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第1話:シベリアにて(1)


 外の轟音が消えたような気がする。ブーンは、おそるおそる防空壕の蓋をあけてみた。外は、一面の銀世界であった。目立つものは何もない。幸い、吹雪はおさまっていた。


( ^ω^)「おお、真っ白だお。それより、あいつらは・・・」


 ブーンは深く積もった雪の上をズボズボと歩きながら、ィョゥフスキーたちを探した。


 しかし、一時間ほど探しても、ニ時間ほど探しても、見つからなかった。


( ^ω^)「はあ、はあ。見つかんないお・・・どっかに吹きとばされてるんかお?」


 ブーンは太陽の方角へと歩き始めた。ブーンの足音だけが、虚しく響く。他には物音一つせず、まるで死後の世界に来たような感覚だ。



 五時間ほど経っただろうか。ブーンの足は、もう棒のようになっていた。だが、雪が殆どなくなり、集落が遠くに見えた。


( ^ω^)「おお・・・都市があるお!!」


 そこへ近づいてみると、たくさんのレンガづくりの建物やビルがあった。また、鉄道の駅や、「1000階だてシベリアビル」なんていうものまであった。


( ^ω^)「なーんだ、VIPには全然及ばないお。とりあえず疲れたから宿屋に・・・」


 ブーンはポケットに手を入れた。


( ^ω^)「あ、そうか、お金はもっていな・・・くない!あったお!」


 ブーンは、そのお金がィョゥフスキーたちが入れたもののような気がした。そして、そばにあった「シベリアホテル」に入ると、フロントのカウンターに金をジャラジャラと出して宿泊する意志を示した。


( ゜ー゜)「このお金じゃ最下級クラスの部屋に一泊しか泊まれませんが、よろしいですか?」


( ^ω^)「(最下級・・・それだけしかないのかお。)は、はいお。」


( ゜ー゜)「じゃあ208号室へどうぞ。」


 ブーンはボロボロの鍵を渡され、そばにあったエレベーターに乗り込んだ。2階へつくと、その暗さにブーンは唖然とした。


( ^ω^)「いくら最下級からといってこんなに電気代ケチることはないだろお。とりあえず、部屋に入りたいけど、暗すぎてどこにあるのかよくわかんないお。お、いいもの発見。これ使おうお。」


 ブーンは、エレベーターの横の箱にセットされていたたくさんの懐中電灯のうちの一つをとりだし、廊下を照らした。


( ^ω^)「意外と奥行きは広いお・・・それより、懐中電灯用意するくらいならもっと明るくすればいいのにお。」


 ブーンは、暫く進むと208号室と書いてあるドアを見つけた。そして中に入ると、再び驚くのであった。


( ^ω^)「せっまいお・・・」


 その部屋には、ベッド一つしかなく、テレビもシャワーもないのであった。


( ^ω^)「まあ、仕方ないお。とりあえず寝るお。」


 ブーンは、布団にうずくまると、ゆっくりと目を閉じた・・・。



 ブーンが起きた頃、時刻は既に九時を指していた。チェックアウトは今日なので、早めに出る支度をしなければいけない。とはいっても、荷物は何もないので明りを消して部屋からでて鍵を閉めれば終了なのだが。


 そういえば、ブーンはチェックアウトの時間を聞いていなかった。九時、なんてこともありえるのでなるべく早めに部屋を後にした。


 ブーンはフロントに鍵を叩きつけるように置き、ポケットに手をつっこんで何も言わずにホテルを後にした。


 ブーンはあてもなく歩いていた。勇者勇者などと言われ、突然異世界に一人で放り込まれる。もう、どうすればいいなど、わからない。700以上の国がある2ちゃんねる界の地理など、2ちゃんねる王のひろゆきでさえ覚えていない。ましてや、ブーンなどにわかるわけがないのである。


 しばらく歩いたところで、「ブーン治療所」などというものを見つけた。


( ^ω^)「ブーン治療所・・・?もしかして、ブーンたちがいるかもお!」


 ブーンは駆け足でブーン治療所にかけこんだ。中には、大量のブーンたちがいた。


( ^ω^)「おっおっおー!」


( ^ω^)「両足を骨折した患者搬送しましたお!」


( ^ω^)「了解!すぐに手術するお!」


 その中に、フェンリルがいた。


( ^ω^)「あ、お前は・・・」


( ^〜^)「おお、勇者様!まさかお会いすることができるなんて思いませんでした!」


( ^ω^)「お前あのブリザードでよく助かったなお。」


( ^〜^)「はい!たまたまそこを通りかかったブーンに助けられたもので!」


( ^ω^)「ふーんそうかお。ところで、ぃょぅは?」


( ^〜^)「ィョゥフスキーは・・・」


( ^ω^)「そうか・・・」


( ^〜^)「ところで、勇者様、私を旅のお供にしてください!」


( ^ω^)「おお、それはありがたいお。一人だと寂しいお。」


( ^〜^)「ありがとうございます。さっき、銀行でお金をおろしてきたので、お金もたっぷりあります!」


( ^ω^)「感謝するお!・・・それと、もう敬語は使わなくていいお。」


( ^〜^)「え、何故ですか?」


( ^ω^)「旅のお供ということは、召使ではないでしょ?だから、普通に喋るお!」


( ^〜^)「そうですか。なら普通の言葉遣いでやっていきたいと思います。ええ、ブーン。」


( ^ω^)「なんだお。」


( ^〜^)「あのホテルにとまらないか。うーん、使いづらいですね。」


( ^ω^)「大賛成だお。さっきすごいボロ部屋にとまったから、今度はロイヤルスイートルームだお!!」


( ^〜^)「いいですねえ、泊まりましょうか。あっ、また敬語が・・・」


 こうしてブーンとフェンリルは、ロイヤルスイートルーム二つ分のお金を払って、豪華なベッドで面白いテレビを見ることにしたのである。

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