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 小さなドラゴンの住み処は真っ暗ながらんどう。

 目覚めたドラゴンはぐぅるりと短くはない首を捻って周囲を見渡しました。

 どこまでも真っ暗ながらんどうもドラゴンの目は見透かします。

 がらんどうは巨大な石造りの部屋の中で、自分はその真ん中に居るということがドラゴンにはわかります。

 そこら辺のドラゴンの住んでいる他者から奪った城や砦でもなければ、枯葉や宝石を敷き詰めた自然の洞窟でもない真っ暗な石造りの部屋です。

 よくよく見れば石は総て上質の黒色銀で継目なんか見当たらず、艶やかな光沢を持っています。灯りがあればきらきらしていそう。よっぽど大地の妖精、最高の技術者、偉大なる大地の芸術家ドワーフが念入りにしてもここまでの出来に仕上げれるとは思えないほどの出来の良い部屋です。

 広大な部屋もずっと先まで見渡せば大きくて重そうな扉。

 ドラゴンはその様にふんっと少し荒く息を吐きます。

 そう、彼は独りっきりでとても不満でした。

 周囲を見渡しても見回しても真っ暗で他者の気配は何にもなし。

 小さなドラゴンは寂しさや心細さなんかを知りません。

 今、はじめて目を開けたのですから。

 よくわからない不満を抱えながら小さなドラゴンは真っ暗ながらんどうの部屋にはもう一つ隠れた扉を見つけます。

 とっても目の良い小さなドラゴンは比較的小さく簡単に開きそうな扉の方へのそのそ向いました。

 大きく重そうな扉だって本当は小さなドラゴンは簡単に押し開けれたのですが。

 小さな石の扉は小さなドラゴンの為に音もなく小さな口を開けました。

 小さな部屋(さっきの部屋に比べれば、です)も真っ暗でした。

 暖炉には火が黒々と燃えています。

 そう火の色は神々しい金色でもなければ普通の赤でもなく、真っ黒です。

 大きなテーブル、小さなドラゴンが丸まるのに調度良いような椅子が二つ。壁一面に並べられた本棚。黒い絹の掛けられた寝台。

 小さなドラゴンは尻尾を振りながらのそりのそりと全部が全部真っ黒な部屋の中を歩き回ります。

 自分にとって危険なモノの無いことを確認した彼は、よい香りをたてながら燃えている暖炉の前で丸まって夢のない眠りにつきました。


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