41 お茶会への招待
コンコン☆
「ブリジット、ワカ様、お早うございます。」
巫女専用のメイドはロワさんとセナさん2人いて、
ブリジットのお世話はロアさんが中心でしているそうだ。
メイドといっても同じ職場仲間のような関係で、日に5回の巫女達の舞台メイクや着付けなどが主な仕事だ。
26歳になる年上のロアは、優しくも厳しく巫女達を管理している。
ブリジットが扉を開ける。
「ロア…お早う。ん?これは何?」
「アラン様からの伝言です。ワカ様に。」
差し出された封筒を躊躇いなく開ける。
ふむふむ…。
「マクファーソン家に招待された…?あいつ、こっちが断れない方法を考えたわね。」
「ブリジット、貴方をサボらせる為にワカ様のお世話を任せているんじゃないのよ?
マクファーソン家は教会にとってとても大切な間柄。失礼の無いようにね?」
「…わかったわ。私もついていくって返事をしてちょうだい。で、何時に?」
「午後のティータイムには来て欲しいそうです。」
「支度を頼むわね。ワカの分も。」
「はい。では後ほど。」
パタン。
「…というわけよ。」
「ごめん、どういうコトになったの!?今の?」
ベッドから起きたばかりで、全く把握出来なかったけど
どうやら今日の午後、アルマスから外出のお誘いがあったそうだ。
盗賊に襲われた時に乗り合った、あの老夫婦。
また訪ねる約束をしていたマクファーソン家に誘われたらしい。
「えぇ…どうしよう…。」
どんより心が重くなる。
「ごめんね、教会としてはマクファーソン家はお得意さんで、無下に出来ないのよね…。」
でも、一緒に行くから大丈夫!とブリジットは胸を張る。
『いいじゃないか、薬の効果が本当に切れたか確認できるし?』
プーもブリジットも簡単に言うけど…。
「なんか、嫌われてたら怖いな…。でも、それだけのコトもしたしな…。」
ブリジットはコツンと優しく頭をこづく。
「バカね。もしあの男が急に態度を変えるような、しょうもない奴でしたら、ワタクシが引導を渡してやりますわ!」
しょうもないって…。
引導を渡すって、何をする気なんだろうか。
「大丈夫、ワタクシもいるし、近くに貴方の妖精も守ってくださってるんでしょう?」
「あ、うん。そんなに役には立たないけど…。」
『なんだよ~っ!』
「うふふ。それだけ言えたら大丈夫ですわ。さっ、支度をしましょうか。」
「うう~。」
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お昼過ぎ。
借りたドレスは貴族が着るような豪華な服。
白いシルクのリボンが沢山ついた水色のストライプ模様のドレスに、日よけに水色のリボンがついた帽子をかぶせてもらい、これで髪の毛が長かったらフランス人形みたな格好だなぁと思える少しゴテゴテした服を着せてもらった。
「汚さないように注意しないとね。」
「大丈夫よ、寄付されたけど着る機会が無いような服たちだから。」
巫女のファンは全国的に多く、寄付という名のプレゼントも多くもらうそうだ。
ブリジットは黄色のストライプのドレスを着ていて、色違いの帽子。
金髪カールの髪型に服装がよく似合っている。
「お土産をこちらに。授与品の新作、黄金のハートが描かれている栞と刺繍入りハンドタオルセット、芋を揚げて作ったハートの折菓子です。くれぐれもよろしくお伝えください。」
「うちの授与品、段々節操無くなってきてるわね。まぁいいけど。」
ロアさんにすっかり準備も手伝ってもらい、巫女塔を出る。
お昼のステージが終わった所で、人々がバラバラと散開している所だ。
「では、アラン様は裏手の馬車でお待ちです。」
ドキッ。
アラン―、アルマスの事を思うだけでまだ心臓がドキドキする。
間違えて自分が惚れ薬を飲んでしまったんじゃないかと思う位。
ブリジットはそっと帽子を撫でる。
「喋りたくなければ、何も喋らなくていいんですのよ。ワタクシがアナタの100倍喋りますから☆」
ブリジットを見上げると、ウインクをくれる。
色々大変なのに、こんなに明るく前向きになれるのっていいなぁ。
私も見習っていきたい。
勇気ももらいたい。
・・・。
教会の出口を抜けると、壁沿いに馬車が一台。
はぁっと深呼吸をして、乗り込む。
重いドアを開けると、アルマスとロナンが。
「なんでアナタまでいるんですの!?暑苦しいですわっ!!」
「儂も誘われておるんじゃ。ジジイ同士で知り合いでの。ふぉっふぉ。」
文句を言いながらブリジットが先に乗り込み、続いて座る。
アルマスは、何も言わずに静かな笑顔を向ける。
ロナンさんが居てくれて、ちょっと場が楽になったなぁとホッとした。
少しだけ、薔薇の香りが、アルマスの香りがする。
胸が段々と苦しくなってくる。
早く、お屋敷に着かないかなぁ。
アルマスへの謝罪の気持ちと、好きだって気持ちが
心の中でぐちゃぐちゃになっていた。
心の描写多めですが、もう少しお付き合いください。




