14 決闘
一見、平和そうに見える日常に潜む影。それは生きとし生けるものが逃れ得ない生と死にまつわる有象無象の物語。
黄泉坂結弦は父親にあこがれていた。居酒屋の店主なのだけれど部下に仕事を任せて昼間から飲んだくれている父親に。だけど、親父の周りにはいつも人がいた。彼らの相談を見事に解決してしまう親父は結弦のヒーローだった。親父のようになりたい。それが結弦の夢だった。
だけど、自分は親父に似ていない。少年の悩みは尽きない。
まったく父親ってやつは勝手ばかり言いやがる。だが、長年憧れてきた存在に期待を掛けられたのだ。やるしかないだろう。ここまでできたのだ。きっとできるはずだ。
「ゆーくん……」
鉄也に抱きかかえられたひかりが目を覚ました。
「無理をするな。休んでいろ」
そんな言葉におとなしく従うやつではなかった。それはオレが閻魔大王になろうが関係ない。オレのかけがえのない幼馴染なのだ。
「ゆーくんこそ大丈夫? 怪我してるんじゃない?」
「問題ない」
強がりだ。鞭打たれた箇所が熱を持っている。血を吸われ全身がけだるい。それでもやるしかないのだ。ここがオレの正念場だ。今やらずにいつやるのだ。
ひかりが鉄也に支えられながら近づくと懐から一冊の帳面を手渡してきた。
「地獄に来た日、魔王様から預かったの。閻魔帳だよ。いつかゆーくんに必要になるからって」
「大事に持っていてくれたんだな。ありがとう」
受け取った帳面をオレは学生服の胸ポケットにしまった。結構な大きさの帳面だったが格納場所に合わせて大きさが変わるようだ。すんなり納まった。
閻魔帳は切り札だ。だが、畏れ入っていないやつには効果がない。やはり戦って折伏させてやらなければならない。
「大王様。ぜひ我々に先陣を!」
吽形と明兄(阿形)の二人の仁王が先陣の許しを乞うてきた。だが、今じゃない。
「お前たちは手を出すな」
「しかし、相手は大悪魔ですぞ」
「わかっている」
止める明兄の箴言を聞かないオレに吽形も言葉を重ねてくる。
「いいえ、わかっておられません。ルシフェルは元天使で……」
「聖法気も使えるんだろ? オレらの法力も効かない」
「それをわかっていながら……」
「それでもオレが、オレ自身の手でぶちのめしたいんだ」
ひかりを見た。
ひかりだけは嬉しそうに賛成してくれた。
「ゆーくん、あんな奴ぶちのめしちゃって!」
「任せろ!」
焔魔刀を担いで前に出る。
「死ぬ覚悟はできたか?」
「それが必要なのはお前だろ」
互いの挑発の後は動きが止まった。動けなかった。凄い圧力だ。だが、オレも負けていない。ひかりは幼馴染で妹(本人は姉といっているが)でオレの女だ。それを奪おうだなんて、絶対に許せねえ。
体が熱を持つ。熱はどんどんどんどん上がっていき、これ以上耐えきれなくなり……爆発した。
熱に押し出された俺の体は弾丸のようだ。一直線に敵との距離を詰め、その勢いのままに刀を振り下ろす。
「うおおおおっ!」
「はあっ!」
オレの刀はかすりもしない。ルシフェルの爪はオレの右脇腹をえぐっていた。
「うぐっ……」
思わず片膝を付く。
「ゆーくん!」「大王様!」
「大丈夫……だ」
熱は冷めていない。振り返り再び焔魔刀を振りかぶる。
「うおおおおっ!」
「ふんっ!」
爪の攻撃は受け止めたものの堕天使の翼でしこたま頭を打たれた。吹っ飛ばされて顔から砂地に突っ込んだ。
「ぺっ……」
起き上がって砂を吐き出す。頭がくらくらする。
まさか翼にあんな使い方があるとは。まだ、口の中がじゃりじゃりする。額を切ったのだろう。視界が赤く染まる。
それでも……それでもオレはやらなきゃならない!
全身の力を込めて焔魔刀を叩きつける。
キンッ
鋭い音を立ててルシフェルが爪で弾き返す。
「まだだっ!」
立て続けに焔魔刀を振り下ろす。
キンッキンッ!
だめだ……もっと、もっと早く、もっと鋭く、もっと強く……
「はあはあはあはあ……」
わかっている。今のオレではそんなことできない。怒りだけではどうにもならない。剣筋は乱れ早くも鋭くも力強くもない。まるで子供のケンカのようだ。
ルシフェルは退屈そうにあくびをしながら小指の爪で受けている。その反動だけでオレは体勢を乱してしまう。吽形の言う通り強敵だった。いや、それ以上にオレが未熟なのだ。それでも親父はオレに任せてくれたのだ。黄泉坂結弦なら必ずできると
オレは構え直すと呼吸を整え体内の法気を練り直した。胸の閻魔紋章が光を放つ。全身に力が蘇る。のぼせていた頭が落ち着いた。
考えろ。オレの持っているものとはなんだ。何をもって親父はオレにこの勝負を託したのか。
剣技? そんなわけない。真剣を持つのは今日が初めてだ。法気? 堕天使に法気は通用しない。戦術? 実践初心者のオレに……いや、オレは親父から教わっていたじゃないか。
*
ひりつくような緊張感の中、オレは親父の教えを思い出していた。店の手伝いをしていたときだ。まな板の上には鯛の頭が乗っている。
「いいか。兜割りってのは力じゃない。力任せに切ろうとしたら包丁が欠けちまう。固いものには弱いところが必ずある。そこを見定めるのだ」
そう言うと親父は鯛の歯と歯の隙間に包丁を当てた。ストン。力を入れたようにも見えないのにお頭は真っ二つになっていた。
串打ちのときもそうだった。
「生肉ってのは柔らかくって掴みにくい。串を打とうにもぐにゃぐにゃして力の込めようがない。だが、鶏肉にだって組織がある。筋肉の繊維に沿って串を刺せばすっと入っていくもんだ。柔らかい生肉でも力の通る向きってのがある」
オレは親父の下で10年串打ちをやってきたんだ。目の前の敵は生肉や鯛の兜よりは簡単に見えた。
「刃を感じろ。気をまとわせて、そうだ。尖らせろ。集中しろ。気を練れ。もっとだ。もっと鋭く。鋭く。鋭く」
すうっと頭が冴えた。肉体は熱い。だが、頭の芯が冷えて周りが見えるようになった。親父の言葉が肉体に沁み込んでくる。ああ、今こそオレは理解した。これまでは親父の教えを理解したつもりになっていただけだった。形ばかり真似られるようになっただけで身についていなかった。
ひかりが見えた。意識が散ったわけじゃない。集中は途切れていない。ただ冷静になっただけだ。戦いとは己一人でするものではないのだから。
ひかりが何か叫んでいるが聞こえない。どうせ「ぶっころせーっ!」とか物騒なことを言っているに違いない。仁王たちが見える。明兄は心配そうな顔をしている。俺はそんなに頼りないかな。いや、明兄が過保護なだけだ。吽形は相変わらず陰気な仏頂面をしている。そのふてぶてしさが頼もしい。親父が見えた。俺の成長がわかったのだろう。黙って頷いた。
正面にルシフェルがいた。こいつ、思っていたよりちっちゃいな。もう、大悪魔だろうが堕天使だろうが威圧は感じない。
「うおおおおお!」
振りかぶった焔魔刀を振り下ろす。ただそれだけだ。だが、これまでとは違う。今のオレにはルシフェルの爪に刃が通る線が見えている。
一瞬のはずだった。しかし、オレの目にははっきり見えていた。まるでスローモーションのように。徐々に焔魔刀の赤く光る刃が下りていき、悪魔の爪がそれを受けようと近づいていき……
互いの一閃がすれ違ったとき、オレの焔魔刀はルシフェルの右手小指の爪を切り飛ばしていた。
「くっ……貴様、爪一本くらいでいい気になるなよ」
「せっかく冥府城に来たんだ。身だしなみくらいは整えて来いよ」
挑発の応酬の後、再び斬撃が交わる。
オレの右頬が薄く切れ、血が流れた。しかし、オレの焔魔刀はルシフェルの右肩の鱗を削っていた。法力には頼らない純粋な技による戦いだった。互いの位置が入れ替わる度、傷は増えていく。
「くっ……」
先に膝を着いたのはルシフェルだった。頃合いだろう。
オレは胸ポケットから閻魔帳を取り出した。自然と元の大きさに戻っていた。ぱらぱらっと閻魔帳を捲ると自然にあるページで止まった。もちろんそれはルシフェルについて書かれたページだ。
「我は知る。汝、ルシフェル。堕天使にして大悪魔よ。汝は悪事に手を染め天界を追放された。悪魔に身を落としながらもその力を失わず己の欲望のままに民を騙し苦しめた。反省も浄化もしていないにも拘わらず天界へ返り咲く野望を抱く。極楽の教えを守る地獄をわがものにしようと企み、前途ある若者をたぶらかし戦に駆り立てた。勝利の暁には報奨の代わりに毒を与え命を奪った。勇者のみに飽きたらず、その家族にまで手を掛けようとした。言語道断の振舞いである。さらには生き残った若者を騙し、再戦に及ぶとは呆れて言葉もない。汝の罪を償うには峻烈なる浄化を以って当たる以外ない。
汝ルシフェルよ。地獄の劫火を以ってその魂を浄化せよ。七度の浄化の後、転生を許す。なにに転生できるかは汝次第だ」
こーーーーーーーん!
裁可の槌音が地獄中に鳴り響いた。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴーーーーーーーッ!
大地を揺らしながら炎をまとった火炎地獄の縛鎖が飛び出した。生き物のようにルシフェルに襲い掛かる。ルシフェルは抵抗しようとしたが、鎖は生き物のようにまとわりつき何重にも巻付いてルシフェルを拘束した。
断罪に抗おうとルシフェルは暴れ出した。だが、既に裁可の戒めがルシフェルを捉えている。そのまま灼熱地獄に引きずり込む。ルシフェルは口汚くののしりながら、泣いて喚いて抵抗する。しかし、無駄だった。他所ならともかくここは黄泉の国の地獄だ。閻魔大王の裁量は他教の大悪魔をも凌ぐ。
「い……嫌だぁ! 転生なんてしたくない。浄化なんてしないぞ、儂は。何度でも生まれ変わって貴様らを滅ぼしてやる。極楽なんてくそくらえだ。儂は絶対浄化なんぞされないからな。わあああああああ……」
最後まで見苦しくルシフェルは落ちて行った。
「あれで本当に浄化なんてされるんやろか?」
「地獄の怖さは灼熱地獄だけじゃないからね。七種類も浄化されたらどうなっちゃうんだろ~うふふ……」
鉄也の疑問はもっともだったが、ひかりが薄気味悪い笑いで一蹴した。
*
「結弦君たち大丈夫でしょうか?」
荒れ果てた店を片付けながらも千衣は心配だった。しかし、満代は落ち着いたものだった。
「魔王様に任せておけば大丈夫。それにゆーくんやるときはやる子よ」
「はい……」
満代の話では兄たちは勇者(日色さんというらしい。)に従って地獄に攻め込んだのだそうだ。それはひどい戦いで多くの人が亡くなった。魔王様の奥様もそのときの戦いで命を落としたのだそうだ。
「ゆーくんの生まれのことは私も知らないの。百合姫奥様は亡くなっていたから、いきなり俺の子だ。と言って連れてこられたときはびっくりしたわ。魔王様に限って他所にお妾さんを囲ってるなんてあるはずないし。でも、今日聞いて納得したわ。日色さんの息子さんなんですってね。育てていて、この子はただものじゃないって思ったわ」
「そうですか? 私は普通の男の子にしか見えませんでしたけど。優しいいい子」
満代はにっこり笑って千衣を諫めた。
「外見の話じゃないわ。持っている魂がね、違うのよ。ものすごい熱量。ゆーくん自身もわかっているから優しく振舞えるの。でも、あんな子、普通の家に預けるわけにはいかなかったでしょうね」
「だから、魔王様は自分の子として育てた……」
「日色さんは……私も戦ったことあるからわかるけど、桁違いなの。お仲間たちも凄腕ばかりだったけど日色さんの足元にも及ばないわ。彼等だけじゃなく私たちもね。相手になったのは全盛期の魔王様だけ。私なんて槍の穂先がかすりもしなかったわ。当時、まだ十歳だった明が庇ってくれなかったら命はなかったでしょうね」
驚いた。二十歳そこそこの明も13年前の戦いに駆り出されていたのだ。今の結弦よりも若かったろう。
「総力戦だったからね。戦ってそんなものよ」
淡々と話す満代にある疑問がわいた。
「勇者様を恨んでいないんですか?」
「言ったでしょ。戦ってそんなものだから。それに終わったことよ」
「兄だって皆さんをたくさん傷つけただろうし」
「そうね。清志郎君は副将格だったから」
それは初耳だった。兄のことは尊敬していたけど、ただグレてしまったくらいにしか思っていなかった。
「すごかったわよ。流聖雨っていうの? 聖法気を榴弾のように撃ちまくるの。獄卒とはいえ私たちも聖職者だから聖法気自体は効かないんだけど、そのパワーがね。凄かったのよ。餓鬼なんかはひとたまりもなかったわ。明もね。流聖雨をくらって、今でも後頭部に十円ハゲが残ってるわ。これは明には内緒ね」
満代は屈託なく笑った。
千衣もつられて笑う。
「それは話せないですね」
「まだ、拠点も定めず隠れて逃げ回っていたころ、日色さんが亡くなったことを聞いて魔王様は慌てて飛び出してったわ。うちの主人だけ連れて。魔王様には日色さんが危ないってわかってたんでしょうね。もしそうなったら家族も襲われるって。それからひと月くらいして戻ってきたときゆーくんを連れてきたわ。そのときには魔王様は閻魔紋章を失っていた。ゆーくんを守るために紋章を与えたんでしょうね。何重にも呪を重ねて隠していたから誰も気がつかなかったけど。地獄の一族の中に勇者の息子がいたら目立ってしょうがないもの」
「そんな大事な物を簡単にあげちゃったんですか? 自分は閻魔大王には戻れなくなるのに……」
「簡単ではなかったでしょう。けど迷わなかったと思うわ。血より濃いものを譲ったのだから。ゆーくんは魔王様の息子よ。そういえばその頃からね。大王をやめて魔王を名乗るようになったのは」
それで大王から一段下がって王を名乗っていたのか。ようやく理解ができた。
「そんなことまでしてくれたのに……知らなかったとはいえ兄は魔王様を襲おうとした。結弦君を殺そうとして……ひかりちゃんを手に掛けた」
「うん。それはちょっと怒ってるわ」
にこやかに笑う満代は怖い。なにせ襲撃してきた拳闘士の亜里を一撃で仕留めた人なのだ。
「私、どんなことをしても償います。兄と一緒に」
「あら? どんなことでも?」
「はい」
今でもひかりちゃんのことを考えると胸が痛む。笑顔が素敵で可愛くてお姉ちゃんと呼んでくれた妹みたいな女の子。その娘の未来を閉ざしたのは兄なのだ。そしてそれは自分を助けるために起こしたことだ。勘違いだったではすまされない。
「だったら、私たちの本当の娘になってくれると嬉しいわ。きっとひかりも喜ぶでしょう」
「でも、もうひかりちゃんは……」
「あの娘のことは気にしなくてもいいわ。今頃、ゆーくんとよろしくやってるから」
「???」
娘を亡くす感覚ってこんなものなのだろうか?
*
『はーい!マルちゃんで~す。ご無沙汰でした~。
皆さんの周りに悪魔は見つかりましたか? 見つけてもいきなり手を出しちゃダメですYO! 奴らの生命力は強いですから。やるんだったら徹底的に息の根を止めないと。あとで仕返しされちゃうかもですYO!
そのときのためにとっておきの秘策を今日は教えちゃいます。そうです。悪魔に対抗するなら天使の力を借りましょう。今日は天使の力のほんの一部。空を飛ぶ方法を教えちゃいましょう。』
仮面の男は無責任に話を続けた。
『空を飛べるってそんな馬鹿なって思ったでしょう。そんなことじゃダメダメですYO! 信じるものこそ救われるのデス。信じる力が足りなければ決して成功しませんから。』
いつもの仮面のバニーガールのアシスタントが魔法陣の掛かれた敷物を広げる。
『今日使う魔法陣はなかなか複雑ですので間違えないようにしてくださいNE!』
魔法陣がアップに映される。二重円の間に複雑な文字がぎっしり並んでいる。六芒星の要所要所に文様が描かれている。どうやら布に刺繍されているものらしい。
『これは強い力を持った聖人に一刺し一刺し念を込めて刺繍して作ってもらったものです。高かったんですYO! いつものようにインクで書いても良いのですが、効果が短いんですNE! 刺繍が一番定着しやすいんですYO!
では、魔法陣の中心に入って呪文を唱えます。
エロイムエッサイム、天界の長にして我らが父よ。邪悪なるものと戦う力を授け給え。我が心は常に父と在り、不滅なる忠誠を誓うもの。我に聖なる力を貸し与えよ。顕現せよ。聖なる翼!』
画像の中でマルちゃんが光に包まれる。次第に光は強くなり、画面がホワイトアウトした。やがて光が収まると白い羽根に包まれた固まりがあった。翼が開くと中にはいつも通りマルちゃんがいた。
『アメージーング! これが天使の翼でーす。ただし、神様からの借りものなので期限付きです。だいたい1時間くらいです。紙にインクで書いたものでは5分くらいしか持ちません。しかも1回切り。気をつけてくださいNE!
ではちょっと試してみましょう。』
カメラをアシスタントのバニーに手渡すとベランダに誘った。手摺越しに街の夜景が映る。自分は羽を広げ飛んで見せる。
『どうですか。天使の羽は美しいでしょう!』
ひとしきり飛ぶ姿をカメラに映すとマルちゃんはベランダに戻りアシスタントの娘を後抱きにした。
『では、深夜の空中散歩としゃれこみましょう。ここは10階ですけど信じる心があれば大丈夫ですYO! まーちゃん、カメラ落とさないでね。高かったんですから。』
常にへらへらしているマルちゃんであるが、最後の言葉だけはわりと本気だった。
10分ほどの空中撮影を終えて部屋に戻ってきたマルちゃんは白い翼を背にたたみながらアシスタントの構えるカメラに向かって話を続ける。
『いかがでしたか? 皆さん、神様の力を借りれば悪魔なんて怖くないことがお分かりいただけましたか? 天使の翼があれば飛んで逃げることもできますし、捕まえて空から落としてやることもできますYO! いくら悪魔でも10階から落とされたらいちころで~す。皆さんも神様を信じてくださいNE!
マルちゃんでしたー! それでは、また次回もお楽しみに!』
カメラのボタンを切るとアシスタントの少女が呟いた。
「インチキ野郎だとは思っていたけど悪魔だとは思わなかったわ」
「おやおや、まーちゃんにはこの白い羽が天使の翼に見えないんですか?」
「ふん……天使が聞いてあきれるわ。どうやって白くしたのかは知らないけど、どう見たって悪魔の翼じゃない」
「インチキだって告発でもします? 誰も信じてくれませんよ。1000万再生にはそれだけの力があるんです」
「あんたがペテン師だろうが悪魔だろうがどうでもいい。私には関係ないわ」
不機嫌な少女は無感動だった。
「天国でのうのうと暮らすより地獄を這いずり回って生きていきたい。」をお読みくださりありがとうございました。
いよいよ王子とルシフェルの決闘です。魔王の息子とはいえ普通の少年に過ぎなかった結弦はどのようにして大悪魔を倒すのでしょうか。
投稿は毎週金曜日に行う予定です。今後もお付き合い頂けたら幸いです。




