最終話 「終わり、そして始まり」
激しい肉弾戦が数時間に渡って行われた。辺りの火も落ち着いてきた頃、ロナウドが口を開いた。
「緋色よ。お前は何か勘違いしていないか?」
「うるせえ老害だな。さっさとくたばれよジジイ。」
「俺はまだ本気なんかじゃない。いざとなればお前をなぶり殺しに出来るんだ。だが、お前が俺の理解者になってくれる事を祈っているのだ。俺が怪物だろうと関係ないんだ。俺はお前が生きた六億二百七十四万九千四百五十七秒間俺はお前を愛している。なぜ分かってくれない?何故だ!緋色ぉ!」
狂っている。その言葉しか頭に浮かばなかった。織田緋色と言う人間が大学二年生、19歳になるまでの秒数をこの男は一秒ずつ刻んでいるのだ。体の中でじっくりと。
ロナウドは気が滅入って吐きそうになっている緋色のことを気にせず、頭を殴った。
緋色は元々は自壊者達に殺してもらう予定だった。その為クローン体ではなく、本体で戦っている。血を吐き、その場に座り込んだ。
「まだ分からないのか?緋色?」
「…あぁ分からないよ。何で…」
言いかけた途中で後ろの火の中から数百、数千、数万人の自壊者や天界者がゾロゾロとやってきた。
「お前らが戦いに来たんだ…!」
「………緋色、俺たちは戦いに来たんじゃない。」
ハッキリと力強い声で将太は言った。
「助けに来たんだ。緋色を。」
「小童どもがぁぁぁぁ!!」
そう言うとロナウドは暴れだし、怪物に変身しようとした。だが、変身する最中に『刃』によって体を突き刺され、体が真っ二つになった。
「う…ゔ…緋色…緋色ぉ…」
しぶとく生き残るロナウドはずりずりと地を這って緋色に近づいた。
「あぁ…やはり緋色は美しい…」
言い終わった後に緋色によってトドメを刺されて、ロナウドは死んだ。儚くも美しい最期だった。
怪物はいなくなり、元凶もいなくなった。この後分かったことが数個あった。
まず、ロナウドによって自壊者、天界者は呪縛をかけられていた。『戦わなければいけない』という物と『身体能力の強化』。無意識下によって人類はロナウドによって操られていたのだ。
そして、緋色のこと。作戦の全貌は自壊者と天界者全員に教えられた。イーターズは反対していたが、協力したのだから知る権利があるということで近藤に教えるのを任せた。
また、ロナウドの呪縛が解けたことにより、自壊者も天界者も普通の生活を送れるようになった。能力は消え、緋色に至っては背中の黒い炎も消えた。あれはロナウドの呪縛に反発しすぎた結果らしい。ダスボはずっと作戦の為に隠されていたので、実生活に戻ったあと、ちょくちょく緋色に焼肉を奢らせていた。
こうして世界には平和が訪れた。日本政府はこの時昔からあったある法律に手をつけた。
【自壊天界法】
『第四百二十一条二号』
人類が後世に自壊者天界者の存在を伝えるのを禁ずる。
人類は歴史からこの惨劇を無くした。日本での死者数はおよそ三百万人。ロナウドの部下が日本各地で暴れていたのだ。一二三もその事件の例外ではなかった。
「平和だな。」
「あぁ、これが当たり前の世の中だ。」
緋色は安堵していた。これでもう変なものを食べなくて済む。今日も大学を帰宅する。
「家の近くに天界者を殺すメガネの男はいないはず…きっと。」
くすりと笑い家に入った。
最終話です。一応再投稿ではありますが、ありがとうございました!




