るし、このガーデン全体に実験用の設備を施す事だって出来る……ガーデン側が協力的なら。


 というわけで今夜の晩御飯はその手の開発をしてる企業がこっちに建てた設備から私の住む部屋まで直通で転送される出来立てパスタ。


 遠くで作った熱々のパスタを分解し専用ケーブルを経由してこっちで組み立てるという力技の技術……簡単な構造物の転送は結構前から成功してて、私が関わってるのは転送高速化の限界テスト。


 毎日違う高速化プログラムによるクリームパスタを部屋まで転送して貰って、その全体構造と味にどれだけムラや異状があるかを事細かにレポートする。


 感じた内容を画像込みで事細かに送り続けてたら、何か重宝されるようになって顔馴染みの担当者まで出来た。


 今夜のパスタは一番酷いかな……送信前の3D画像を表示しながら比較してるけど、ここまであちこち穴が開いたり、変な場所でくっ付いてたり……食感に影響し過ぎて転送前通りの味なのか判断出来ない。


 今までで一番早く転送が終わったけど、こんなの商品ですと言ったらSNS炎上素材。


「今日もお疲れさまぁー……いやー、ほんと助かるよ」


 いつものように担当の女性が羽を伸ばすかのような口調で話し掛けて来る。


 地球からこっち側の社内で働くアンドロイドの発する声を通してるから私の知ってる言語で聞こえる……この芸当も多分、能力だろうなぁ。


「最後の晩餐がこんなパスタは嫌だけどね」


 私が馴染みの担当者――テファニーナ・カートフォードにそう言う。


 気楽な関係になってからティファとニーナのどっちで呼ぼうか悩む期間を挟み、後者に決まった……私の呼ばれ方は勿論、ネル子。


「一気に精度が悪化して驚いてるよ……装置側の動作自体は我が社が誇る安定性だけど……」


 ニーナの勤める会社――イグナイト・コア・テクノロジーは重工業、ソフトウェア開発、医療。兵器を自社で造って、動かすのに必要なプログラムも自社で用意出来る一大企業。


 最先端医療にも貢献しがちでバイオ技術方面も手掛けてたりと、最早何の企業か私には解らない……とりあえず自社の技術力に高める事に熱心。


 私の住むガーデンはこういう大企業と提携して収入を得る経済活動するのが特徴みたいだけど……他のガーデンと比べてどれだけ珍しいのかな。


 私のガーデンにいるのは人間に見えて殆どがアンドロイド……ボディ自体はどの企業も結構前から提案してる構造。


 一度に数える程しか動かせないくらい高度な人工知能を搭載したアンドロイドを都心人口並の数で二十四時間動かせるのは如何なる企業から見ても驚異的。


 私のいるガーデンを管理するAIが化物スペックなのか能力で円滑になってるかはさておき、明日の晩御飯が更に精度の劣化するであろうクリームパスタだという事実と向き合おうか。


 食べ物とは言えなかった場合に備えて他の物を食べる事も考えておこうかな。


 例えば美味しい炒飯を自動調理してくれる機械も部屋にあるし……ちなみにその調理マシンってIGC社製。



Ignite Core Technology→IGnite Core technology→IGCテクノロジー


 この手の略称は被りが怖いですが、国際穀物理事会――

International Grains Councilを始めとして普通に被ってますが最後の「テクノロジー」という語感で差別化をゴリ押すという方針で採択しました。


 さて、突如始まったSF紛いの回でしたが、他にもウインドウを空中投影したり今回は立体投影ディスプレイまである事が明らかに……たまに本作はこういう要素が出る時があるという認識に留めて頂くだけで充分です。能力が作用してるらしきサーバーによる疑似的な送受信はSFとは言えませんし。


 ProgressⅡはこういった後書き、あとどれくらいあるのかな……。


【2021.08.22追記】

 昨日、第一章→ProgressⅠ……に変更しましたが、略称どうしよう。

 Pro.Ⅰ、PgⅠ……んー、不格好。

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