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えいごの授業

なおフィクションの模様

「Hey!」

「・・・・・・」

「My name is Kenta Arashiyama.」

「・・・・・・」


 晴澤はダルそうに聞いた。


「要するに、今度は英語か?」

「うん。」


 健太は言った。


「ねぇ、晴澤君。」

「なんだ?」

「今度英語の映画がテレビでやるんだけど、英語で聞いてみたいと思うんだ。」

「その時点ですでに上級者向けだよな。お前のことだ、絶対基礎どころか普通に会話できるはずだろう?」

「うーん・・・」


 健太は口ごもった。


「僕はその・・・普通に話してみたくて、英語で。」

「・・・そうかい。」


  晴澤は言った。

 

「・・・・・・なぁ、健太。」

「うん?」

「行って・・・みるか?アメリカ。」

「・・・え?」


 健太は首をひねった。


「・・・・・・いつ?」

「今。」


 健太は唖然とした。


「その、言ってる意味が分からないんですが。」

「ようはアメリカに行けばいいんだろ?」

「・・・・・・」


 これには健太もさすがに戸惑った。


「・・・とりあえず、“うん”と言ってみる。」

「よし、じゃあ決まりだな。」


 こうして健太は、晴澤と一緒にアメリカに行くことになった。


「・・・で、どれくらいかかるの?」

「1時間。」

「1時間?」


 健太は首をひねった。ここからアメリカ本土までは飛行機でも約10時間程かかるのだ。


「そんなに不思議か?大丈夫だ。アイツを呼ぶ。」


(パンッ、パンッ)


 晴澤は手を二回鳴らした。


「とぉ!及びでしょうか!セイコー様!」


 その声ともに現れたのは全身ピンク色の衣装で身を包んだ異様な女性だった。


「あっ、晴澤君の家政婦さん、久しぶりです。」


 健太は挨拶をした。


「おぁー!貴方は確か健太様ですね!どもぅ、ご無沙汰慎ましく存じ申し上げまする。」

「・・・・・・」


 ともあれこのピンクの人、皆からは“家政婦さん”と呼ばれて慕われているが、実際の年齢は“18歳程度の者”である。


「家政婦さん、これから健太と一緒にある場所に連れていく。頼んだぞ。」

「お、あの場所ってなんですか?」

「ゴニョゴニョ・・・」


 晴澤は彼女に場所を教えた。


「ふむふむ、なるほど。」

「?」


 健太は首をひねった。普通、アメリカに行くならゴニョゴニョ話すだろうか・・・?


「了解しました!それでは健太様、いきましょう!」

「は、はい。」


 そういって健太は家政婦さんの肩にしがみついた。晴澤も反対側の方にしがみつく。


「それでは、出発進行!」


 言い忘れていたが、この家政婦さんは自発的に空を飛ぶことが出来る。


(ブワッ!)


 彼女がどうして空を飛べるかはさておき、こうして健太と晴澤はいざ“アメリカ”に向けて飛び立った。


「・・・・・・?」


 が、健太はすぐに異変に気付いた。今飛び出した幼稚園の図書室の位置と太陽の位置、そして今飛んでいる方向を計算した。明らかに方向が東ではない。


「あっ・・・!」


 健太はひらめいた。


「晴澤君!」

「どうした?」

「あのさ、アメリカ大使館に行こうとしてるでしょ?知ってるよ。外国が本国に大使館を置くときにはその区間だけ外国の領土にするから、アメリカに行ったことに・・・」

「違う。」

「え?」


 すると、家政婦さんが止まった。


「健太、着いたぞ。」

「え?」

「米軍基地だ。」

「( ゜д ゜)」


 健太は真下を見下ろした。


「ねぇ、嘘でしょ?どうしてこんなところ来たの?」

「ここにはアメリカの人達がそこら中にごろごろいるからな。学ぶにはちょうどいいって話さ。」

「いや、死にに来てるでしょ、そもそもどうやって学ぶの?」

「当然正面からだ。頼んだぞ家政婦さん。」

「了解であります!」


 こうして家政婦さんは二人を乗せたまま、基地の正門付近に降り立った。

 

「・・・・・・」


 健太は門を見上げた。確かにこのだだっ広い土地、アメリカの国旗、間違いなく米軍基地である。


「ねぇ、どうやって話すの?」

「ほらよく見てみろ、そこの門の近くに衛兵がいるだろ、まずはそいつと会話するんだ。」

「いやいやいやいや・・・」


 健太と晴澤は近くの茂みに隠れながら会話していた。


「確かに基地の中に入るのならアウトだが、少なくとも門兵に話しかけるのなら大丈夫だ。」

「いやね、晴澤君。アメリカ人と話すならここ以外にもいるんじゃない?どうして基地の門兵に・・・」

「健太、どのみちもう遅い。覚悟を決めろ。」


 (ドンッ)


 健太は晴澤に突き飛ばされた


「・・・・・・?」


 門兵がこっちを見た。


「あ―――。」


 健太は恐る恐る言った。


「Where is this?(ここはどこですか?)」


 門兵は言った。


「ココ、コドモクルトコロジャナーイ。」


 健太は戻ってきた。


「だってさ。」

「それで終わりかよ。」

「だって仕方ないよ!これ以上何を・・・」

「Excuse me.」


 突然誰かに呼びかけられた。


「わっ!」

「おっ!」


 そこにいたのはさっきの門兵だった。


「キミタチココデナニシテルノ?」


 すると、晴澤が答えた。 


「I have come to learn English.(英語を学ぶために来た。)」

「Oh,really?」


 晴澤は事情を説明した。


「OK.I tell only a little.」

「!」


 晴澤は驚いた。


「え?何?」

「少しだけなら教えてくれると・・・」

「マジで?」


 門兵は言った。


「ダケド、コンカイダケダヨ。ツギカラハ、ホカノヒトニキイテ、ネ。」

「は、はい、ありがとうございます・・・。」


 こうして健太は、門兵の人から英語のことをいろいろ教えてもらった。この時代の米軍兵は結構フレンドリーなのだ。


「健太、どうだった?」

「英語にも方言ってあるんだね・・・」

「ん?知らなかったのか?」

「うん、英語って世界共通語って聞いたから、全部同じかと思って。」

「ああ、それだったら後でコーラについて調べてみるといい。」

「コーラ?」


 こうして二人は、米軍基地の門兵にお礼を言ってその場を去った。


「あれ、家政婦さんは?」

「まあ、呼べば出てくるだろ。ほい。」


(パンッ、パンッ)


「クシャアアアアアアア!!!」


 茂みの中から家政婦さんが襲い掛かってきた。


「家政婦さん、帰るぞ。(もう時間がない)」

「ハイ」


 次の日


「晴澤君。」

「どうした?」

「コーラって、ソーダったのね・・・」

「うるさい黙れ。」


 なお、今回の米軍基地のくだりは覚えておこう。

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