『転』(しいたけ担当)
※新たな使用ワード
無し
※スペシャルワード
『色(白)』
「ふむ、遊びはこれ程にして……この第六天魔王が直々に娘の相手をしてやろうではないか!!」
―――シュバッ!
織田信長はあの世から巧みに姿を消すと、湯浴み後の微睡みに身を任せる藍の目の前に姿を現した―――
「…………我は信長なり」
「……?」
目の前に見知らぬオジサマが突然現れて『織田信長』と申している。確かによく見る肖像画の面影が微かにあるが、思っていたのと違う。コレじゃ無い感がとても強い。
「フハハ! この小娘め驚きの余り口が聞けぬときたか!」
「……お帰り下さいませ」
私は台所の調味料入れから塩を取り出し振りまいた。
「おのれぃ! 何をするか!!」
「本物が私の幻想をぶち壊しにくるなんて……この世の終わりよ!!」
「人の子風情が柵みに囚われ袋小路のつもりか!? フン! 片腹痛ぅて笑いが絶えぬわ!!」
「……貴方に……何が分かるのよ!!」
ありったけの塩を自称信長にぶつけると、フワリとそれは消え果て、声だけが私の耳へと届いた。
「知らぬ。だが知る必要も知るつもりも無い。貴様は貴様で在れば良い。我のように突き進め。着いて来られぬ者は容赦無く捨て置けば良いのだ」
「…………私は貴方ではないの……無理よ」
塩塗れの部屋は私の涙で水気を増し、純白の白い塩の上に大粒の涙がこぼれ落ちた……。
「貴様は『何』になるつもりなのか……その答えは貴様の中にしか無い。覚悟せよ、今の世は人生百年。吾輩の二倍は苦しくて当然なのだからな……フハハハハ!!」
ぼわっと薄気味悪い霊魂が部屋の壁をすり抜けると、クルクルと壁際を周り再び壁の向こうへと姿を消した。説教染みた事を言うだけ言って消えた彼は、まさしく戦国の覇者に相応しい風格をしていた―――
しいたけさん
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