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10 自分の姿

この国の人達は、身支度を整えるために入浴をするそうで

夜にゆっくりお風呂に浸かる習慣は無いらしい。


教会は伝染病予防のために毎日入ることを推奨しているらしいけど

貴族でもない平民は3日に1回お風呂に入ればまだ良いほうだそうだ。


薄暗い夜明けの頃、レナさんに起こされて風呂場でまたゴシゴシされている。

起こされたというか、目が覚めたら運ばれていた。

幼児の姿だからか、ほとんど人形扱いの問答無用だ。


「さっさと身支度をしますよ。朝は忙しいんです。」


泊まり込みの使用人は3人。

通いでキッチンメイドのメアリさんって人が来ていて、他にもお屋敷の掃除や中庭の手入れをする人も定期的に出入りしているらしい。

メアリさんは元々レナの先輩で泊まり込みをしていたんだけど、子供が出来たから通いになったんだって。

ちなみに、執事のギルロイさんと馬番のロイドさんは独身。


レナさんが色んな話をしてくれて楽しい。

しっかりしていて厳しい感じはするけど、とても優しい人だ。

もっとこの世界のことを知りたいな~と思う。


きれいに拭いてもらって髪を結ってもらい

フリルたっぷりの短めワンピース、羊毛タイツに小さな女児用の革靴を履かせてもらった。


(昨日言ってた靴、もう用意してくれたのかなぁ?すごい。)


「レナさん、ありがとうございます。」


「使用人を呼ぶ時は、呼び捨てで結構です。レナとお呼びください。」


「あっ、ハイ…すみま‥。」


「敬語も必要ありません。子供は子供らしくしていれば誰も失礼とは思いませんよ。」


そうか…。

心はアラサーだから、外見と行動がちぐはぐになってるのかも。

怪しまれないように気をつけなきゃ。


「じゃあレナ。ここに鏡っていう自分を映すやつある?」

「鏡くらい知ってます。玄関ホールに1つだけ飾ってありますから、帰りに見に行きましょうか?」


こっくり頷く。



鏡に映った自分の姿。


白いプラチナブロンドの短い髪を無理に結わえつけ

ワンピースから出ている腕は折れそうなほど細い。

大きな瞳、長いまつげ、白い肌。

か細い、作り物のお人形だった。



「まもなく朝食です。沢山用意したので沢山食べるんですよ。」


「あなたは痩せすぎていて、見ていて気の毒になります。」


こんな細っこい自分に、何が出来るんだろう。


手をぐーぱーさせながら、この先に不安を感じた。


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