表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/25

4/25(木) <破壊の力>

今日も学校に行って勉強して帰るだけの、特に何もない普通の日だった。

昨日見たやけにリアルな夢について頭の中で考えたりもしたが、いたって普通の日だった。

夜22時、いつもどおり風呂に入ってパジャマに着替え、寝るためにベッドに入ろうとしていた。

すると――

今日もまたベッドに座ったとたん、まわりが暗くなった。

松明の明かりがあるだけのカビ臭い石造りの部屋にいた。

ひんやり冷たい石の椅子。

僕に土下座する十数人の人たちと、祈りをあげる司祭。

昨日見たやけにリアルな夢を思い出す。

今日は裸ではなく、やたら派手な服を着ていた。


「おぉ、また降りていただけた」


司祭の男がかすれた声で言った。

喉が枯れているようだ。

昨日から一日中祈祷していたのだろうか。


「まずは外へ、祈願の内容は別の者がお伝えします。お立ち願えますか?」


司祭に言われるがまま石の椅子から立ち上がると、土下座していた人たちが左右に分かれ道ができた。

僕は司祭について行き、石造りの部屋から出ていく。


階段をのぼり外に出ると、太陽がさんさんと照っていて眩しかった。

どうやらこちらは真昼のようだ。

あたりを見回す。

石器時代のような雰囲気の小さな村、といった感じ。

今までいた部屋はボロい教会の地下室だった。

石器時代らしくない石造りの教会だ。


「ここからは村の軍部の長に交代させていただきます」

「軍のリーダーをしているソルアだ。言葉が荒いのは勘弁してくれ」


司祭と交代するように、ガッシリした体格の男が現れた。


「まずあの(やぐら)にのぼるぜ、話はそれからだ」


指をさした方には高くて大きな櫓があった。

櫓の横に付いているハシゴをのぼると、上に着く頃には息が切れた。

櫓の上には数人の見張りが居た。


「あっちを見てくれ。あの山をダモル帝国の軍が進軍しているのが見えるかい?」


指をさした方を見ると、遠くの山の木々の間を沢山の人が歩いているのが見えた。

鎧を着た馬や、ドラゴンのようなものも見える。

まだ遠いが半日もあればこの村に着きそうだ。

……あれ、僕ってこんなに視力が良かったっけ?


「オレ達は帝国から逃げてきた農夫の集まりなんだ。だから帝国はオレ達を連れ戻そうとしている。労働力だからな」

「農夫じゃ軍人に勝てないんじゃ?」

「ああ、あいつらを倒すには武器も人手も鍛錬も足りない。だが、神の御力添えがあれば! 天候を操る、有利な地形を作る、兵に豪腕を与えても構わない、どうか頼む!」

「えーっ、そんなこと言われたって……」


あんな大量の軍勢に対し、たかが一人の高校生に何が出来るというんだ。

……だがモノは試しだ。

昨日の光のように、なにか出来るかもしれない。

僕は手を前に伸ばして軍勢に向ける。

そして、地面を叩くようなイメージで空中を叩いた。


「エイッ」


すると、大地が手の形にえぐれた。

砂嵐のように地面の土が舞い上がる。

敵の軍がいた山もゴッソリと削れ、山の形が変わった。

まるで浜辺に作った小さな砂山を、上から手で叩き潰したような地形なった。

その衝撃で地震のように櫓がグラグラと揺れた。


「これが、神の御業……。皆よ、神が悪賊を葬ったぞ!」


ソルアが下に向かって叫んだ。

民衆の沸き立つ声が櫓の下から聞こえてくる。

僕が、やったのか?

こんなに喜ばれたのは初めて――

次の瞬間、またいつもの自分の部屋に戻っていた。

また夢だったのだろうか。

いくら神様だからって、あんなバカバカしい能力なんて有ってたまるか。

そう思いながらも、その力を使った実感でホクホクした気分になっていた。

僕は不思議な夢を思い出しながら、ベッドに横になり眠りについた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ