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33 闇の激情

『やっと目が覚めたか!無事か!?』


ビクッと目を覚ますと、体は動かない。辺りは真っ暗。

誰かにキツく、抱かれている。

荒い息づかいが耳元で聞こえる。


「な‥?」


「やっと起きたか‥ガキィ…はぁ…。」


怖い、怖い、誰?誰??離して!


「…大人しくしてろ。」


闇の中で、床に置かれた剣の刃先が光っているのが見える。

プーが光りながら周りを飛んでいる。


『昨日の盗賊だ!教会まで追いかけてきて、みんなが祈ってる時にお前、さらわっ、攫われたんだ。

 今、教会の裏手を進んだトコの空き家で、えーと、アルマスやみんなが捜索してる!!』


動揺してるプーを見て、ちょっと落ち着きを取り戻す。


「えっと…昨日の…?」


「ははっ、覚えてやがったか…はぁはぁ…そうだ…。」


目が慣れてきて、薄暗い部屋が見えてきた。

きつく、後ろから両手で抱えられるように抱かれ、床に座っている。

小さな埃っぽい部屋で、上の方に小さな明かり取りの窓がある。


男の顔は見えない。

心臓の音と荒い呼吸が聞こえる。

筋肉質の両腕は、汗をかいていてすごく不快だ。


「お前は…俺のだ、俺だけの…」


男の息が荒い。

怖い。

気持ち悪い。

どうなるんだろう。

何をされるんだろう。

涙出そう。


『多分こいつ、3つもいっぺんに惚れ薬食べたから、おかしくなっちまったんだ。』


えっ、惚れ薬ってちゃんと効くの?


『…。』


あ、なんか言葉が顔に出てしまった。

いや、ビデリアは効かなかったぽいし、アルマスも効いてるのか性格なのか疑惑があって…。


『いいか、しっかりしろ!ここには、闇の精霊と月の精霊がいる。』


そうだ、それどころじゃない。


『隙を見て、闇の精霊にそいつを倒してもらうように言うんだ!』

『部屋の外に、あと3人いる。そいつらもだ。』


倒す?気絶させるってことだよね?

殺すとかじゃないよね。


「はぁ…いい匂いな…。」


べろっ。


嫌ーーー!!

なんか、髪の毛食べてる!?

この人変態!?変質者!!やだやだ離してーー!!!!


「みず…お水…おなかすいた…。」


必死で考えだした言葉。

とにかく離れて、一旦。


「あ?泣くほどか?お前痩せてるもんな…。」


手足を布で縛ってから、その男はゆっくりと腕を離し、髪を惜しそうに撫でるとドアへと出ていった。


「プー、闇の精霊さんって…」


『お前が想像出来ることなら大抵出来るから!早く!』


落ち着いて、落ち着いて。

私が選ぶ方法なら、私らしい方法なら何て頼む?


「闇の精霊さん、あいつが戻ってきてまた私に触れた時、耳と口を塞いで聞こえなくして、体も縛って動けなくして。」


部屋の隅の闇がうごめき、周りに集まってくる。


「月の精霊さん、このブローチをアルマスの所に、この場所まで導いて欲しい。」


帽子につけていたブローチが月の光に溶けて消える。


急に力が入らなくなってきた。

これが魔法を使うと疲れるってことかな。


『今、気絶したら魔法は無効になるから、絶対寝るなよ。』


精霊魔法は行使する間ずっと、術者の気力みたいなのを吸い続けるのか。


『絶対寝るなよ!!!』


その、フリみたいなのヤメテ…。




---




路地の石畳の上、見慣れた木のブローチが落ちている。


「これは!」


手を伸ばすと、フッと消える。

気の所為だったか。


すると少し離れた道の上に月光が差し、ブローチが落ちている。


駆け出す。


近づくとフッと消える。


次はどこだ。


何だっていい。


導いてくれ、神よ。




---




近づくな!誰にも渡さねぇ!

俺のだ!俺だけの宝…


今、それがこの手の中にある。

感じたことのない喜び、高揚感、最高だ。

とうとう手に入れた、誰にも渡さねぇ!


お前ら近寄るな!奪う気なら許さねぇ!

誰も部屋に入ってくるな!俺は本気だ!


あっ、鼻血が髪の毛についちまった。

綺麗な髪に、すまねぇ。


怯えてるのか?

こんな細い体で、きっと苦労したんだ。

もう怖がらなくていい。

俺がちゃんと食わせてやる。

誰にも触れさせねぇ。見るのもダメだ。

閉じ込めて、これは俺だけのものだ。


ああ、いい匂いだ。溶けそうだ。


髪の毛。サラサラだ…。つい、舐めちまった。

はぁ。


あ?泣くことなんかねぇぞ。


水?ああ、腹も減ったか。

ちょっと待ってろ。

ちゃんと俺が飼ってやるから…。




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