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第十三魔導武装学院  作者: 黒姫
第一章 学内順位戦編
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 そこは夢の始まり、あるいは夢の跡。


 見渡せど辺り一面は真っ白。振り返れど歩いた跡は砂に埋もれて消えていく。


 脚が重たい。しかし背中には何も背負ってはいない。脚に枷が付いている訳でもない。

引き摺っているのは自分自身の体。


 立ち止まることは許されず、されど駆けることも叶わず。


 自分自身を引き摺って行く。



 ふと思う。自分は何者なのか。


 それは誰しもがいだく永久不変の問い。


 それを証明する術はなく。明確な答えもない。


 だからこう答える。分からない。と…


 それでも人は問い続ける。自分は何者なのかを。


 もし答えられるというならば、貴方に問いたい。


 貴方は何をもってして貴方なのか?



 名前があるから貴方は貴方なのか?


 ならば名前を失くした貴方は果たして貴方なのか?



 記憶があるから貴方は貴方なのか?


 ならば記憶を失くした貴方は果たして貴方なのか?



 才能があるから貴方は貴方なのか?


 ならば才能の失くした貴方は果たして貴方なのか?



 名前か、記憶か、才能か、それとももっと別の何かか。


 それらを一体何処(どこ)まで失くせば、貴方は貴方ではなくなるのか?



 更に問おう。



 一年前までの貴方は貴方なのか?


 一昨日までの貴方は貴方なのか?


 一秒前までの貴方は貴方なのか?


 この問いを見た貴方は、読む前と同じ貴方なのか?



 その答えは出せるだろうか?



 鏡に写った虚像が実際には存在しないというのならば、そこに姿を写す自分は果たして本物なのか?


 自分と同じ姿形すがたかたち、能力、才能、癖、記憶を持つ人が目の前に現れた時。自分を自分と証明できるか?



 そんな途方もない事を考えながら真っ白な世界で。


 自分自身を引き摺って行く。

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