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ハズレと笑われた『罠』スキルの俺、実は超激レアな最強スキルでした  作者: シマリス


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キャンプ終了

キャンプ最終日。


ホテルの大広間には、二泊三日の過酷な訓練を終えた覚醒者たちが集まっていた。窓の外に広がる芦ノ湖は昨日までの緊張をあざ笑うかのように穏やかで眩しい夏の光を反射している。


まずは各班の講師から総評が述べられた。

物理系の講師が前衛の重要性を説き、魔法系の講師が魔力制御の難しさを語る。そして、特殊系の佐藤は自分の本質を見失うなと、昨日悠太と凛に語った言葉を繰り返した。


一通りの訓示が終わると、このキャンプの締めくくりとして期間中に最も魔素量を伸ばした者の上位五名が発表された。


「第1位、松坂大輝。上昇値、32。……第2位、如月凛。上昇値、28……」


会場がどよめきに包まれる。わずか一日半でこれほどの数値を積み上げるのは、それだけ彼らが極限の集中状態で訓練に挑んだ証だ。その後も名前が読み上げられていくが、5位までの中に悠太の名前が挙がることはなかった。


「さすがだな」


悠太は素直に感心し、周囲に合わせて拍手を送った。


すると、最前列で表彰を受けていた大輝が誇らしげに胸を張りながら、わざわざ振り返って悠太を鋭く睨みつけてきた。「どうだ、格の違いを思い知ったか」と言わんばかりの勝ち誇った視線。


(そんなに見られても困るんだけどな)


悠太は戸惑いながらも、無難な愛想笑いを浮かべて拍手を続けた。彼にとっての成功は他人に勝つことではなく、この二日間で得たスキルに対する様々な知識と経験。順位などは最初から意識の外だった。


予定よりも少し早く、昼前にキャンプは解散となった。


「お疲れさまー!」「夏休み、ダンジョン行こうぜ!」と盛り上がる同級生たちを尻目に、悠太は手早く荷物をまとめ、一刻も早く駅へ向かおうとロビーを急いだ。

早く帰り、久しぶりの家族団らんに癒された後、また一人いつもの静かな路地裏でスキルポイントを稼ぎたかったのだ。


「甘露寺くん、待って!」


背後から呼び止められ足を止めると、如月凛がこちらへ駆け寄ってきた。彼女の隣には見慣れない女子生徒が一人、少し緊張した面持ちで立っている。


「如月さん。どうかしたの?」


「急にごめんなさい。紹介したい人がいるの。彼女、私と同じクラスの瀬戸さん。今回のキャンプでは生産系の班にいたの」


瀬戸と呼ばれた少女は少し内気そうに「よろしくお願いします」と小さく会釈した。生産系――昨日の講習で聞いた、武具や薬を作り出す希少なスキル。


「甘露寺くんにお願いがあるの。もしこれからダンジョンで活動していて何か『珍しい物』が手に入ったら、まずは瀬戸さんに相談してみてくれないかな?」


「珍しい物?」


悠太は首を傾げた。


「俺が手に入れたことがあるのは魔石だけだよ。あとはせいぜい第一階層で捨てられた物を拾うくらいで……」


すると、隣で控えていた瀬戸が少しだけ声を大きくして説明を補足した。


「あの……ダンジョンには魔石以外にも、稀にドロップ品が出るんです。装備品の材料とか、正体不明の鉱石、それに魔物の器官が変質した素材とか。そういうのは一般のショップに持っていくより、私たちが解析して加工した方がずっと高い価値になることがあって……」


「解析……。そういえば、研究所で色々作ってるって言ってたね」


「そう。甘露寺くんは他の人が行かないような場所で戦っているみたいだから、もしかしたら面白い物を見つけるかもしれないと思って」


凛の言葉に悠太はなるほどと納得した。


罠スキルの性質上、悠太は常に人気のない、隠れた場所を主戦場にしている。そこには、大輝たちが通る大通りには落ちていない何かがあるのかもしれない。


「わかった。もし何か拾ったら連絡するよ」


「ありがとう。楽しみにしてるね」


凛は満足そうに微笑み、瀬戸と一緒にロビーの奥へと戻っていった。


一人残された悠太は、自分の掌を見つめる。


(ドロップ品か……)


これまでは生き残ることと魔石を換金することだけに必死だったが、生産系との繋がりができたことで探索に新たな意味が加わった。


外に出ると、真夏の太陽が芦ノ湖を真っ白に照らしている。


バス停へ向かう足取りは昨日よりもずっと軽い。


当面の目標は新スキルの取得。

そして、その先にある誰も見たことがない罠の世界。


孤独な罠使いの夏休みは、まだ始まったばかりだった。


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