表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR

無人駅

作者: 夢野しらべ
掲載日:2026/06/20

(今日も疲れたな)

 単線上を走る列車に揺られながら、心の中で呟く。


 いよいよ試合まであと数日。甲子園を目指す、最後の夏だ。野球を始めたのは小学生のころ。9年目の今年は、その集大成になる。雨の日も、雪が降り積もる季節だって、その時出来る練習を精いっぱいやってきた。連日の練習は過酷だけれど、日毎にチームの団結力は高まっている。特にバッテリーの二人は絶好調だ。もしかしたら、この夏は行けるかもしれない。期待で心が高揚している。


 数人の乗客しかいない最終列車は、暗闇の中を進んでいく。やがて次の停車駅に到着した。誰もいない、無人駅。降りたのは、自分ただ一人。

 やがて列車は去り、辺りは静けさに包まれるかと思いきや、姿も見えないのにカエルの大合唱が聞こえてくる。北国の短い夏を、全力で謳歌するように。

 改札のない小さな駅舎を通り抜け、街灯1本しかない暗い外へと出る。その街灯の下に、1台の車が停まっている。近づいて後部座席のドアを開けると、

「おかえり。」

 運転席の母が、いつものように出迎えた。


 遠くの学校に通う僕を、母は毎朝、この駅まで送ってくれる。そして最終列車に乗る僕を、迎えに来てくれる。雨の日も、雪が降り積もる季節だって。


 誰もいない駅は、うら寂しい。けれど駅舎を出れば、母がそこにいる。無口な母は何も言わないけれど、全力で応援してくれていることは分かっている。来る日も来る日も、ユニフォームを洗い、弁当を作り、送迎をしてくれる。

 だから僕は、明日も全力でがんばれるんだ。


お読みいただきありがとうございました!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ