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あかないキミの、異能世界  作者: 竜世界
ProgressⅥ-MAGICAL NIGHTMARE-
45/67

第45話 銀色と向き合えば

「やれやれ……このまま背後を付き纏われるのは本意では無い。付いて来るのなら私の前方を任せたいのだが」

「あら。それだとアタシがずっとナイフを何本も浮かべてる人を後ろにする事になるんだけど?」


「こんなもの自らが一般(ジェネラル)だと晒しているだけだ……理由は潰えたか?」

「いいオトコを見かけたからホイホイ付いて行く……じゃ、ダメかしら?」


 統合四日目のフィールド内。時間はマインゴーレムの一体目と二体目が出現する間の辺り。


 大人の色香を漂わせる声色(こわいろ)を放つ女性の背丈は目の前の相手と比べれば頭一つ分以上の低さだが長身の部類ではあり、胸は豊満なまでのボリュームを誇る。


 長く伸ばした髪は深紅に染まり、瞳の色はビリジアン……それはまるで薔薇の花と(くき)の色を見ているかのよう。


 二人の応酬は更に続き、「同行するからには話相手になってもらうぞ」と女性が言われた事で収まる……それから暫く二人は歩いていたが、


「今日で五日目となるが……この特別な十日間をどう思う?」


 そう問われた事で女性が次のように返し、会話が始まった。


「参加者への殺意があるのか無いのか……わからないわね」

「向こうにいた頃はフィールドが発生するまでの間も戦闘を行うのが当たり前だったというのに、この期間中はガーデン内の戦闘さえ禁じられている」


「ここは地球側の企業とビジネス関係にあるけど、期間後なら戦闘行為は解禁……完全に参加者を保護する事を目的としてるわよね」

「そして昨日の森林マップでは最上位クラスのエネミーが意図的に三体。その中央には湖が配置され、遠距離スポットを封じようとしていた」


「神は(さい)を振らないって誰の言葉だったかしら? 本当に毎日毎日サイコロや乱数の出目任せのエネミーの強弱分布……運営がサイコロを振ってる光景を何度頭に描いた事か」

「管理レベルの引き上げとはそういう意味なのだろうか」


「管理って、ゲームのバランスを? あの時はこれからもっと殺し合いを強要するルールが設けられるとさえ思って――」


 周囲を見渡しては歩みを進める中での二人の会話は突如聞こえて来た男性のものと思われる力強い絶叫により、遮られた。


 声の方向を見れば建物があり、中に入って割れた窓ガラス越しに現場と思われる場所を見れば、大型の人型警備ロボットと戦う参加者達の姿が。


 三人で戦っていたようだが一人は倒れており、弾丸の群れを浴びたような人体の変容っぷりが確認出来る。


「あー、なるほど……弾切れしてると思って行動した感じね」


 外見通り絶命に至っている男性は先程、警備ロボットの手首付近にある自動小銃機構からの(おびただ)しい数の射撃をその胴体に受けていた。


 このマップではエネミーを倒した段階で撃破ポイントが得られる為、警備ロボットを撃破しただけではポイントにはならない上に、どのエネミーが出るかが決まっていない。


 その為、強い警備ロボットは弾薬を消耗させたり発射機構を破壊したりと無力化して放置し、すぐに倒せる小型の警備ロボットを倒す……よって強い警備ロボットは他の参加者達と一戦以上交えて倒し易くなっている場合が多い。


 連射性の実弾武装は警備ロボットが最も多用する攻撃手段で、連射速度も相まって真っ先に枯渇しがちの為、先程の男性は目の前の警備ロボットから銃撃を受ける可能性を失念したまま近付いていた。


 他のフィールドでもそうだがエネミーは最初から出現している場合と後から出現する場合があり、このマップでは警備ロボットの段階から該当。


 後者の頻度に規則性は無く突然目の前に現れる様を目撃する事も可能で、先程の三人組は発生直後同然だったのも気付かずに戦闘を開始した。


「あんだけ図体デカイんだから損傷個所も目立つのに……それが無いって何で気付かなかったのかしら」


 女性が引き続きそう発言する中、リーダー格の雰囲気を帯びたリボルバーを持つ男性の傍にいるデザイン性のあるハンドガンを携えた人物に視線を注ぐ者がいた。


 ハンドガンの人物は背が低めで長く伸びた髪は銀色で瞳も同じ色……視線を注ぐ者はその姿に見覚えが。


 (かつ)て自らが設立したグループのメンバーに同じ背格好の女性がいた。


 他グループとの抗戦を繰り広げていると突如エネミーの群れが雪崩れ込み、互いに犠牲者が続出する中、此方(こちら) にエネミーを(けしか)けようと躍起になるも裏目が続いていた相手グループの思惑(おもわく)が、その銀髪銀眼の少女には機能。


 鉤爪に引き裂かれた胴体が地面へと落ちて行き、少女の絶命を確信した衝撃からか妙に緩やかに感じたあの光景が、今も鮮明さを失わない。


 ハンドガンを手にした銀髪銀眼の人物を視界に入れた途端、「生き写し」の言葉の意味が押し寄せるような感覚に陥り、気が付けば隣の女性にこう発言していた。


「助けたい、と言ったら……手伝うか?」

「あら」


 深紅の髪の女性は隣にいる人物の外見を改めて眺める。


 自分は他の女性より身長が高いのだという(ささ)やかな自負を圧倒する程の差を感じる背丈で背中を覆うまで伸びる癖毛だらけの金髪は野生感が溢れる。


 力強く(おごそ)かな口調は男性的な雰囲気さえ帯びているが、深紅の髪の女性はそのビリジアンの瞳で否応無しに目に入る部分を半ば睨むように眺めていた。


 深紅の髪の女性の胸は大きいと主張するには足りてはいるが、本当に大きな者にはまるで勝負になら無い辺り。


 女性の中でも一際大きなボリュームを誇る者を比率そのままで隣にいる金色の瞳の人物の背丈まで拡大したような容量が、そこにはあった。


 この憎たらしいまでに色々デカイ女がどんな能力か眺めてみるのもいいわね。


 そう考えている女性が先程「いいオトコ」と発言したのは背も胸も圧倒的に上回る相手を見た事から湧き上がる劣等感を紛らわす為の皮肉だったのか。


「……アタシの能力、準備が必要なの。急ぐから先にやってて」

「了解した」


 長身の女性は周囲に浮かぶ五十本を越えるナイフと共に、窓ガラスが存在しないも同然の窓枠から現場へと向かった。


 独りになろうと、まるで嘗てのメンバー達の形見かのようにグループを維持している長身の女性が操る大振りのナイフは全て同じで、IGC社製のものだと一目で判る参加者は大多数だろう。


 そんな既製品の合金ナイフを群れのように従える光景は、深紅の髪の女性で無くとも大きな疑問を生む事になる。


 ガーデンからフィールドに持ち込めるものは武装要素の無い服装一式と武器一点のみ。拳銃や重機関銃などの実弾兵器は弾丸の有無に関わらず一丁で、余剰となる弾薬は一発たりとも持ち込めず弾倉(マガジン)も同様……ナイフならば一本限りとなる。


 それが一目では数え切れない程あって、常時念動力(テレキネシス)か何かで操作されている光景は参加者からすれば異常事態。


 こういう時、虎で狸を剥いでやるって言うんだったかしら。


 自らも窓枠から飛び出し、能力の発動に必要なものを物色する焦りからか、深紅の髪の女性は「化けの皮を剥ぐ」とは掛け離れた言葉を頭に浮かべていた。


 女性が探すのは障害物……言うなれば「孤立したオブジェクト」で、エネミーや参加者も対象になり、建物の瓦礫も含むが地面や建物など「マップと一体化していると言えるもの」は対象外。


 目を付けた大きなコンクリートの破片に対し、生成したエストックで女性が一突きすると水色の線が立体を描き、その全体は薔薇を描く……そんなマーカーと言えそうなものが突かれた箇所に出現。


 さっさと能力を強化して、どんな能力か拝んでやりましょう。


 女性がエストックを別な武器に変形させると目の前のマーカーを攻撃……まずは変形した武器で生成したマーカーを破壊する必要があった。


 ナイフ使いと思われる長身の女性に目を向ければ、再び手首の機銃射撃を行おうとする人型警備ロボットのその腕を外側に押す方向から八本のナイフを操作して突き刺して行く。


 他の警備ロボットが量産性の鉄製なのに対し、この大型の人型ロボットのボディは分厚い鋼鉄……硬度から見てもIGCテクノロジーが誇る合金の方が段違いに上回るが、この場面ではその装甲に弾かれるだけだった。


 腕は微動だにしなかったものの警備ロボットの射撃態勢は中断され、その隙を見て銀髪銀眼の方が構えるハンドガンを発射。


 その光景を見た長身にして『エルドーラ』を率いていた女性は愕然とした。実弾兵器か怪しい風貌の銃から放たれた青白く光る横長の束が警備ロボットの胴体へと向かい、かなりの爆発を起こしたが、それよりも。


 光速以前に音速かどうかも怪しいその一撃はレーザーでは無く『ビーム』である事を示しているが……金髪の女性が喪った前述の銀髪銀眼の少女の能力の生成物であるハンドガンもデザインは違えど、ビームを放っていた。


 そこまで同じとは……。


 全くデザインの異なるハンドガンがあの少女が持っていたハンドガンに見えそうな程、エルドーラのリーダーは目の前の銀髪銀眼の人物を嘗てのメンバーと重ねそうになっていた……横顔の雰囲気まで一緒なのだ。


 亡くなった少女のビームは長射程で、光を集積して放つ光学兵器――レーザーだと思う者も多かったが、レーザーとビームは原理の段階から異なる。


 運動エネルギーを表す(ジュール)は物体の質量に速度を二乗した値を乗算し、その計算結果を半分にする事で求まるが、徹甲弾には弾体の硬度と質量を大きなものにして放つものと軽い弾体を使い速度を上げて射出するものがある。


 弾体が素粒子だったとしても質量自体は有し、ビームとは電荷を帯びた素粒子を放つ方式の為、質量兵器の一種である。


 用いる荷電粒子全てを一直線に飛ばすわけだが……この条件で戦術兵器クラスの威力を得るには秒速三十万キロメートルに二百万キロメートルほど及ばぬ光速まで近付けた『亜光速』で発射する必要が。


 レーザーに至っては最初から光速の為、出力を増幅させた光を束ねる事で威力を実現する為、ビームとは根本的に違う兵器となる。


 (もっと)も、先程の青白いビーム状のものは、それ自体が威力となるエネルギーを持つ能力の生成物の為、質量と速度の議論からは外れる可能性も……着弾時に爆発したのは能力の一環と言えよう。


「ズラかるぞ!」


 リボルバーを持った男性が銃口を警備ロボット目掛け放つと警備ロボットの周囲に二十個の手榴弾が現れ、その分布と数は正十二面体の各頂点と一致している為、全て結べば十二枚の正五角形から成る正多面体の輪郭となるだろう。


 これらの手榴弾が生成される前に零から二十の乱数が振られたようなもので男性は今回八を引き、十二個の手榴弾が威力を伴わない破裂弾に……実質的な手榴弾は八個となるがここから更に零から八の乱数が発生し、その結果は二だった。


 よって今回は二十個中六個の手榴弾とその威力を増した二個の強化手榴弾が生成され、残り十二個は破裂するだけの飾り物。


 三種の弾にはポイントが設けられており破裂弾が二減り、通常弾が一増え、強化弾は二増える為、今回は蓄積ポイントから十四が引かれ、この蓄積ポイントが零を下回る事は無い。


 二十ポイントに達する度に装弾数八のリボルバーの空き部分に弾丸が一発生成され、引き金を引いて弾が入っていない時に今回の手榴弾二十個の生成となる。


 空中で生成された各々の手榴弾は落下してから爆発するまで多少は転がる程度の猶予がある為、ドーベルマン型警備ロボットのような機動力のある相手には回避されがち……今回は全て直撃し、足止めくらいの結果にはなった。


 金髪の女性はハンドガンを持つ二人と合流し、突然の展開に疑問を抱かれる様子も無しに一斉にその場からの撤退を試みれば、三人とも成功。


「あら。別にアタシがいなくても何とかなったじゃない」


 深紅の髪の女性が三人にそう声を掛ける頃には警備ロボットが追って来ない状況に……ある程度距離を放せば目標を見失ったと判断するエネミーの基本性質は先程の警備ロボットにも適用されているようだ。


 自らの視界内にある限り追い続ける追跡性質のエネミーもおり、前述のドーベルマン型警備ロボットもそのタイプ……スピードに優れるケースが目立つ為、追跡型は可能ならば倒しておきたい相手。


「冷静に行動出来てたらな。さっきのナイフで大きな隙が出来たのは本当に助かったぜ」


 リボルバーの男性がそう言うと、この中で一番大柄な女性が発言する。


「その子は?」

「あ、えっと……」


 銀髪銀眼の少女と(うり)二つの人物が声を発したが、言葉を続けたのはリボルバーの男性だった。


「あぁ、コイツか? こんなナリしてるが、男だ」

「まさに(おとこ)()ね」


 深紅の髪の女性がそう呟く頃には、金髪の女性は銀髪銀眼の人物が「男性」だという事実を受け、()み上げていた頭の中の幻影を(ほど)き始めていた。


 銃の形状、声色そして性別……当たり前だが、全くの別人だったな。


 もしも亡き少女とこの少年を並べれば、まるで鏡で映したかの如く背格好が一致するのは事実で、自らの体型が胸部を含めて男性と一致するのは亡き少女にとって不本意極まる事態だと予想される。


――成長すれば、ボクだって大きくなるもん。


 事ある毎にそう言っていた少女の姿よりも「一日中ゲームがしたい」という発言の方が金髪の女性には色褪せておらず、統合一ヶ月前から存分に叶えられた事実を踏まえればそれこそ、事ある毎に思い出す。


「俺がリーダーを務めるグル-プのメンバーで、その名も……」


 リボルバーの男性がやや勿体ぶった後、こう言い放った。


「ヴォルフェクスだ! ナベリウスやプロキオンと比べればまだまだ弱小だが、いずれ大きなグループにしてやるぜ」

「あのランキング上位グループに? 大きく出たわね」


 あれから黙したままの長身の女性は周囲を警戒しており……程なく少年が上空を見上げながら叫ぶ。


「あ、あれって……何⁉」


 一同が目を向けた空では既に大きな人影が視認可能で、此方に落下して来ていると判る頃には本来のサイズが測れそうな程になっていた。


「こっちに来るぞ!」


 リボルバーの男性の叫び声が響く頃には、長身の女性も深紅の髪の女性も、現れた五メートルを優に越えるマッシブな人型エネミーが、先刻発表されたボーナスエネミーである事に気付いていた。


 一辺四メートルで比重二・五の立方体の体積は百六十トンの為、激震を地表から周囲に轟かせたその体躯は百トンに及んでいるのかもしれない。


「うおっ!」

「うぁっ!」


 男性二人が物理的な衝撃と視覚的なインパクトに圧倒される中、その癖毛に溢れた後ろ髪は金色の狼の背中でも見ているかのような女性と薔薇のように深い紅色を湛えた髪の女性は平静さを保っていた。


「……どう思う」

「いかにもストーンゴーレムですって外見だけど……何かあるわよね、絶対」


 深紅の髪の女性は近場の瓦礫に生成したエストックを突き刺し、第二段階となったマーカーを出現させる。


 第一段階の水色線画とは違い、今度は半透明気味の白い薔薇……サイズの方は変わらず大きめの段ボール箱の中に何とか納まる程度。


 続け様にエストックが振られると両刃の剣へと変化したが……その際に全体的な構造が組み変わるような動作や音は無く、ごく一瞬で果たされていた。


 現れた巨体の落下して来た高度と重量を考えると先程の衝撃は演出程度に抑えられたのだろう……二体目となるマインゴーレムは一体目と同様、発声機能を持たぬ為、ここで周囲の大気が張り裂けんばかりの咆哮が上がる事など無かった。



・神は(さい)を振らない

 Albert Einsteinことアインシュタインが量子力学反対時期にMax Born宛てに書いた手紙に「Der Alte würfelt nicht.」があり、この有名な和訳が「神はサイコロを振らない」。

 今回登場した女性が字面(じづら)だけを引き合いに出した可能性は「虎で狸を剥ぐ」という(くだり)でお察しか、色々混ざってる。


回転式拳銃(リボルバー)と弾丸について

 同じ火薬を使うなら、たくさん詰めた方が火力が出る……リボルバーのシリンダーの装弾数を八にした場合と五にした場合……弾丸が入る穴を大きく設計出来るのは後者。

 能力要素抜きで考えれば銃火器は弾丸の大きさがそのまま威力になるので単発式なら大口径の方がいいという事になります。


・弾倉について

 だんそう、という読み方でいいのですがライフル系ではよく「マガジン」と呼ばれる部分……リボルバーの弾倉は「シリンダー」と呼称されるので、割とややこしかったりします。


・ところで

 運動エネルギーの公式は『K=1/2*M*V^2』。

 質量Mの単位はkg、速さVの単位は秒速m/s……Kは仕事の単位であるJ(ジュール)……その物体の重さと速度が判れば上記の掛け算するだけで運動エネルギーを求める事が出来ますが、火器はそこから更に火薬を積む事で威力を底上げしている感じです。

 ちなみに熱エネルギーの量を表す熱量の単位もJ(ジュール)が使われます。


・一辺四メートルで比重二・五の立方体の体積は百六十トン、について

 マインゴーレムの全長は少なくとも五メートルは以上あってマッシブな体型という事は各部位の体積も大きい……それなら一辺四メートルの立方体の体積は余裕で越えていて、コンクリートより重めに見積もった比重二・五の重さを求めておけば目安にはなるかな、という具合です。


・レーザーとビーム

 球技などの試合中では、

「俺の必殺技、レーザービームを喰らえぇえ!」

 という併用は何か語感いいですが、本文にある通り、レーザーとビームは一緒くたに出来ないほど違う物だったりします。

 

・光速について

 真空中に光は秒速2億9979万2458メートルの速さで進み、この数値を漢数字表記条件で描くのは読み辛いので「秒速約三十万キロメートル」で済ませる事も出来たのですが……相対性理論によれば物体が加速すれば相対論的質量が増加して行き、光速段階でその質量が無限大になるとの事。

 それが光速を越えられない理由となるのですが、それを四捨五入で越えていいのかな……? という個人的かつ細やかな葛藤により「秒速三十万キロメートルに秒速二百万キロメートルほど及ばない速度と表記」という案を採用しました……それでは今回の後書きの本題へ。

 次話でも出来ますが、一応既に話題に出来るので……


・期待値について

 確率を考慮した平均値の事で、こんなポイントくじがあったとします。

くじの本数500

一等千点 入ってる本数  1

二等三百点 入ってる本数 20

三等 百点 入ってる本数 10

四等 一点 入ってる本数100

五等 零点 入ってる本数369


 この情報から1/500、20/500→1/25、10/500→1/50、100/500→1/5、369/500。

 1000*1/500+300*1/25+100*1/50+1*1/5+0*369/500。

 369=3*3*41というのを知らずとも五等は0になり単位は万で、

 2+12+2+0.2……この16.2ポイントで期待値を求めた事になります。

 これが五百本から引かれた分だけ減って行くアナログ式か常にこの分布の五百本を保つデジタルなガチャと同じ方式かはさておき、

「だったら分母五百のまま計算すりゃいいじゃん」

 と思われた方は……

 (1000*1+300*20+100*10+1*100+0*369)/500→(1000+6000+1000+100)/500→8100/500で16.2。

 平均値の計算に確率要素を踏まえたのが「期待値」というわけです。


 この流れで「じゃあ六面ダイスの期待値は?」と聞かれれば、

 (1+2+3+4+5+6)/6→21/6なので3.5という回答に……先程のくじと違い、六通りある値の確率は全て1/6なので「じゃあ二十面ダイスの期待値は?」と聞かれても表計算ソフトで起動してSUM関数……せずとも連番となる数列の合計を求めるなら「等差数列の和」の公式を知ってる方なら『1/2*n*(n+1)』を用いる事になるので。

 1/2*20*21→210。あとは項目数の20を割るだけで10.5という期待値が求まります。

 今回登場した0~20の乱数も同然の方は21で割って10となります。

 十面ダイスも1~10なのか0~9なのかで期待値が割と変わります。

 (1/2*10*11)/10で5.5。0~9は55から10減るので45/10で4.5と求めてもいいのですが、折角なので1/2*9*10で45。45/10なので……十面ダイスが1~10なら期待値は5.5。0~9なら期待値は4.5です。

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