表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/61

17 風が強い夜

しばらく歩いた先の山肌に、休めそうなほらがあったので一旦休むことにした。

風が強い夜、ランタンの灯りが岩肌をゆらゆら照らしている。


クッキーなど携帯食を少し食べ、水筒に入った葡萄ジュースを回し飲みする。

アルマスは少し落ち込んた、暗い顔をしている。


「ワカ、巻き込んでしまってすまない。レナも。」


アルマスは、ポツリ、ポツリと話をしだす。


奥方様―、モルヴェンは後妻で血が繋がっていないこと、

父親が死んでからは、自分の子供のエミルしか目に入ってなかったこと、

昨日の晩、ロイドと何か話していたのを聞いていて、警戒はしていたこと。


「…母上がここまですると思っていなかった。

 こんなことをしなくても、いつかエミルに譲ろうと全て準備していたのに…。」


「アルマス様、教会の教えで、兄を差し置いて弟が領主になることは禁じられております。なので、奥様は…。」


「対外的な事を考えて、か…。」


沈黙が続く。

私には何も言えない。言えないんだけど。


「アルマス、あの…元気、だして?」


ああ、そのまんましか出ない、語彙力が無い。


「ふふっ。」


え?


灯りに照らされた顔は笑顔。

隣に座っていたアルマスに、毛布ごと抱きしめられる。


「ワカ、実はね、落ち込んでいるわけじゃないんだ。」


「こんな時に信じられないかもしれないけど…幸せなんだ。」


ええっ?

母親に命を狙われ、こんな不自由な山の中で逃げ回っているのに?


「だってね、生きてるし、君がそばにいる。」


顔が近いです。


「それにね、もう領主しなくてよくなった。」


「ワカとも問題無く結婚できる。働き口を探すから、王都で一緒に暮らそう。」


カコンッ


レナがコップを落とした。

手がわなわなと震えている。


ごめんなさい、一時の気の迷いだから!

1週間ほどしたら薬が切れて目が覚めるから!…多分…。



風の音に紛れて、

誰かが見ている気配には全く気付けなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ