12 黒髪は薔薇の香り
「よよよ用事が…!」
必死で絞り出したセリフ。
顔が熱い。心臓がドキドキしてパニック状態になってる。
頭もクラクラしてきた。
でも、こうなったからには考えないといけない。
アルマスさんのいい香りを嗅いでる場合じゃないってば。
「王都に行く…ので。」
ここから、どう行けば王都に着くか
お城に辿り着けたら、関係者に惚れ薬でも何でも飲ませて、
指輪を持ってきてもらって帰る。
そういう用事。
<薬の効果…数日から…数ヶ月…くらいかな?大体。>
利用しているみたいで気が引けるけど
薬は効いてるみたいだから、今のうちに聞けるだけ聞いておこう。
用事が終わったら多分、妖精の国に帰ることになるんだから
落ち着こう、私。
「王都?」
アルマスは、座ったまま少し顔を離してくれた。
肩はがっちりホールドされている。
「王都に用事があるの?」
こっくり頷く。
「あの、おつかいがあって、お城に行きたいんです。なので…」
「送るね。」
アルマスはにっこり笑う。
「えっ、行く方法教え…」
「遠いよ。馬車があるから。それに王都の近くの教会に年に一度は行かないといけないし。」
『いや、薬の効果が切れるから…』
「プー、それ言っちゃだめ!」
「ん?」
「えーと違う、落ち着いて…」
何て言うのが正解なんだろう。ええっと…
「返事は馬車の中でゆっくり考えたらいいよ。
もちろん実際の結婚は、ワカが大人になるまで待つからね。」
そうか、私、幼児だもんね?
えっと、婚約ってこと?
「僕が一生、君を守るからね。」
「おぅおお…!?」
言葉にならない言葉しかもう出ない。
もう何も直視できなくて、真っ赤な顔を両手で隠した。
こういうの全く耐性ないです。
プーがすごい喜んで飛び回ってるのが腹立つ。
イケメンがそんな事平気で言うのがずるいんだってばー。
結局、説得する言葉をこれ以上考えられず
アルマスさんに明日、王都まで送ってもらうことになった。




