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ハズレと笑われた『罠』スキルの俺、実は超激レアな最強スキルでした  作者: シマリス


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ガルーダ戦③

「逃がさない! アイスランス!」


佐々木の声に合わせて、いくつもの氷の槍がミサイルのようにガルーダを襲う。

黄金の怪鳥はそれを嘲笑うような身のこなしで、空中に残像を残しながら軽々と回避していく。だが、二人の狙いは当てることだけではなかった。


氷の槍が描く弾幕。その軌道を縫うようにして、如月の『見えざる手』が動いた。


如月の周囲に、目に見えない魔素の波動が二つ同時に展開される。スキルレベルの上昇により、彼女は「見えざる手」の複数同時発動を可能にしていた。


一つ目の不可視の腕が空中でガルーダの進路を強引に塞ぎ、動きを一瞬だけ停滞させる。そして、如月は腰に差していた二振りの短刀を二つ目の「見えざる手」に乗せ、高速で射出させた。


「なに!?」


進路を塞がれ、回避運動が遅れたガルーダ。その右肩に短刀が深く突き刺さり、間髪入れずに佐々木が放った最後の一本の氷槍が左翼の付け根を貫いた。


「キアアアアアッ!!」


黄金の羽根が散り、ガルーダが苦悶の表情を浮かべる。


「やった!やった! 当たった!」


佐々木が歓喜の声を上げ、如月も確かな手応えに瞳を輝かせる。追撃の手を緩める者はいなかった。


「よくやった二人とも! 俺がトドメだ!! 『跳躍』!!」


大輝が再び爆発的な勢いで空へと飛び出す。

負傷し、体勢を崩したガルーダ。大輝は空中で刀を構え、必殺の『一閃』を繰り出す。


「おのれ!……きさまらぁ!!」


ガルーダは激昂し、翼を激しく羽ばたかせ重力を無視した急上昇を見せる。大輝の刃が右翼の先端を切り裂くと、自分を傷つけた人間たちの手が届かない「絶対領域」へと逃れようとした。


しかし、そこはすでに悠太の領域でもあった。


キン!


「捕まえたぞ」


悠太の呟きと同時に、ガルーダの周囲を半透明の壁が包囲する。


「なっ!? 何だこれは!壁だと?」


空中に突如出現した巨大な立方体。『キューブ』の檻だ。

絶頂の速さで上昇していたガルーダは、その透明な壁に全身を強打し、初めてその傲慢な顔を動揺に歪ませた。


「こんなもの! こんなもので俺を追い詰めたつもりかぁ!!」


パニックに陥ったガルーダは狭い檻の中で猛烈な速度の連撃を繰り出す。黄金の爪が火花を散らし、透明な壁を激しく叩くが、闇雲な攻撃でキューブは揺るがない。


焦燥がガルーダを支配したその時、その鋭い眼光がキューブに点在する、構造的な弱点――「クラックポイント」を捉えた。


「ふはは、これか!」


ガルーダは正確にその一点を見抜き、超高速の突きを叩き込む。狙い澄まされた衝撃が弱点を突くと、強固だったはずの檻に致命的な負荷がかかっていく。


パリンッ!!


激しい音を立ててキューブが砕け散り、無数の残骸がキラキラと地上へ振り注いだ。


「おかしな技を使いやがって。きさまか!」


檻から脱出したガルーダは、怒りに任せて黄金の翼を広げ、地上で一人立ち尽くす悠太を目掛けて急降下を開始した。


だが、悠太にとってはそれで十分だった。

キューブは端から捨て駒。初めて見る得体の知れない攻撃。初見の人間。ガルーダの意識を悠太に向けさせる目的は果たせた。


(やっぱり、あのスピードで攻撃されたらひとたまりもないか)


「よし!構築完了」


脳内の演算が終わり、視界に浮かぶカウントダウンが『0』を表示する。悠太の全身から膨大な魔素が吸い上げられ、周囲の空間が不気味に静まり返る。


「みんな、隠れろ!」


悠太は大声で四人に注意を促す。


大輝、如月、佐々木の三人は、剛田が展開した巨大な『ワイドシールド』の背後へと滑り込んだ。剛田は盾を岩肌に固定し、仲間たちを完全に遮蔽する。


盾の裏側に隠れた彼らから見えるのは、上空から滑空する標的、ガルーダの姿だけ。


悠太は逃げも隠れもせず、ただ一人、空を覆い尽くさんとする黄金の殺意に正対し大きく一歩を踏み出した。


その瞳――『ウッルの目』が、禍々しいまでの魔素を纏い、急降下してくる黄金の死神をロックオンする。


最大魔素の半分を注ぎ込んだ、出力八倍の狙撃者達。


天空の支配者と地を這う罠使い。その立ち位置が、今、逆転しようとしていた。


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