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目が覚めたら異世界でした!~病弱だけど、心優しい人達に出会えました。なので現代の知識で恩返ししながら元気に頑張って生きていきます!〜  作者: 楠ノ木雫
第七章 フェリアス王立学院

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◇57 異世界の学校

 領地に行く途中で出会った、お花を売っていた女の子。お母様に聞いてみたら、ナカムラ兄妹が言っていた通り孤児院の子だったらしい。


 私達が泊ったホテルのある第三首都ターザニシアス都市。そこにある孤児院はラリストエン孤児院と言うそうだ。


 身寄りのない子供達が孤児院で生活しているのだけれど、生活の他に勉学の教育もしているのだとか。


 そう、この国には色々な学校がある。貴族が通う学院、平民が通う学院、そして孤児院だ。この国は勉学に対してだいぶ力を入れているらしい。



「孤児院にも学校の先生がいるって事?」


「はい。と言っても現役を引退した方や、教員免許を持った平民の方などですね」


「へぇ~」



 そっか、平民の人でも教員免許を持てるんだ。地球だと、大学に行って卒業するか、試験を受けるかでもらえるんだっけ。この世界だと、身分の違いがあるからどうなんだろうと思ったんだけど、そっか。学校の先生を将来の夢にしている人にとってはそれは嬉しい事だね。



「確かラリストエン孤児院は、レシスト伯爵が経営していたと思います」


「レシスト伯爵?」


「はい、ラリストエン孤児院の他にもいくつか孤児院を経営していたと思います」


「……でも、あの子達お花売ってたよ?」


「そうですね……本来なら、経営者の方から普通の生活が出来る程度の養育費が孤児院に送られているはずなのですが……」



 やっぱりおかしいのかな? だって、お金がちゃんとあるならあんな事しなくてもいいわけだし。お金が足りないからお花売りしてたって事だよね? じゃあ、ちゃんと伯爵が送ってないって事?


 少し調べてみましょうか、とマリアが言ってくれたのでお願いした。変な事になってたら大変だもんね。



「そういえば、マリアって貴族の学院に通ってたんだよね?」


「はい、一応私はレセリス子爵家の者でしたから。首都にあるフェリアス王立学院の卒業生です」



 マリアは、レシリス子爵家の令嬢。ここには成人して少し経った頃に来たそうで、結構長いらしい。そんな歳で働きに出ているなんて……いや、私も事業展開しちゃってるな。と言っても周りに手伝ってもらってるんだけどさ。



「マリアって医学の知識もあるんだよね? もしかしてその学院で?」


「はい。フェリアス王立学院は、高学年になるといくつかの科目から一つ選び学ぶことが出来るんです。私は医術を選びましたので、大体の事は勉強済みです」


「へぇ~」



 フェリアス王立学院かぁ。見てみたいなぁ。私、高校中退って事になるのかな? と言ってもあまり勉強できなかったけどね。高校に入れたのだって、本当にギリギリだったもん。



「私の故郷だとさ、義務教育で6歳から小学校、中学校で9年間通うの」


「そちらでは教育期間が長いのですね。カーネリアン王国では、学院に入学するのは8歳からです。初等、中等、高等とあり、卒業は16歳です。お嬢様と同じくらいの歳ですね」


「そっかぁ~、面白いね」



 という事は、私達とは1年違うのかぁ。あ、でも全寮制らしい。家から通う事は出来ないし、メイドや護衛も付ける事は出来ないのだとか。


 その決まりで通わずに家に家庭教師を呼ぶ子達はいるけれど、その貴族学院の卒業生だという事は名誉ある事なのだとか。


 こっちとは違う事ばかりだから、ちょっと面白いな。




「アヤメ、フェリアス王立学院の見学に行ってみないか?」


「え?」



 夕食で突然、お父様がそう言った。え、もしかして今日マリアと学院の話をしていたの、知ってる?



「アヤメは今16歳、この国では学院を卒業する頃の歳だ。だが異世界から来たのは最近で何も知らないだろう。これから社交界で同じような年頃の子達との交流も増えてくる。だから知っておいた方がいいと思ったんだが、どうだ?」


「え、いいんですか……?」


「あぁ。だが体調は整えて、マリアとジルベルトと行きなさい」


「あ、一緒に授業を受けるのはどうかしら。きっと楽しいわよ!」



 もしかして、地球で私がちゃんと学校を卒業できなかった事、気にしてる? この前ほんとうにちょこっとだけ話をしたけど、まさか覚えていたの……!?



「え……本当に、いいんですか……?」


「もちろんだ。アヤメが行きたいのであれば、私の方から学院長に話を付けておくよ」



 同じ年頃の子達と、一緒に授業……入学するわけじゃないけれど、一緒に授業受けていいんだ……!



「……ありがとうございます。私、行きたいです!」


「あぁ、分かった」



 一応ラル夫人には家庭教師として勉強を教えてもらってるけど、授業を受けるのは私一人。それに自分の住んでいるこの屋敷で。


 学院で、他の人達と一緒に授業を受けられる。


 なんて、嬉しいんだろう……!


 

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