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あの鳥のように(中編)


 私は、何が起こったか分からず、頭が真っ白になった。

 しかしすぐに悲鳴を上げた。男がそのまま、私の方へ前のめりに倒れてきたからだ。


 「きゃぁぁぁぁぁぁぁーーーーー!!」


 私が避けたその場所に、そのまま男が倒れこむ。  


 その時、お兄ちゃんが居間から飛び出して来てくれた。


 「どうした!何があった!」

 「お兄ちゃん!この人、急に口から血を吐いて倒れてきたの!!こわい・・・」


 お兄ちゃんは私の手を掴んで居間へ引っ張り込んだ。

 私を見て驚く義父。持っていた荷物を降ろし、私を引き寄せてくれた。


 「どうしたんだ真奈美ちゃん!顔や手が血だらけじゃないか!何があったんだ!!」

 「尋ねてきた男の人が、急に血を吐いて倒れこんできたの!こわかった・・・」


 義父はお兄ちゃんと顔を見合わせると、お兄ちゃんが聞いた。


 「父さんの名前を呼んでた様にも聞こえたけど。知ってる人?」

 「いや、まあ・・・」


 義父は私の方を見て、ため息を吐くと、喋り始めた。


 「真奈美ちゃんも分かっているから話そう。あの声は眞澄の浮気相手だ。今日、私よりも早く病院に来ていてね。少々言い合いになってしまって・・・。しかし、今日の今日で、私に何の話があったんだろう?」


 そ言うと、義父が動こうとした。

 その瞬間、お兄ちゃんが手で制止した。


 「僕が状況を見てくるよ。父さんは真奈美の側にいてあげて。」

 

 義父は頷くと、私の隣へ座った。


 お兄ちゃんは玄関の様子を伺いながら、そっと居間から出て行った。


 少し経った頃、義父が呟いた。

 「ああ、こんな大事な日に何てことだ・・・。」


 ・・・大事な日?

 そうか、この後、お義父さんとお兄ちゃんは、新しい家に行っちゃうんだ。私をたった一人、置いて・・・・・・・・・・・。


 

 乱暴に居間に走りこんで来たお兄ちゃんは、こちらを見て驚愕の表情を浮かべた。


 「真奈美!!お前・・・父さんに何してんだ!?」


 え?なに?


 ハッとしてお義父さんを見ると、喉元を手で押さえていた。その手の下からは、血があふれ出て、呼吸はヒュー、ヒューと漏れているような音を立てていた。

 そして、義父は前に突っ伏した。 


 私の手には、血まみれのはさみが握られていた-----。


                             続く

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