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15 精霊魔法

『じゃあ、手を繋いだら見えるか?』


プーが手を添えてくれる。


『見ようと意識してみろ。』


小さな光の固まりがポウッと浮かぶ。

細い長い固まりが空に流れてる。

空に、土に、葉っぱの上に、視界の中で辺りがキラキラ光りだす。

大気の中に、こんなにも何かが漂っている。


『あの長いやつが風の精霊だ、そいつらに命令するんだ!』


「…風さん!私達が怪我しないよう助けて!」


空に手を伸ばす。お願い!

すると、長い草のような細い何かが一斉にクイッと方向転換し、

猛スピードで落ちてくる。


馬車の周りに小さな竜巻が巻き起こるとゴーゴーと風が渦巻き

そして馬車はゆっくりゆっくり減速しはじめ、下降していき、

そっ、と山肌に着地した。


カタン



「・・・・・。」


「・・・・・。」


『はぁ~。やれやれ。』


「・・・・ぅ…。怖かった…。」


涙がちょちょ切れた。


初めて魔法ってやつを使った。のかな?



---




「ロイド、どこに行くの?」


びくっと肩をすぼめる。


「へっへ…レナ…」


山道を進むのに時間を取られ、辺りは夕闇に包まれようとしていた。

何度目かの休憩を挟み、慣れない馬車の旅で疲れたアルマスとワカは

馬車の中でうたた寝をしている。


馬車をそっと離れる御者のロイドの気配をレナは逃さなかった。


「相変わらず勘がいい奴だな。」


ロイドは駆け出す。

道の左脇に森に入る脇道があり、ロイドと入れ替わるように数人の男が飛び出てきた。


「なっ…!」

「アルマス様!!」


レナが大声を出しながら駆け戻る。

その声でぼんやり意識が戻ってきた。


「レナ…?」


「アルマス様!!盗賊です!!!」


レナがドカッ!と飛び込んできて荷物から剣を取り出す。

知らない男が後ろから顔を出すとレナは躊躇なく剣を差し込む。


「うぉっ、危ねえ!この女!」


「アルマス様を起こしなさい!ワカ!すぐに!!」


「なに?レナ!?」


レナが盗賊達と応戦してカキィン、キィン!と激しい金属音が鳴る。

何が起こっているかわからないまま隣のアルマスを揺さぶる。


「アルマス!起きて!!」


『山賊か!?3人いるぞ!これはヤバイ!』


盗賊たちはからかうように笑いながら斧や小剣を振っている。


「そいつは起きねぇよ!ハハハ!」


ハッ、とレナの顔が強張る。

その瞬間、剣が弾かれた。


すぐにナイフを持ち直すレナ。


「刺し傷があるのはダメだ!事故にしないと!」


さっきまで御者台にいたロイドさんが盗賊たちの後ろにいる。


「ロイドォ…!!」


レナは憤怒の形相でナイフを飛ばす。

ロイドは驚き、もんどり打って後ろへ倒れた。


「は、はやく落とせぇ…!」


「!」


ぐらっと馬車が横に揺れると、

まるですぐ落ちる場所に止めてあったようにあっさりとバランスを崩す。


落ちる!?


アルマスは目をつぶったままぐらりと床へ倒れ込む。


レナが両手を広げてこちらへ走ってくる。


時間が、スローモーションに感じた。


『魔法を使え!』


プー?


『時間を遅らせてあるから、精霊を使うんだ!』


あれっ、本当に時間がゆっくり進んでる?


『落ち着いてやるんだ。妖精は、精霊を使うことが出来る。

 魔法って呼ばれるものだ。』



とにかく、やるしかない。


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