56 指輪の姫1
世界中の最高のものが揃っているのかと思うくらい華やかだった。
色とりどりの花が咲く宮廷庭園を抜け居館に入ると、大理石で出来た広い廊下に、高い天井にはシャンデリア、飾り窓も大きくて明るく日の光が差し込み、正面の大階段には絨毯が敷かれていた。
豪華。
木の食器が、銀食器になるくらい今までと文化レベルが違う。
1階にはホール、正賓室、応接室などの他に、西側はガラス張りの屋内庭園、植物園のようになっていて、そのまま外のプライベートガーデンへ抜けることが出来る。
屋敷に入る前に通った庭ではなく、中央山脈側の四季折々の景観を見ることができる特別な庭らしい。
大階段を上がりながら見上げると、天井の中央がガラス張りになっており屋敷のすべてを明るく照らす設計になっていて、2階は王族の寝室と更衣室や執務室などプライベートな部屋が並んでおり、リアン姫の部屋は東奥の角部屋にあった。
「こちらでお待ちください。」
姫はまだ着替え中のようだ。
薔薇の花が活けられた白いテーブルには、紅茶が入ったティーポットやカップ、ミルクポットなど揃えられていて、メイドさんが2人部屋の隅に控えている。
「なんか緊張するね…。」
お姫様に対して上品に出来るだろうかと思いながら、ブリジットの後ろに立つ。
「大丈夫よ、彼女の性格はわかりやすいから。
あとで友人として紹介するから、それから皆でお茶をいただきましょうね。」
「いや、立ってる方が気楽だけど…。」
そうおっしゃらずに、などと言っているうちにリアン姫の用意が出来たようだ。
バーン!!
ドアが思いっきり開いたと思うと、少女が駆け足で向かってきた。
ブリジットの前に立つと指をビシッと差して叫ぶ。
「いけしゃあしゃあと、よくもまぁ来れたものですね!ブリジット!!」
えっ、えっ、これ大丈夫なの!?
「…ニコッ」
ブリジットが笑う。
少女の顔がみるみる赤くなり、ふにゃっとゆがむ。
「待って…待ってなんかないんだからねっ!!」
とブリジットに抱きついた。
えーっ、これは、ツンデレ?
よーしよしよしと頭を撫でられて至福顔をしている、これがリアン姫…。
栗色の長い髪、ブリジットよりも少しだけ幼く見える少女。
「いつでも遊びに来てって言ってるのに、どうして全然訪ねに来こないの!?
さっ、寂しいとかじゃないけどっ!!」
「教会が仕事ばっかりさせて、会いたくても会いに来れなかったんですの。
今回は教会を抜け出して来たんですのよ。貴方に会いにね。」
リアン姫は、また頬を染める。
「わxt、わっ、私にっ!わっ、!?」
リアン姫、落ち着いて!
続けてブリジットはお芝居がかったため息をつく。
「でも、明日の朝に迎えが来るそうですわ…。勝手に抜け出して、これは罰を受けますわね…。」
「お姉さまに罰を!?そ、そんな!許さないっ!教会を焼き払ってやりましょうか…!」
「ウフフ。貴方からの招待ですって言ってくれるだけで助かりますわ。
それと、しばらく王都に滞在したいのだけれど…。」
「しばらくッ!?もちろん!1階の来客用の部屋が沢山空いてます!私の部屋でも良いですが…」
「1階は植物園が見れていいわね。しばらく内緒でかくまってもらえたら嬉しいわ。」
「はいっっ!お前、手配しなさい!」
控えていた執事が礼をして出ていく。
「さっ、そろそろ落ち着いて、テーブルに座りましょう?」
ずっと座ってるブリジットにすがりついている格好だったのに気付いた姫はテーブルに着く。
自然なタイミングで紅茶が入れられ、ダージリンの良い香りが部屋を包む。
姫は紅茶を一口飲むと、ふぅっと息をついた。
「こんな感じの姫なんですの。彼女はワタクシのファンクラブ1号をやっているんですのよ、ワカ。」
ブリジットはこちらを振り向き笑う。
リアン姫もパッと顔を上げて、こちらを…睨んだ。
「…お前、誰?」
鋭い眼光に、少し背筋がピンと伸びた。
・
あまり進まなくてすみません。
不定期更新ですが、気長にお付き合い&ブクマいただけたら嬉しいです。




