第玖話 天界基地
結果から言うとついて行くのは失敗した。どちらにせよ、まだ何も鍛えていない状態なので良かった。
脱出について行こうとしたが、途中手の筋力が持たず、高さ五十m程から落ちてしまった。
海の上だったので緋色は誰にも気づかれなかった。そのまま緋色も脱出して、またクローン体に戻り鍛えた。
数週間後には能力は完璧に操れるようになり、力は人間の数十倍に鍛えられた。一度制御のコツを覚えてしまえば、簡単に力の操作は出来た。
「もう路地裏も怖くねぇな。」
路地裏に隠れていると、巡回中の天界者に会った。
「お前、自壊者か。」
「ご名答。」
ごつい男よりは数倍は強いが、今の緋色なら勝てるかもしれなかった。
「天界放出 ジェット!」
一般男性のような見た目をした男は足からジェット噴射のようなものを出して突っ込んできた。
周りのビルなどを倒壊させながら突っ込んでくる様はまるで鬼神だった。
「きゃあああ!」
周りの人間にも被害が及んでいる。緋色がまずいと思った瞬間、果子がBGMで一体を空想世界にし、市民は大体助かった。
「心お儀なくやれ。私が周りは管理する。」
「ありがとうございます!」
そう言うと緋色は腹の奥の力を抜いた。
「自壊放出 人喰い!」
男には目の前から巨大な口が自分を食べようとしているかのようにも見えた。だが、怯まず攻撃すると、横腹が吹き飛んだ。
「っ…!!」
だがそれまでだった。攻撃した直後、心の中の敵対心が喰われ、恐怖心でいっぱいになった。
「お前…結構強かったな…!余裕ぶってた…」
「さあ、さっさと脱出させろ。基地に戻ってからもう一度お前を殺しに行ってやる。」
「いや、目的はそこじゃない。」
また前回のように脱出すると、今回はついていけた。
「ふー。結構脱出生身でやると痛えな。」
緋色は緊張からありもしないことを適当言った。
途中で男は保管所に行ったが、緋色は基地の広間のような場所に着いた。
「貴様…自壊者か!」
「お前を殺しに来た。天界者が正義なんて世の中は間違ってる!」
緋色は一二三を睨むと睨み返してきた。
「命乞いではないが、真相を言おう。少し話を聞け。」
「真相?黒幕はお前で、自壊者を悪に仕立てあげたってのが真相だろ!」
「いや、違う。この戦いはそんな簡単なものでは無い。」
そう言うと一息ついて語り始めた。
「昔の話だが、自壊者と天界者は争っていた。」
「今も戦ってるだろ。」
「いや、そんな生ぬるいものでは無い。理由は様々だった。宗教、仇、趣味、あるいは自己防衛。その時代の死者数はおよそ十二万人超。その中で新しい自壊者ボスがクローン化の能力で、戦争を止めた。だがその時ある条約を結んだという。」
「自壊者に手を出すなら俺以外にしろと…」
「な…何!?」
「お前らが狙うべきは俺じゃない。自分たちのリーダーだ。」
そして、そこから一二三はもうひとつ語り出した。
「それが天界者ボスが俺のひとつ前の時の話だ。そのボスは俺に渡る少し前、継承者を生み出したという。それは外国人だと言う。俺やお前の師匠の栄光はそれをダスボだと踏んでいる。」
緋色は急激な頭痛に襲われたように、頭を押さえた。
「分かった。一旦今日はそれで落ち着かせるとしよう。それにしてもここの警備は薄すぎないか?」
「お前のように脱出についてくる馬鹿者など普通は居ないわ。」
ボスが笑ってそう言うと、緋色は脱出した。
だがこれは物語の序章に過ぎない。
第玖話 【終】
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