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54 会議と決意

「ワカ、教会からお達しが来ましたわ…。」


ブリジットは、スッと一通の手紙を顔の前に掲げる。


「えっ!うん、なんて書いてあったの?」


さっき宿屋の人に渡されてたのは教会からの手紙だったのか。

この世界の字は読めないから…ペラツと手紙を広げて読んでくれる。


【今日は日曜だから、明日の朝一で迎えに行きます。

 あと、バツとして1週間毎日ボランティア活動をすること。教会騎士団 ルウェイン】


「ボランティア活動って?」


「ドブ掃除とかトイレ掃除とか…」


「…ご、ごめんね?」


「謝ることないですわ。ついて来たのはキッカケでしかなくて、教会に居たくないから抜け出してるだけなんですもの。」


全く反省してないブリジットがフンッと息巻く。


「ただ、ワカに協力出来るのが今日だけになってしまいました…。

迎えが来るまでに逃げないといけませんので。」


「えっと、教会には戻らない…のね?」


ブリジットは、え?なんで戻らなきゃいけないの?

って顔をしているから、健闘を祈ることにした。


今日だけで出来ること。最低限の目標はどうしよう。

さて、何から考えようか。

プーはテーブルの上にちょこんと座ってこちらを見ている。


「じゃあ、会議を始めようか。」




---




アルマスは商会へと出かけて行ってしまったから

今日はブリジットと好きに行動ができる。

でも、今日だけで何が出来るだろうか。


「さぁ!何を企んでらして?ワカ。何でもおっしゃって?」


昨日はベッドを占領してたっぷり寝れたお陰か、

ホーホホッホと高笑いでやる気満々元気一杯なブリジットだ。


「まず、指輪について教えて欲しいんだけど…。」


「指輪って…王家の秘宝の【女神の指輪】のことですの?」


プーを見て、頷き合う。


『それだと思う。200年前に妖精王が人間の姫に渡した指輪。』


プー側の話では、妖精王が人間の娘に渡した指輪で、

その子がディエバス様を倒しちゃって、

そのまま指輪の力で国を平定したとかなんとか…。


「勿論この国の歴史に関わる指輪ですもの、誰でも知ってますわ。」


グレイディース王国が出来るずっとずっと昔の話。

この大陸には魔物が多く住み、山は火を吹き、病も多く、人々は悲しみと恐れの中、細々と暮らしていた。


そんな時、建国王であるアイダン様が

神ディエバスより【女神の指輪】を授かり、魔物や亜人達を北と西に追いやり、人間が住める国を南に作った。


「だからこそディエバス信仰、ブロドウェン教は国の重要な信仰であり人々の特別な心の支えになっていますの。」


前にアルマスから聞いた話とほぼ同じだ。


『つまり人間達の中では、妖精王からもらった指輪がディエバスからもらった指輪ってことになってるのか。』


そして、ディエバス神を女王様が倒した話は無かったことになってると。



「…それでブリジットか誰かが、そろそろディエバス様に覚醒するんだっけ?」


ブリジットは人差し指を立ててしーっ!と慌てる。


「そ、それは教会の極秘事項ですので、あまり口に出さないでくださいませね?」


はぅ、とため息をついてる。


「期待薄ですけど、そろそろ神の記憶か何か思い出したりしないかしら…。

 嫌ですわ、こんな役回り…。」


そのうち神様が覚醒したらどうなるのかな?

でもブリジットは神様になんてならずに、このままの彼女で居て欲しい気もするな。


「で、その指輪だけど、普段はどこにしまってあるの?厳重に金庫にしまってあるとか…。」


ブリジットはふむむ?と首をかしげる。


「指輪は王女がいつもはめてますわ。魔法を使う時必要ですから。」


「指輪って魔法が使えるようになる代物なの?」


「いえ…神の使い、のようなものを使役しえきできると言えばわかりやすいかしら。」


「何か、魔物のようなものを、えーと、操ることができる系の魔法ってこと?」


某、ポケ○ンみたいな…?って例えが悪いか。

召喚士とか、魔獣使いとか、そういうたぐい?


「教会的には魔物という言葉ではなく神聖な神の御使みつかいと呼ぶべきですけれど。

 黄金の翼が生えていて人にも鳥にも姿を変えられる、神の存在を証明する存在。

 特別な式典などでたまに姿を見ることがありますわね。」


「ブリジットも見たことあるの?」


「遠目には。近づくことは許されないですわ。」


「そんなにすごい、存在なの?」


「うかつに近づくと危ないのもあるかもしれません。

 国を滅ぼすことも出来るという、強大な力を持つ御使いですもの。」


うむむ、と考えているプーを見る。


『うーん。多分、指輪の魔法生物だと思う。ここの神様をやっちゃうくらいだから強力なんだろうな。』


「ちょっとプー!強敵ってこと?」


危ないのは困るんだけど、アルマスのためにも。


『でも出発前に聞いたのは、もうほとんど指輪の力は残ってないって聞いてたけど、どうなんだろうな。

 見たらその辺はわかるかも。』


うむむ。

例え御使みつかいが弱っていたとしても、貧弱な自分が勝てるとは思えない。

アルマスに抱きしめられたのを押し返すことも出来ない筋力だし。


『別に戦わなくてもいいだろ?指輪さえ手に入れれたら。』


それもそうだ。

ゲームの勇者じゃないんだから自分が戦うとか、そういうのは想像もできないわ。


まず、指輪の在処と、どんなものか見れるだけでもいい。

あとで忍び込んで探す目安になれば十分だ。

闇の精霊さんの使い方もわかってきたし。


「ブリジット、王女に会うことは出来るかな?それだけで十分助かるんだけど。」


「会うだけでいいんですのね?それだけ?」


こくり、と頷く。

危ないことは無しって約束したから。


にこっと金髪の少女は笑う。


「ええ、日曜は王城の教会で礼拝があります。ワタクシなら顔パスで入れますわよ!!」


よし、お城へ―。



現状整理回。

設定複雑だなって思う部分は読み飛ばしてくださいませ。

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