表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/25

4/26(金) <創造の力>

明日からゴールデンウィークだ。

だから今日から明日にかけて、夜更かしてゲームを遊び倒すつもりだ。

ゲーム機の本体を母親にバレないよう部屋まで持ってきて、ベッドにこもって遊ぶのだ。

いざ、布団に潜り込みゲーム機の電源をつけたところで――

また部屋が暗転し、昨日や一昨日と同じ石造りの部屋に来ていた。

司祭は今日も祈りを捧げていた。

そして今日は昨日よりも多くの人が奥で土下座をしていた。


「今日も降りていただけた事に感謝いたします。おかげさまで帝国軍は壊滅、生存した兵も帝国へ逃げ帰りました」

「よかった。助かったんだね」

「今日の願いは農場長の方から説明させていただきます」


そう言って司祭はうしろに下がり、隣に座っていた若い男が前に出てきた。


「わ私は農場の責任者でアブロスと申します。て手早く10分ほどで農地の現状をせ説明させていたただきます」

「10分!? それじゃ聞いてる間に僕が戻っちゃう!」

「か簡潔に説明します。わ我々は20日ほど前にここへ定住を開始し開墾は出来たのですが、しょ食料が足りていません。

 それと、つ土は肥えて良い土なのですが、の農業用の水が足りてないのです」

「よし、まずは食べ物だね」


僕は自信満々で答えた。

昨日までのパターンから、僕はこの世界では何でも出来る気がしていた。

物を生み出すことも出来るはず……。

軽く握った右手を前に突き出す。

そして頭の中で米をイメージする。

すると右手から、次から次へと白米が湧き出てきた。

おぉっという声が上がる。

白米が手からこぼれ、真っ白な山が出来た。


「これが米。これを炊けばこうなる」


そう言いながら、茶碗とホカホカのご飯を左手にポンッと生成する。

まるで手品をしている気分だ。

ただし、この手品には種も仕掛けも無い。

スプーンも作り、ご飯と共にアブロスに渡す。

アブロスは匂いを嗅いでから、ご飯を一口食べた。

そして何も言わずに二口目、三口目……。

奥の人たちは、ヨダレを垂らしながらその様子を見ていた。

アブロスは食べ終わっても何も喋らなかったが、表情がその旨さを語っていた。

みんなが一斉に僕の方を見る。

仕方ない、全員分作ってやるしかないな。


人々がご飯に夢中になっている間に、もう一つの願いのために地上にワープした。

そして足をぐっと曲げ、村の上空へとジャンプする。

一瞬で雲に届きそうな高さまで飛べた。

上空から周囲を見渡す。

千里眼があるのか、遠くてもハッキリ見える。

村は広い山の小さな盆地にあった。

昨日僕が作った手形はその近くにくっきりと残っていた。

そして遠くには大きな街がいくつか見えた。

あれが帝国なのだろう。

その向こうには海が見え、水平線が遥か彼方まで広がっていた。

絶景だ。


もう少しあたりを見回すと、村から遠く離れたところに大きな川があった。

この川の水を村まで引けば水不足は解決するだろう。

昨日の『手』と同じ方法を使えばいけるはずだ。

僕はコリコリと地面をひっかくような動作を空中で行った。

すると川のまわりの土がゴリゴリほじくれた。

掘ったところに川の水が流れ込む。

小さい頃の泥遊びを思い出しながら地面をほじくり、村の近くまで運河を作った。

なんだか国づくりをする神様になった気分だ。

いや、気分どころか神様そのも――

ここでまた僕は自分の部屋に戻された。

ゲーム機の画面に表示された時計を見ると、電源をつけた直後は21:59だったのが、今は22:05になっていた。

5分間だけの神様か……。

そのまま部屋の電気を消しベッドにこもってゲームを遊び続けたが、あの5分間と比べるとなんだか現実感が無くて味気なく感じた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ