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20 旅の始まり

一度野宿になると思うけど、それを抜けたら小さな町に出るから、そこで馬車を借りよう。


そう言った後、しばらく山沿いの街道を歩く。


「二人っきりだね、ははは。」


「はい…。」


「レナがいないと寂しい?」


「…。」


「また、落ち着いたら会いに行こう。いつか。」


「…こくり。」


疲れて歩く速度が少し落ちると、アルマスはすぐにおぶってくれた。

荷物も抱えてくれているのに、貧弱さが申し訳無かった。


別れの時、目を赤くしたままレナは何も言わなかった。

私さえいなかったら、こんなことにならなかったかもしれない。

申し訳無くて、自分が責められてるような気がした。


「私が王都に行きたいって言ったから…。」


ははは、そんなことで暗い顔をしていたのと笑う。


「さっきも言ったけど、僕はすごく幸せだよ。」


「こうしてると密着できるし、幸せが増すよね。」


『おい、こいつ多分変態だぞ。』


少しだけ、気持ちが明るくなる。


アルマスが自分のことを楽天家だと言っていたけど

自分に正直に生きている、自由な感じがした。


私は言葉が下手で、あまり気持ちを上手く喋れないからいいなぁって思う。


期間限定の優しさに少しだけ甘えることにしようと

考えるのを止め、うとうと眠りについた。



夜になって、風を避けれそうな山肌のくぼみを見つけると

抱えるように抱きしめられながら毛布にくるまって眠った。


恥ずかしかったけど暖かいし

鼓動の音が気持ちよくてすぐに寝てしまった。

何よりアルマスは紳士で、変な気配は決して出さなかった。


惚れ薬は、そーいうえっちな方面は効果あるんだろうか。


これはプーによく聞いておかないといけないな。



---



街道を進み、平原を少し歩くとお昼頃にはウルタンの町へ到着した。


「ここはね、田舎の始まりの町って言われてるんだ。」


中央山脈を挟んで西側に王都、東側は人口が少ない農村地帯。

西と東の境目に大きな街リアダンがあって、それの一つ東側の町がここ、ウルタンだそうだ。


リアダンの恩恵を受けて程よく栄えていて、でも程よく田舎らしい。

町は木造造りの建物に赤や青の屋根が並び、道は広くなく、沢山人が町に住んでいる雰囲気でもない、マイナーな観光地って感じだ。

リアダンまで行くと物価が高くなるから、東側の人はここで休んだり買い揃えたりしてから西へ向かうらしい。西側の人は滅多に立ち寄ることの無い場所なんだそうだ。


中央には広場があって、露天が広場に沿ってぐるりと並んでいる。

野菜やイモなんかの食べものや、革細工や民芸品、カバンやカゴ、すぐに食べれるよう串に刺したカットフルーツなんかも売っていた。


「食べるかい?」


ふるふるっと首をふる。

服の中の首から下げた巾着袋に貰ったお金が入ってるけど、このお金がどのくらいの価値かがわからない。


「王都の串巻きとナツメ焼きに取っとく。」


そうかぁと、アルマスは笑う。


「じゃあ、馬車を予約しに行こうか。」


町の外れまで話を聞きながら歩く。

馬車は、町から町への送迎に乗せてもらう感じで、大きな馬車だと乗り合いになるらしい。

特に時間とか決まっておらず、人数が集まったら出発するシステムで

ここからだとリアダンの街を過ぎた大教会のある街、

セリドウェンまでの便が良く出るそうだ。


「教会へ行くことは善い行いとされていて、この国の人は年に数回、大教会へ行く習慣があるんだよ。今の季節は気候も良いし、収穫時期も外れているから教会へ向かう人も多い。多分待たなくても馬車は出てるはずだよ。」


「大教会のあるセリドウェンに着いたら王都はすぐだからね。」


「親戚の人に会えたら挨拶しないとな~夫として~。」


はははって笑ってるけど。

遠い親戚を訪ねる為に王都に行くって事になってたんだっけ。

薬が切れたらそんな冗談も言わなくなるだろうし、気にしないでおこう。


馬車は思ったよりも予約が多く、今日明日は数台の馬車すべて満員になっていて

明日の夜便なら6人乗りの空きが3席あった。


何日も宿泊する余裕も無いし、明日の夜発の馬車を予約することにした。

夜に出て、朝方リアダンの街を通って、夜にはセリドウェンの大教会へ到着する感じらしい。


それから宿を探して、明日旅の準備を整えてから出立することになる。


そりゃあ幼児を一人で泊まらせるのも変だけど、もちろん2人は同じ部屋だった。

お兄さんみたいに考えて、あまり気にしないでおこう。


いつもアルマスといる所為か、この頃ゆっくりプーと話が出来てないな。

色々聞きたいんだけど独り言になっちゃうからあまり喋れないし。


でも、何も知らなくても順調に進んでる気がするよね!

全部、アルマスのおかげだなぁ。

いつか、ギルマスさんもレナもメアリさんも全部、

何かお礼が出来るといいけど…。



ふかふかのベッドは、いつも以上にぐっすりと眠れた。



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