11 穏やかな朝食と中庭の薔薇
朝食前のお祈りを終えて、今朝は2人で朝食を取る。
卵のサンドイッチとハム、焼き立てのパン、赤い果実のお皿が並ぶ。
昨日も食べたこの赤い実は、さくらんぼのような小さな甘い実で
この地方でよく取れる名産だそうだ。
せっかくだからアルマスに色々聞いてみることにした。
なるべく子供の話し方をしよう。
「お祈りの時に言っている、ディエバス様ってどんな神様?」
「この世界を守ってくれる神様だよ。」
アルマスは今日もすごく爽やかで、朝の挨拶もなんか洒落た感じだった。
黒髪を下ろしていて、革のベストと麻のシャツを着ている。
大人っぽい落ち着いた顔つきのハンサムで、細身に見える体も結構筋肉があって逞しい。
正直、男前すぎてちょっと引く。
彼が朝の光に少し目を細めて見る
窓の外には遠くまで青い空と草原が広がっている。
「建国当初この国は、魔物が多く住み、山は火を吹き、病も今より多く、人々は悲しみと恐れの中暮らしていたそうなんだ。」
『もっと昔は平和な国だったけどな。』
聞いてもないのに補足を入れるプー。
プーはご飯を食べることは無いそうで、ふよふよ飛び回っている。
「最初の王は女性で、神の指輪の力を借りてこの大陸に平和をもたらしたそうだよ。」
えっとたしか、人間の娘に指輪を渡した神様って、妖精王だよね?
「その、神様ってどんな感じ?…もしかしてピンクの頭してる?」
「うーん、そうだね。生命を司る女神で、情熱的でお酒好き、妊婦の守り神なんかも言われてるね。
絵画では、髪の毛は真っ赤な血の色で描かれることが多いかな。」
ニコニコとアルマスさんは話を続ける。
「ピンクの髪の毛なら、、妖精の王様なんかはそう描かれる事が多いよ。」
妖精王とは違う神様なのかー。
それが真実かわからないけど、そういう風にみんな信じてるってことなんだね。
生命の女神ディエバス神を信仰している「ブロドウェン教」は
この大陸の殆どの人が信仰している宗教で、教会は大きな力を持っているそうだ。
本当に神様はいるの?って聞くと、アルマスさんは少し困った顔をしながら
「信じることが大切なんだよ、こういうものはね。」
プーによると、その指輪の女王様に倒されたって話だけど…。
気付いたんだけど、神様の話なんて私にわかるわけないよね、うん。気にしない。
「食べ終わったら少し中庭を歩こうか。薔薇の花が咲いているよ。」
アルマスさんに誘われて、白い薔薇が咲き始めている中庭を歩く。
いい香りがして、手入れされたお庭で、癒される。
アルマスさんは少しキョロキョロしたあと頷き、
1本の白い薔薇を手折って目の前に来る。
にっこり笑顔。
片膝をついて、薔薇を差し出す。
「俺と結婚してください。」
えっ。
エエエッ!?!?!?
そのまま抱きつかれる。
「えっ、と、ちょと…!ま…!」
薔薇園には、爽やかな風が吹き抜け、花びらが舞い、
なんか少女漫画に出てくるキラキラとしたものも舞っているようだった。
プー、助けて!
両手で顔を隠して指の間からチラチラ見てないで
た、助けて??




