22 太陽の少女
「そこのお嬢ちゃん、大丈夫かい?」
境界の街、リアダン。
石造りの建物が幾重にも並び、少し歩くと大小様々な広場に出る。
農家が持ち込んだ野菜などの露天や、行商人の珍しい細工物を売る店、地元の店なのか焼き立てのパンを並べる屋台もあった。
中央の大きな広場の側には教会があり、その横にはホールのような建物。
看板には商会組合所と書かれている。
すべての道は舗装されていて馬車も通れるほど広く、午前中だと言うのに人々は行き交い、街は活気に溢れていた。
一軒の宿の前で、掃き掃除をしている少女。
この辺りでは一般的な、1階は食事処で2階は宿泊所になっている宿だ。
年は12歳くらいだろうか。胸まである長い髪の毛はボサボサで、赤毛。
ワカを背負っているアルマスに声をかけてきた。
「ちょっとこの子が馬車に酔ったみたいで、休める場所を探してるんだ。」
ヘヘッ、と少女は人懐っこい笑顔を見せると
「ならウチに上がっていきなよ。宿も探してるんだろ?
今の時間から部屋使ってもいいからさー。」
「リアダンの宿は高いって評判だけど、ここは幾ら?」
アルマスはにっこり笑う。
少女はうーんっと大げさに眉毛をしかめる。
「それは昔の話!巡礼者の為に教会が補助金を出してるんだよ。アンタ、教会に行って巡礼者の証明をもらってくるといいよ。なぁに、本当に大教会まで行かなくたっていいのさ。」
少女は両手を組んで天を仰ぎ、お祈りする。
「我らは、神ディエバスの忠実な子供ですー!」
「ってな!それでイチコロよぉ!」
あははっ、とアルマスは笑う。
「で、それを持ってきたら幾らになる?」
ふへへっと少女は笑って、指をちっちっち、と1本伸ばす。
「1泊で銀貨1でどぉ?ベッド付きの個室だよォ?」
「高いよ。2泊するし、食事もここで食べるなら幾らになる?」
うーんっと少女は顔をしかめる。
チラッと青ざめた顔のワカを見る。
「うーん…。じゃあアンタさ、お兄さんの方。
夜の酒場の時間だけ皿洗い手伝ってくれる? 今人手が足りなくってさ。」
それを聞いて、背負われながら私は左手をサッを伸ばす。
「私も手伝う!…ます。」
アルマスと少女は目を合わせる。
そして吹き出す。
「ぷっ…ククク!!いーぜ!!ただし元気になったらな!じゃあ2泊で銀貨1、食事は別料金。どう?破格だよ!」
「それでお願いする。ありがとう。」
少女は楽しそうに宿のドアを開ける。
リリーン♪と、ドアの鈴が鳴る。
ほうきを持った赤毛の少女は、くるくるっとステップを踏んで回る。
「お客様、ビディの宿にいらっしゃいませぇ~☆」
「あ、アタイの名前ビデリアってんだ。この宿の名前もらったんだー。」
太陽のように明るい笑顔だった。




