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4 出会い

バキバギバギバギ☆ドゴォォ!!


「ぐウォッ!!・・・死‥ゲホッゴホッ‥・ッ…。」



・・・。

少し気を失ってた。


子熊のような固まりが胸の上に落ちてきて、俺死ぬかもと思ったとこまで覚えてる。


安らかな昼寝をしていたのに。

いや、サボってたから神罰が下ったのか。

熊と一緒に落ちてきた葉っぱやら何かを飲み込んでしまったらしい、口の中がザラザラする。



「あの~‥大丈夫です‥?」



ファンファーレが聞こえる。


辺り一面、光が差し込む。


そこには天使が居た。





---


「ちょ、木から落ちたんですけど!?プー!?」


『たまたま出口が木の上のこともある。』



はぁーなんか散々な目にあってる気がするよ。


扉の先の霧を抜けたと思ったら、突然足元が無くなって、落ちたみたい。

でも、そこで伸びてる人の上にちょうど落ちたみたいで助かりました。なんかごめんね。

体は全然痛くない。


『無事に人間国に到着したようだな。』


んで、手のひらよりも小さなサイズになったプーが、まさにフェアリーにようにフワフワ周りを飛んでいる。

少し透けて、ぼんやり光っているような、輪郭がぼけているような。

服もTシャツにズボンみたいな普通の服だ。


「なんでその姿?」


『体は通れないから、精霊の姿に近くなったんだ。問題ない。』


…問題ないならいいんだけど。

はぐれたと思ったからそれはよかったよ。


「それで‥これからどうするの?私何も聞かされて無いんだけど。」


プーは、ポシェットらしきものをゴソゴソして、

正露丸くらいの大きさの赤い実を取り出す。


『これを、そいつに飲ませるんだ。』


もしかしてクッションにしちゃったあの人?

怪我を治す薬なの?


伸びてる人に恐る恐る近づく。


あー、男前だ。


胸まである長い黒髪。年は20代後半くらいかな。

整った西洋顔で、手足はスラッとしてる。

洋服も簡素だけど清潔そうなものを着てるな。

布に触るとしっかり厚みがあって、、これは綿じゃなくて羊毛かなぁ。


『何やってるんだ?早く!』


ああ、小さくても口うるさいなぁ。

この人気絶してるのに、飲み込めるのかな。


口は半開きになってるので赤い実を奥の方へ押し込んだ。

ゴクッと喉が動いたから、飲んでくれたみたい。

そのまま隣の木陰で様子をみることにした。


「これでいいの?そんなに言うなら自分で飲ませたらいいじゃん。」


『俺は人間に触れない。精霊に近いって言っただろ?』


いや、精霊ってのが何なのかピンと来てないんですけど。

妖精と精霊は違うのかなぁ。

精霊ってのは、体が無い、つまり幽霊みたいな感じなのかな?


私は妖精の姿なんだろうか。

妖精ってティンカーベルみたいなカワイイのから

ゴブリンみたいなのまで色々あるみたいだけど…

不安になってきて顔をペタペタと触ってみる。


「ねぇ、そのポシェットに鏡とか無いの?」


『無い。』


「で、これからどうするの?私どうなるの?元の体に戻れるの?鏡どこかに無い?」


プーを問い詰めはじめた矢先

うう~ん…と身動ぎする音が聞こえる。



「起きたかな?あの実のおかげ?」


プーはニヤッと笑う。



『あれは惚れ薬だ。』




「へっ…!?」



合う。


視線が。



黒髪ロン毛の男前が。

振り向いて、目、見開いてる。切れ長の黒い瞳。


リーンゴーンって鐘が鳴ってる気がする。

爽やかな風がザァッて駆け抜けた気がする。

そんなに咲いてない花びらが舞ってる気がする。


「・・・それ、どういうこと?」


いつも説明が足りないよ。頼むよ。

プーは偉そうにフフンと笑う。


『単純な話。ちっぽけなお前なんかが人間の国で何ができるって話。

 言うことを聞く奴隷が必要だろ?』


いや、奴隷ってそんな言い方ある?

いやいやそうじゃなくって、惚れ薬って…。


「あの人は薬がもう効いてるの?」


『妖精の薬は万能だからな。』


コイツホントどうしようか。

でも薬を飲ませたのは私だし。

声かけるのすっごく嫌な予感がするんだけど。

でも、


「あの~‥大丈夫です‥?」



こちらを凝視しているイケメンの男性がハラハラと涙を流す。



「天使様…!おぉ、神よ…!」




こんなセリフ聞くことがあるんだーって。

すごくめんどくさい予感がする。



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