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ハズレと笑われた『罠』スキルの俺、実は超激レアな最強スキルでした  作者: シマリス


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正式加入

いつもの薄暗い林に足を踏み入れる直前、悠太は足を止め四人に向き直った。その表情は今までのどの罠を見せた時よりも険しく、真剣なものだった。


「これから俺のメインスキルを見せるけど、一つだけ絶対に守ってほしいルールがある」


悠太の低い声に、大輝たちも思わず唾を呑み込む。


「俺が撃てと合図した後は『絶対に俺を見ないこと』。このスキルは発動中、敵味方関係なく俺を視界に捉えたもの全てを自動で狙撃するシステムなんだ。出力を抑えるから、もし当たっても君たちのステータスなら被害は少ないだろうけど、当たらないに越したことはないからね」


「味方も撃つ?」


大輝が眉をひそめる。佐々木も「そんな無差別なスキル聞いたことないわ」と困惑した様子を見せた。如月だけがその制約の裏にある攻撃性能を予感し、静かに頷いた。


林の中へ進むと、ほどなくして六匹のグレーウルフの群れに遭遇した。彼らは縄張りを侵されたことに即座に反応し、低い唸り声を上げながら、一人先頭を歩く悠太をじりじりと包囲し始める。


最初の頃は構築するまで見つからないよう慎重に行動していたものだが、慣れるにつれ構築中から対象に視認させておき、一秒たりとも無駄にせず効率化をはかるスタイルに変更していた。


「始めるぞ」


悠太が呟くと同時に、脳内の設計図が動き出した。『ウッルの目』の構築開始。


今回は威力を高める火力変更は行わず、標準出力での展開。それでも、周囲五十メートルという広大な範囲に林立する全ての木々は、二分後に名うてのスナイパーへと変貌する。


じりじりと悠太との距離を縮めた後、六匹のウルフが同時に地を蹴った。


「危ないぞ!」


剛田が盾を構えて前に出ようとするが、悠太はそれを手で制した。


「大丈夫。慣れてるから」


スーパーネズミシューズのグリップを利かせ、悠太は襲いくるウルフの爪をヒラヒラとかわし、木々の間を縫うように走る。構築完了まで、あと60秒。


ウルフたちは狡猾だ。一匹が正面から飛びかかり、残る数匹が死角から回り込む。悠太は無理に戦わず、ただひたすらに時間を稼ぐ。木を背にし、フェイントを織り交ぜ、敵の視線を自分へと釘付けにさせていく。


(30秒……20秒……)


「まだかよ!」


痺れを切らした大輝が剣を抜きかける。しかし、その瞬間、悠太の足が急に方向を変えた。


「残り五秒!」


悠太は四人から距離を取り、開けた場所へと躍り出た。そして、六匹のウルフが一斉に自分を睨みつけたその瞬間、冷徹な声で告げる。


「撃て!」


悠太は皆に聞こえるように大きな声で合図をする。次の瞬間、林の空気が激しく震えた。


シュパパン! シュパパン! と、肉を穿つ乾いた衝撃音が連続して響き渡る。


悠太は四人から見えにくい場所を意識しながら、ウルフたちの視野に入るよう挑発を繰り返した。


ウルフたちが悠太を視認した瞬間、どこからともなく飛来する不可視の魔弾がその頭部を、四肢を、正確に撃ち抜いていく。逃げようとしても、悠太を視界に入れている限り銃撃は止まない。


四分間の一方的な殺戮ショーだった。


ガンッ!


「うお!」


誤って悠太を視界に捉えてしまった剛田の盾に、容赦なく魔弾が撃ち込まれた。


「見るなって言ってたじゃん」


そんな剛田に佐々木が冷静に突っ込みを入れる。


レベルアップによって延長された発動時間は、通常出力であっても十分に群れを殲滅する余裕を生んでいた。一分、二分と経過するごとに、断末魔の叫びとともにウルフたちが光の粒子へと変わっていく。狙撃は止むことなく、運も重なり通常出力でも残り時間数秒のところで最後の一匹が消滅した。


やがて静寂が戻ると、林には六つの魔石だけが転がっていた。


「俺のスキル説明は以上だけど、どうかな?」


悠太が短く問いかけると、四人はしばらくの間、言葉を失っていた。


彼らにとっても六匹のグレーウルフを数分のうちに始末することは難しくない。

しかし、それは四人での話。

それを一人で、かすり傷一つ負わずに実行する確証は誰も持ち合わせていなかった。


如月は驚きを隠せず、佐々木も無言で眼鏡を直す。剛田は「信じられねえ……」と呆然と呟いた。


そして、あの大輝が初めて素直な驚きを顔に浮かべて悠太を見た。


「……悪くねぇな。悠太、お前、そんなえげつない手札を隠してやがったのか」


それは、大輝が初めて悠太を対等な探索者として認めた瞬間だった。


「ちなみに、出力は消費する魔素次第で変えられる。今のは最低火力。ジャイアントウルフを倒した時は四倍の威力で撃ち続けた」


「よ、四倍か…!?」


剛田が顔を引きつらせ声を上げた。それだけの火力を叩き出せるのなら、空を舞うガルーダの翼を叩き落とすことも不可能ではない。


「これならきっと勝てるよ。みんなも分かったでしょ? 甘露寺くん! 私たちと一緒にガルーダを倒してほしい」


如月が両手を差し出す。


「うん、よろしく」


悠太はその手を取り、しっかりと握り返した。


正式に決まったガルーダ討伐共闘作戦。


決行までに残された時間は三週間。


四人に認められた充足感を感じつつも、悠太の心はすでに次なる強化へと向かっていた。

三週間後、あの怪鳥を墜とすための完璧な処刑場を作り上げるために、罠使いは再び一人、牙を研ぎ始めるのだった。


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― 新着の感想 ―
迂闊というか、手の内を晒さなければそもそもパーティーにはなれなかったってのはあるだろうけど、伏線と考えた方が良いのかな。 お話自体が面白いので今後の展開を楽しみにしています。
これ、この4人と一緒の必要あるか?? 敵がが混ざってるし、女に釣られてホイホイ手の内を全部晒すって愚行以外何者でもないだろ
自分も手の内を晒すのは、冒険者としてはありえないと思うが……、所詮子供の世界だしそういうものとして捉えるしかないのだろう。
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