第陸話 自壊基地
数分前…
果子さんと俺は配管のようなものを通って、基地に降りてきた。果子さんは慣れているので上手く着地していたが、俺は盛大に転んだ。
「ったぁ…」
「大丈夫か?緋色。」
果子さんが心配してくれているが、それよりも目の前の異様な風格の方が注目してしまった。見ただけで平伏してしまうような、爆発的なオーラ。
「俺からすると久しぶりだが、お前からすれば初めましてだな。」
会議の机のような場から、ボスのような人物が降りてくる。
「俺の名はハレオ・ダスボ。生まれは外国だが、育ちは日本だ。よろしく頼む。」
握手を交わすと果子さんが説明してくれた。
「自壊者の本場は外国なんだ。だからボスは最強格の魔術を持っている。」
「最強格?」
「『クローン化』だ。この能力のおかげで私らは本体が残ってれば死なない。」
褒めているのにも関わらずボスは不機嫌そうな顔をしている。
沈黙が続くので、会話をしてみた。
「えと…ボス?に聞きたいんですけど、敵は誰なんですか?一体僕は誰を倒せばいいんですか?」
そう聞くと不思議そうな顔をしてから、数秒経って答えた。
「天界者のボスだ。」
その後も特に話すことはなく、数分が過ぎた。ボーッとしていると、配管から栄光が来た。
「第九部隊幹部長戻りました〜。」
「戻ったか、栄光。」
「うい。」
何とかボスは話を逸らそうとしている。
「緋色と言ったか、お前は自壊者になれて良かったと思っているのか?」
「良かった?うーん。」
良かったかと聞かれるとよく分からない。何となくで自壊者になって、着いてくることが精一杯だったので、特にそういったことは考えなかった。
「ま、良かったんじゃないですか?死んだけど、生き返って楽しめてる訳ですし。」
「…そうか。ならば、『契』を結ぼう。クローン体は互いの同意の上で血を捧げると、契を結べる。」
「契っていうと、破ったりすると罰でもあるんですか?」
「いいや、まず破れないのだ。自壊者と天界者の契は俺が管理している。破ろうとするとクローン体の思考が変更され、破ることが出来ない。ちなみにお前も自壊者になった瞬間からクローン体になっている。本体はあの日から保管所で眠っている。」
「へー、便利ですね。」
「体の構造を変えられるのは『契』が結ばれている時のみだ。契は俺の術中内では無いのでな。」
よく分からないが、置いといて結ぶことにした。
「じゃあ、さっさと結びましょう。血を捧げるってのはどうするんですか?」
「いや、俺は契を結べん。結ぶなら栄光と結んでくれ。」
気づくと、隣には栄光が立っていた。
「この紙に血を垂らし、俺が詠唱すれば結ばれる。準備はいいか?」
「はい。」
そう言うとクローン体の手の平が切れ、血が垂れた。
垂れた血は紙に染み渡り、いずれ紙は赤に染った。
『織田緋色は両者同意の元に自壊者となりその能力を使用する。主二人の血の元に織田緋色を自壊者としたまえ。』
ボスが詠唱すると心臓の奥から、エネルギーのようなものが湧いてくるような気がした。
「これでお前は自壊者となった。能力は栄光から聞いただろう。その能力をどう使用するかは、お前次第だ。」
こうして俺は正式に自壊者となった。
第陸話 【終】
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