7 説明を求む
2階の南東側、客人用の部屋の一つを用意してもらった。
薄暗い部屋にはベッドと机が一つ。窓が一つ。飾りのない白い壁。
小さな机にはロウソクが灯る器が置いていて
ベッドの上には刺繍の入った布がかけてある。
アルマスに、食事の後よかったら部屋で話でもと誘われたけど
色々あって疲れたし、頭も整理したかったから明日にしてもらった。
特に強引な所も無くて、紳士的だ。
「惚れ薬って、本当に効いてるの?」
ベッドに座りながら問いかける。
物珍しいのか、辺りを光りながらブンブン飛んでいる妖精にだ。
『もちろん効いている。妖精の特別な薬だからな。』
『ただ…効きが強い弱いは個人差がある。どんな薬だってそうだ。』
そうよね、見た感じ理性的だし、健康にも問題なさそうだし、
思いっきりぶつかったのも気にしないでもらえたし、
好感を持ってくれる位なら、泊めてもらえたんだし結果良かったのかも。
普通だったら貴族のお家になんて
道端で出会った素性もわからない人を泊めたりしないよね。
レナさんもそりゃ心配するよ。
「薬の効果はいつぐらいに切れるの?」
それまでには出ていったほうがいい気がする。
『さぁ…個人差があるから。どんな薬だってそうだ。』
「ちょっとちょっと、大体の目安とかはあるでしょ?」
プーはうーんと考え込む。
『数日から…数ヶ月…くらいかな?大体。』
全然目安になんない…。
薄々思ってたんだけど、偉そうなだけでこの妖精ダメ妖精なんじゃない…?
「それより、説明して!」
プーをしっか!とつかまえる。
『へっ!?』
私の体のこと、これからどうなるのか、
妖精王さんが言ってた「おつかい」のこと…
全く聞かされないまま、こんな所にいるんだから。
「ちゃんと説明するまで、この手を離さないんだからね…!絶対に…!」
気迫勝ちしたみたいで
プーの喉がゴクッと鳴った。