59 また二人の夜
最終的には完全に開き直っていた。
あ、肩ちょっとだけ揉んでくれる?
あーそこそこちょっと右のあー左左、あーその周辺とあと背中も。
マッサージ最高~。
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「アルマスー」
宿に戻るとすっかり夕方になっていて、アルマスの部屋には灯りがついていた。
自分の部屋に戻って鳥かごからプーを出すと
少し元気が無いようで、参ったよと言いながらベッドの近くですぐに寝てしまった。
…色々考えることもあるけど、またプーが起きてから相談しよう。
そうそう、ブリジットとはお城で別れたことを言わなきゃ。
ドアを何気なく開けると、ベッドの上に上半身裸のアルマスが座っている。
「わわっ、ゴメン!」
慌てて部屋を出ようとすると
「ワカ。」
アルマスが呼び止める。
「背中、手伝ってくれたら助かるんだけど。」
背中?
振り向くとやっぱり上半身がハダカで眩しい。
アルマスは、腕を伸ばしてタオルでこすっている。
あ、お風呂っていうか体を拭いてたんだね。
この国の人達は、ほとんど夜にお風呂に入らず朝の身支度の時に湯浴みをする習慣が普通なんだそうだ。
もちろん体が汚れた時なんかは夜でも体を洗ったりはする。
私は可能であればお湯をもらって寝る前に体を拭いたり、足を洗ってからベッドに入るようにしていた。
アルマスは特に貴族出身だから、身支度やお風呂を手伝ってもらうのは普通の感覚みたい。
いつもお世話になってるんだし、お背中流しますって感じでお手伝いしようかな。
「わかった!」
お湯の桶を追加して持って来てもらう。
タンスの中のタオルを沢山出す。
「よーし!寝そべって!」
「う、うん?お願いします。」
大きなタオルをベッドに敷いて、タオル一丁の姿でそこにうつ伏せになってもらう。
まず最初は、小さなタオルを絞って目元に当てる。
アルマスが眼精疲労してるかわからないけど、これが気持ち良いんだよね。
「うつ伏せで息は苦しくない?」
「大丈夫だよ。」
続いて、お湯を残し気味に絞ったタオルを両肩にそれぞれ乗せる。
頭の付け根から首にも、もう一枚。
首と肩を温めて血行を良くする。
「熱くない?」
「うん、気持ちいいよ。」
よしっ。
では上半身から。
絞ったタオルでマッサージしつつ拭いていく。
「今日はどうだった?」
「うん、紹介してもらったカーリーさんがすごく良い人だったよ。
すぐにでも働きに来て欲しいって言ってくれたけど、家を決めてからにしようと思って。」
そうか…こっちはこっちで話が進んでるなぁ…。
ええい、今は考えるのをやめて集中!
先ずは指先、手、手首。
体の先端から心臓に血を返すイメージで、順にほぐしながら拭いていく。
拭いた場所は乾いたタオルでマッサージして冷えないように水分を拭う。
背中も、腰から上に向かって体重をかけながら揉んでいく。
「あっ…ワカ、気持ちいい…ソコ…。」
いや、そんな色っぽい声ココで使っちゃうの?
効いてるみたいで嬉しいけど。
上半身は最後に肩に乗ったタオルを固く絞って、タオル越しに肩と首をほぐす。
首も頭の付け根から揉んでみるけど、小さい手だとあまり握力が出ないな。
上半身に毛布をかけて冷えないようにして、次は下半身。
「足もやっちゃうよ?」
「うん、好きにして…。」
あいわかった。
大切な部分はしっかり毛布で隠して、足に行きます。見てないよっ。
さっきと同じ要領で、先ず足先から中央に向かって。
足の裏にはツボが沢山あるって聞くから、熱めのタオルで念入りにマッサージ。
くすぐったいのかアルマスが震えている。
握力無くてごめん。これプロの人にやってもらうと泣くくらい痛いのよ。
でも続けさせてもらうからね。
足首を回したり指を伸ばしたりして少しストレッチも。
それから筋肉がしっかりついたふくらはぎをマッサージ。
顔が綺麗だし性格も穏やかなので華奢なのかと思えるけど、しっかり筋肉はついていて鍛えてるんだなと改めて感じる。
よく気がつくし、努力家だし…。
「…?」
「ああ、ごめん、考え事しかけた。」
今は手を動かす!
筋肉をほぐすようにマッサージ!
リンパ液も流す!血は心臓へ返す!
「あ~いい…」
足は体重かけれるから、少しは気持ちいいかな?
フトモモは大きな血管通ってるから、体重かけて血を返す!
ぐい!ぐい!と体重をかける度にアルマスの吐息が
はぁぁ…と漏れる。
いや、その声、録音したもの売ってくださいませんか…。
「よし、終わったよ!」
「…。」
アルマスは無言でくるっと寝返りを打つ。
あー、ハイハイ、前もやらせていただきます。
足先から、マッサージとストレッチを挟みながら拭いていく。
足はこんなもんでいいでしょ。
毛布を足先までかける。
パサッと音がして、上半身の毛布が腰までめくられ
アルマスは目の上のタオルが落ちないように片手で押さえている。
えっと、裸が眩しいんですけど、ここも当然やれと…?
少しぬるくなった目の上のタオルを取り替えて、押さえなくても上手く乗るように置く。
「ありがと。」
「うん。」
手はさっきもやったけど、もっかい軽く拭いて、次は腰かな。
タオルで触れるとピクッと腰があがる。
あ、どこを拭くか言いながらじゃないと見えてないしそうなるよね。
ってかこれ、目隠しプレイ的なものになってない?大丈夫?
「…腰から上に拭いていくね。」
「うん。」
お湯が冷めてきたから、風邪ひかないように手早くしないと。
大きめのタオルを絞って、ざっくりとお腹から胸を拭く。
ちゃんと脇も拭きます。
目に置いていたタオルも取ってぜんぶ湯桶に入れる。
アルマスの顔も新しいタオルでちょんちょんと拭いて、終わり!
「終わりだよ。」
「ありがとう!」
アルマスが抱きついてきた。
っていや、裸ですよ!
「ありがとう、すごく気持ちよかったよー。」
効いた感じ?良かった?
抱きしめながらぐりぐりと頬ずりしたり撫でられたり、
犬のトレーナーみたいになってるよ。
でもまぁ喜んでもらえて嬉しい。少しはいつもの恩返しができたかなぁ。
「よし、次はワカの番だね。」
「え?ええ!?いや、自分でやりますからっ!!」
「ん?拭くだけだよ?それとも、、他のことしたい…?」
…
抱きしめられたまま、アルマスに口づけされる。
いや、その、あの、違、、。
一気に力がふにゃふにゃと抜けて、抵抗できない。
唇、頬、目尻。何度も、小さな音を立ててキスをする。
アルマスの体が温かい。
肌って、気持ちいいな。背中もすべすべしてる。
「はぁ。ワカ、、愛してる…。」
胸がぎゅーっと締め付けられる。
何で私を?とか聞いてみたいけど、胸が一杯で放心状態だ。
その言葉が本当に嬉しい。
ぽーっととろけてると、手がスッと足先から服の中に伸びてくる。
無抵抗でそのまま服を脱がされてしまった。
それでも恥ずかしいからなんとか見えないように服を前に持って隠す。
服ごと抱きしめられ、背中を撫でられる。
スッと指が背中をかすると、ついビクッと体が跳ねる。
「あ、、。」
それをキッカケに大人のキスが始まる。
ふぁ、、気持ちいい。頭がボーっとすりゅ。。
・・・。
「じゃ、お湯が冷める前に拭くからね。」
うう~、ずるいぞ…。
体も心も痺れて完全に無抵抗になったところで
アルマスに全身お世話されてしまった。
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アルマスが出てこないので発作的に書きました。
隙あらば差し込みたいんですが中々…。
不定期更新ですが、気長に続きますのでお付き合いいただけたら。




