第1話
あの人と最後に会話したのはいつだろう。
愛しのあの人が眉を険しくさせながら泣きそうな顔で私を呼んだのが最後だったか。
あの日の何が彼の逆鱗に触れたのか分からない。その理由を聞くことも出来ないうちにあの人と私はあの日から会話を一切しなくなっていた。
ビクッと身体を震わせて目を覚ます。
ベッドの上から時計を見ると5時58分を指していた。───ルーザが起こしに来るまであと2分だな...。ルーザが来る前に髪ぐらいは整えとかないと...と思いつつも頭が働かない。結局、ボーッとしているうちにいつものようにノックがなった。「失礼します」そう言って綺麗なお辞儀をして入ってきたルーザに「おはよう」と声をかけるが返事はない。
あの日からずっとだからかもう慣れてもいいはずなのにやっぱり少し落ち込んでる私に一瞥もせずにルーザは静かにご飯を置くと「失礼しました」と言って出ていった。───目ぐらい合わせてくれてもいいのに...と思ったが今更だ。張り切って目の前の美味しそうな食事を食べ始めた。
食事をしたあと暇だった私は庭に出ることにした。庭はいろとりどりの薔薇が咲いていて、あの日以来この屋敷で唯一心が休まる場所になっている。
庭の椅子に腰をかけ、今日もまた考える。何がオザの逆鱗に触れたのかを──。
まぁいくら考えても理由は分からないんだけど…だってあの日の記憶が曖昧なのだからと私は自重した笑みを浮かべた。
初心者なので読みにくいかも知れません
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