3 田舎領主のうたた寝
アルファルド大陸は、中央を走る山脈で大きく二分されている。
西側は王都や教会本部、貿易都市で多くの人が行き交い様々な文化が栄えており、
東側は農耕地帯の平野が広がり、村々をまとめる領主が点在しているいわゆる「田舎」呼ばわりされる地域。
もちろん俺もそちら側の人間だ。
けれど東の人間は、平野が少ない西の食料を支えてるのは俺たちの穀物なんだぞ、と誰しも心の内に思っているんだ。
それに西に住んだとしても国や教会がうるさくて自由に出来ないかもしれない。
西の最果てには邪悪な怪物が巣食っていると言うし。
のんびり小さな領主を勤めあげるのが一番の幸せだ。
南東に位置する小さな領地を治める、ダナン家の若き当主アルマスは
彼は屋敷の近くの丘で日課の読書とみせかけた昼寝を嗜んでいた。
メイドのレアの声が遠くから響く。
ああ、用事なら弟のエミルに聞いて欲しい。
俺よりもあいつのほうがしっかりしてるし、もう全ての仕事は覚えたはずだ。
昔から屋敷に仕えているから気を使ってくれるのはわかるが…もう父上はいないし…すぅ…。
初夏の木漏れ日の下、アルマスは夢に逃げる。
それが起こるのは、数分後のことだった。
導入部分もう少し続きます。