第2章 宇宙飛行
初めての人工衛星発射から、3年が経った時、人類が、宇宙に出る事になった。
「では、健闘を」
「ありがとうございます」
彼女は、相田優と言う宇宙省所属の人類初の宇宙飛行士だった。彼女は、勢い良く、タラップを上がっていった。
そして、発射の瞬間、人工衛星が発射したのと同じように、宇宙飛行士も打ちあがっていった。
後に、この実験は、6921実験と総称される事になる。この実験は、人工衛星の打ち上げから、宇宙飛行士の打ち上げを経て、宇宙ステーション建設までの15年間のことを指す。
「さて、実験は成功したようだな」
雄一は、横にいた直宏に聞いた。
「そうです。無事に成功しました。後は、彼女から連絡が来るのを待つだけです」
特等席にいた、7人は、優からの連絡を待った。
連絡が来たのは、それから18分後だった。
「相田優です。現在、上空100km地点。現在速度、11.12km/s」
「ほぼ第2宇宙速度です。現在、彼女は、人工衛星と同等の円軌道を描いて飛んでいますが、もう間も無く、地表面に向かってくるでしょう」
「脱出装置はあるんだよな」
心配になって、加賀は直宏に聞いた。
「もちろん。その辺りは抜かりありません。彼女は、無事に、生きて帰ってくる事が出来るでしょう。ただ、多少怪我をしている可能性はありますが」
「現時点ではそれが最大の努力ね。彼女も、その事は知っているのでしょ?」
「ええ、発射する直前に、教えました。円軌道から離脱しつつあります」
「どれくらいで、地表に着くんだ?」
「予測値では、309.5秒後です。分にすると、5.158分です。ただ、実測は、相当違うと思います。今回使用した式には、空気抵抗は一切考慮されていません。実際は数分ほど遅く到着するでしょう」
「そうか。それが、本国内だといいんだがな…」
さらに、最後に連絡があってから、10分たたないうちに、ワマラ国領海内に着水したことが伝えられた。
「これを以て、今回の宇宙飛行は終了したものとする。なお、現在、湾岸警備艇が数隻編成で、相田優のもとに急いでいる」
遠山が言った。雄一達は、遠山に近づいて、伝えた。
「今回は、無事にいった。これからも、無事にいくように願っている」
「ありがとうございます。では、失礼ながらも、わたくしには、仕事がありますので…」
この発射実験をきっかけにし、4カ国は宇宙への進出競争を強めた。こうして、実験成功後10年後までには、宇宙ステーションの計画が持ち上がっていた。




