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40 秘密の女子会

ブリジットは、昔は子供達の世話もやっていたらしく、

それなりに世話を焼いてくれたり、お姉さんが板についている感じだ。


「アナタ、また泣いていたの?…まだまだ子供ですわね。」


中身はアラサーのはずなのに、子供ですみません…。


「で?さっきアランと何を話していたんですの?」


もう寝る準備はバッチリの姿で、シルクのヒラヒラパジャマだ。

布団の中にいそいそと潜り込んで来る。


「うーんと…」


何をどこまで話をしていいのかわからないけど…。


「…好きなんですの?」


うふふと顔を近づけてくるブリジット。

月明かりが優しくて、なんとなく今は色々話をしたくなっていた。


「なんか…すごく好きみたい。ドキドキして。」


「ウフフ♡」

『ふへへ』


女子トークに1匹混ざってるけど、仕方ない。


「でも、もう終わりなんだ。」


「えっ?」


「えっと…正直に言うと、あの人に妖精の惚れ薬を飲ませていたの。」


本当にバカなことをした。


「惚れ薬…!物語に出てくるような、そんなものもあるんですのね…。」


「そう、それで…」


彼に協力してもらって、ここまで旅をして来たこと。

昨夜の盗賊にも薬を飲まれてしまっていたこと。

さっきはポピーの花と一緒に、解毒の魔法をかけたこと。

そして、アルマスにも解毒の魔法をかけたことを簡単に話した。


「だから、多分、もう、嫌われてるかもしれない。」


明日には自分のこと好きじゃなくなってると思う。

悲しいけど、それが元々の姿だし。

優しいことにつけこんで色々利用してきたんだから、嫌われて当然だし。


「…だから、これから一人で王都に向かえたらなと思ってて。王都の親戚の所まで…。」


盗まれたカンパの入った巾着袋は戻ってきたけどそんなにお金は無いだろうし

その前に子供は馬車は借りれないかも。

王都はここから遠くないって聞いたから歩いていけるかなぁ?


「無理よ無理。出口でまず出れないわ。手続きした紙が無いと出れないのよ。」


ああ、入り口で何か手続きしてたっけ。全然覚えてなかった。


うふふとブリジットは付け加える。


「一般はね。ワタクシなら出れますわよ。」


「えーっと…」


「ワカ、私に貸しがありましたわね?馬車で助けたことは覚えてますわね?」


「鳥になりたいって言ってた時の…?」


「そ、それは忘れてって!!」


ブリジットは恥ずかしがって横に向き直す。


「…あの時も脱走したんですの。リアダンへは少し遠すぎましたわ、次は王都にします。」


「えっと、ついてくるってコト?でも何で脱走なんかしたいの?」


待遇も良いし、あんなに歌も上手で、皆にちやほやされてるのに?


「ちやほやって…それはワタクシを神の生まれ変わりと思ってる人達だけですわ…。」


ブリジットは暗い天井を見つめている。


「これは教会の数人しか知らされていない事ですけど。」


人の守り神、生命を司る女神、

国家宗教であるブロドウェン教の信仰する神―、ディエバス神。

そして神は実在する。

その神は、神でありながら寿命を持ち、生まれ変わりを繰り返している。


(そうなの…?プー?)

『今の事情は知らない…。』


「コホン。続けてよくって?」


人間とほぼ同じ寿命を生き、

死ぬ時に生まれ変わりの日時を予言して死に、

その日時に教会の周辺に生まれ落ちるという。


「それがブリジット?」


「…そうらしいですけど。」


子供は大切に育てられ、15歳までには神の記憶を取り戻し

そして人の神として世界を平和と幸せに導くのだという。


教会の教義の「全ての子供を大切にすること」は、このことから来ている。

ちなみに神が不在の年月を闇の時代、神が覚醒してからの年月を光の時代と呼ぶんだそうだ。


「えっと、神様になるの?」


「もうすぐ15歳になるはずですけど、どうなるか自分でも疑問だわ。」


はぁっとため息をつく。


「本当言うと怖いんですの。普通の子供の可能性が高いって、神官が話してたのを昔聞いてしまったし…。何も予兆が無いのよ。」


「魔法も奇跡も起こせないし。」

ブリジットが指をぐるぐる回す。


「じゃあ、もし普通の子供だったらどうなるの?」


「ハタチまでは巫女として置いてもらえるらしいですわ。念の為…。

 でもその先は、そうですわね、地方の孤児院で働くことになるのかしら。」


「…大体、神様になんてなりたくなんて無いんですの。でもその為に育てられて来て。

 なら今、ワタクシの生きている意味って何ですの?

 神様なんて本当に居るんですの?それがワタクシとか考えられませんわ。

 ずっと勝手に期待を押し付けられて来たんですのよ…!」


ブリジットは天井を見つめる。


「だから、ここを出るんですの。」


「もし、もしワタクシが神として目覚めたなら戻って来ます。でも違うのなら…。」


巫女として、神の生まれ変わりとしてプライドを持ってここまでやって来たんだろう。

でも、彼女の一番の存在理由が違ったとしたら、とてもこの場所にいられないだろう。


「普通の女の子として生きれるってコトですわ!!」


へっ?


「恋がしたいんですの!!!恋愛小説のような、恋がっっ!!!自由にっ!!!!」


そ、そこなんだ…。


「あ~ん、羨ましかったんですわ。あんなイケメンに大切にされて!ワタクシは王都に行って王子様でも捕まえに行こうかしら!? あ、その惚れ薬はいただけますの?無事王都まで送ってみせますわよ??」


「えっ、ダメダメ!惚れ薬は悪い事だから、もう使わないって決めたんだもん。」


「…まぁ、アナタの辛い決断は尊重しますわ…。ワタクシなら実力で出来ますもの。」


すごい自信だ。わけて欲しいくらい。


「アナタも一つの恋で終わった気になってないでしょうね?出会いなんてこれから幾らでもありますわよ!?自由が待ってますのよ!!」


ブリジットが燃えている。

恋愛関係はよっぽど不自由してるのかしら。


一つの恋かぁ。


自分の心の奥はくすぶったままだ。


それから眠くなるまでの間、

どんな恋愛が最高かとか、どんな人がタイプかとか、

他愛のない話を続けた。


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