4/26(金) <創造の力>
明日からゴールデンウィークだ。
だから今日から明日にかけて、夜更かしてゲームを遊び倒すつもりだ。
ゲーム機の本体を母親にバレないよう部屋まで持ってきて、ベッドにこもって遊ぶのだ。
いざ、布団に潜り込みゲーム機の電源をつけたところで――
また部屋が暗転し、昨日や一昨日と同じ石造りの部屋に来ていた。
司祭は今日も祈りを捧げていた。
そして今日は昨日よりも多くの人が奥で土下座をしていた。
「今日も降りていただけた事に感謝いたします。おかげさまで帝国軍は壊滅、生存した兵も帝国へ逃げ帰りました」
「よかった。助かったんだね」
「今日の願いは農場長の方から説明させていただきます」
そう言って司祭はうしろに下がり、隣に座っていた若い男が前に出てきた。
「わ私は農場の責任者でアブロスと申します。て手早く10分ほどで農地の現状をせ説明させていたただきます」
「10分!? それじゃ聞いてる間に僕が戻っちゃう!」
「か簡潔に説明します。わ我々は20日ほど前にここへ定住を開始し開墾は出来たのですが、しょ食料が足りていません。
それと、つ土は肥えて良い土なのですが、の農業用の水が足りてないのです」
「よし、まずは食べ物だね」
僕は自信満々で答えた。
昨日までのパターンから、僕はこの世界では何でも出来る気がしていた。
物を生み出すことも出来るはず……。
軽く握った右手を前に突き出す。
そして頭の中で米をイメージする。
すると右手から、次から次へと白米が湧き出てきた。
おぉっという声が上がる。
白米が手からこぼれ、真っ白な山が出来た。
「これが米。これを炊けばこうなる」
そう言いながら、茶碗とホカホカのご飯を左手にポンッと生成する。
まるで手品をしている気分だ。
ただし、この手品には種も仕掛けも無い。
スプーンも作り、ご飯と共にアブロスに渡す。
アブロスは匂いを嗅いでから、ご飯を一口食べた。
そして何も言わずに二口目、三口目……。
奥の人たちは、ヨダレを垂らしながらその様子を見ていた。
アブロスは食べ終わっても何も喋らなかったが、表情がその旨さを語っていた。
みんなが一斉に僕の方を見る。
仕方ない、全員分作ってやるしかないな。
人々がご飯に夢中になっている間に、もう一つの願いのために地上にワープした。
そして足をぐっと曲げ、村の上空へとジャンプする。
一瞬で雲に届きそうな高さまで飛べた。
上空から周囲を見渡す。
千里眼があるのか、遠くてもハッキリ見える。
村は広い山の小さな盆地にあった。
昨日僕が作った手形はその近くにくっきりと残っていた。
そして遠くには大きな街がいくつか見えた。
あれが帝国なのだろう。
その向こうには海が見え、水平線が遥か彼方まで広がっていた。
絶景だ。
もう少しあたりを見回すと、村から遠く離れたところに大きな川があった。
この川の水を村まで引けば水不足は解決するだろう。
昨日の『手』と同じ方法を使えばいけるはずだ。
僕はコリコリと地面をひっかくような動作を空中で行った。
すると川のまわりの土がゴリゴリほじくれた。
掘ったところに川の水が流れ込む。
小さい頃の泥遊びを思い出しながら地面をほじくり、村の近くまで運河を作った。
なんだか国づくりをする神様になった気分だ。
いや、気分どころか神様そのも――
ここでまた僕は自分の部屋に戻された。
ゲーム機の画面に表示された時計を見ると、電源をつけた直後は21:59だったのが、今は22:05になっていた。
5分間だけの神様か……。
そのまま部屋の電気を消しベッドにこもってゲームを遊び続けたが、あの5分間と比べるとなんだか現実感が無くて味気なく感じた。




