第伍話 神器
外に場を移し、二人は話し始めた。
「お前、第九部隊幹部長だよね?あんな奴ら逃がして何になるの?」
「愛を持っているのさ。相手に対してね。」
「馬鹿馬鹿しいね。」
健は一蹴するように言った。
「愛とは『自己中心的な人間が自己満足の為に抱く幻想』だよ。結局好きなのは相手じゃなくて自分なんだよ。」
「否定的だね〜。まあ、さっさと戦おうか。」
そう言うと栄光は上にジャンプして2mほど飛び上がった。
「自壊放出 阿修羅!」
背中から炎が吹き出し、やがて炎は弾となって地面に打ち付けられた。
「一丁前だけど、当たってないよ?」
「当てる気無いんでね。」
『業火!!』
地面に墜落した炎は爆発的に燃え、柱となり健の右腕を燃やし尽くした。
「っ…!」
「さっさと天界武術使いなよ?脱出させるよ?」
戦闘が不能な状態になるほどのダメージをクローン体が受けると、強制脱出となる。
「いいよ。やってやる。」
「天界放出 神器!!」
そう詠唱すると、掌の中に豪華な飾りの着いた槍が現れた。
その槍で栄光の腹部を突くが、ヒョイと避けられた。
「『自壊魔術』は戦闘の内容自体を変える。
『天界武術』は戦闘の幅を広げる。だっけ?確か『天自の書』に載ってたような。
自壊魔術は『ジャンケン』を『あっち向いてホイ』にしてるようなもので、
天界武術は『ジャンケン』で新しい手を作り出すみたいな?」
「いちいち説明が長い。」
そう言うと健は槍を投げ捨て、剣を生み出した。
電撃を纏った剣を地面に突き刺し、『業雷!!』と叫んだ。
「うえっ!」
左足で雷攻撃を受けた。
「あれ?もう動けないよ?幹部長もこんなもんかー。」
ケラケラ笑いながら健は言う。余裕ぶってはいるが、焦りが垣間見える。
「まだまだ余裕だよ?勇気ないな。」
栄光が煽ると狙い通りに突っ込んできた。剣を槍に変え、突き刺そうとした瞬間を狙い、三本目の腕を生やした。
「なっ…!」
「阿修羅って腕が九本あるんだよ?馬鹿でさんきゅー、本体は狙わないであげるよ。」
「最後に一つ言っておくよ?」
「?」
「つまらんギャグ連発するな。」
そういい、健は強制脱出させられた。
「全く、遊びすぎちゃったな〜。早く向かわないと。」
店に入ると、老人店主が心配そうに栄光を見に来た。
「大丈夫でしたでしょうか。」
「うん。ごめんね、店の前でやっちゃって。」
そう言うと栄光はぬいぐるみに触れ、基地へと入っていった。
第伍話 【終】
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