39 妖精のおしゃべり
大きなベッドの中。
部屋の明かりは消したまま、布団に潜り込んでいる。
巫女塔の3階は2部屋あり、北側の大きなこの部屋を好きに使わせてもらっている。
窓の外には月の精霊が、今夜も穏やかに舞っている。
「ねぇ、プー。」
『なんだよ。』
「指輪を取り戻して、どうやって妖精の国に戻るの?」
『ああ、それは指輪の力で戻れるから大丈夫だ。方法も知ってる。』
「じゃあ、妖精の国に戻ったら、私は元の世界に帰れるんだよね?」
『…まぁ、返してくれるだろ。あれでも神様だし。』
「…。」
ピンクの頭の妖精王。
耳もエルフ耳ですごく長かった。
指輪を持って帰ったら、ちゃんと話聞いてくれるかなぁ。
枕の端に座っているプーを見る。
「プーもさ。」
『…なんだよ。』
「一緒に人間の国に来るの嫌だったんじゃない?人間嫌いみたいだし…。私の付き添いで仕方なく来ることになったとか?」
『そうだよ、俺は城で働くことが出来て喜んでたトコだったんだ。』
手のひらより小さいサイズになってしまったプー。
最初に見た時は、お人形さんのような、なんて可愛い子なんだろうと思ってたけど
今では憎たらしい時のほうが多い気がする。
「じゃあ、それまでは何をしてたの?妖精ってどんな生まれなの?」
プーはあからさまに嫌そうな顔をする。
『もう。聞いたってしょうがないだろ?』
「教えてよ、おつかい頑張ってるんだから。」
『…。』
プーは元々、妖精の国でもいわゆる田舎の、寒い地方の大森林にある、
普通の木の一つの洞の中に普通に住んでいたんだそうだ。
そこで妖精の帽子屋をしながら生計を立てていたんだけど
ある日、空を飛ぶ妖精王の姿を見て目を奪われてしまったそうだ。
「…ひとめ惚れってこと?」
『違う違う、そうじゃなくて。あんな派手なの見たことなかったから、憧れだよ。』
空を割るほどの長い、虹色のドレスに、大きな蝶の羽
飛んでいる周りには何百もの妖精を従えて、それはそれは華やかだったそうだ。
『それで、いつか城で働きたいって思って、そのうち上京して試験受けて採用になってって感じ。』
「妖精にも試験とかあるんだ~。」
『まぁでも、城の仕事も思ったより地味でつまらないから、こっちの旅の方が色々面白いものが見れるし良かったかも。』
プーはぶらんぶらんと足を揺らしている。
「そっか。よかったよ。」
来て良かったって思ってくれてるんだ。
ついて来てくれて感謝してる。
不安な時にいつも手を握ってくれるの知ってるよ。
『お前の泣きべそ顔とか真っ赤な顔とか、すげー面白いしな。』
「こらぁ、プー!」
前言撤回。
妖精は勝手気ままがお仕事です。
「あとさぁ。」
『なんだよ。そろそろ寝ろよ。』
プーは足をパタパタさせている。
そんなに嫌がっては無いっぽい。
「この体って、妖精の体なんだよね?人間の子供と似てるだけ?」
『お前は木の妖精、植物系の妖精の体だぞ。俺もだけど。』
「そうなんだ、知らなかった!」
『目の色でわかるだろ~そのくらい。』
「いや、妖精の常識全くわかんないから;」
『あと、妖精は長生きが多かったりするな。何千年とか。』
「えっ‥何千年単位?」
長生きってことは…
「もしかしてプー、この体って成長しない?」
ロリババアとかそういうジャンルのアニメを思い出す。
うーんってプーが考える。
『妖精のジャンル広いからわかんねえわ。』
そうかぁ。
まぁこの体とも、短い付き合いかもしれないし。
今日は色々聞けたし、あまり考えないようにしよう。
目をつぶったその時。
コンコン☆
「ワカ?ちょっと良くて?」
ブリジットだ。
そういえば何も言わず戻ってきてしまってた。
丁度、もう少し話し相手が欲しかったところだし
もう少し、おしゃべりを続けようと思う。
今回はひとやすみって感じの回。
(大体1000文字以上~2000文字以内で書いてます。)
中々教会から旅立てないし、誰一人恋が叶ってないし、ですが
まだまだ続いていきます。




