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目が覚めたら異世界でした!~病弱だけど、心優しい人達に出会えました。なので現代の知識で恩返ししながら元気に頑張って生きていきます!〜  作者: 楠ノ木雫
第六章 カーネリアン王国の夏

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◇44 初夏


 私がここに来て数ヶ月が経ち、この国カーネリアン王国は初夏を迎えた。


 お母様によれば、ここの国の首都は真夏は猛暑になるらしい。だから、首都にいる人達は皆首都から避暑地へ向かうそうだ。行けない人は、首都に留まり家に籠りきりとなる。お仕事? それは国王陛下がお決めになった法律でお仕事が休みとなる。王城ではそれは例外となる所はあるけれど。


 籠りきりとなる為今は皆蓄えを用意し、魔石も準備しているそうだ。所謂準備期間だね。


 魔石の準備とは、前に開発された部屋を冷やしてくれる所謂クーラーの様な魔法道具に使うものだ。冷気魔道具と言うらしい。途中で切れちゃったら大変な事になるから、皆沢山買い込むそうだ。


 魔石の販売をしているアドマンス家も、この時期は飛ぶように魔石が売れるらしい。


 私達も、首都から涼しい領地に向かう事となっている。だから準備が必要なんだけど……



「アヤメちゃんには、初夏でも駄目だったみたいね」


「ごめんなさぃ……」



 完全にやられました、初夏の暑さに。え、これくらい余裕でしょ? って気温で。ごめんなさい、私には無理でした。


 所謂夏バテというやつで、身体はだるいし食欲もないし身体も疲れやすくて大変です。8月頃の真夏だともっとなんでしょ? 一体どうなっちゃうんだろう。考えただけで恐ろしい。



「アヤメちゃん、大丈夫?」


「あ……ナナミちゃん」



 今日は、ナナミちゃんが来てくれていたみたいで。お見舞いに来てくれた。


 この国での夏はナナミちゃん達も初めてらしく、こんなに熱いなんて思いもしなかったと笑っていた。いや、笑う所じゃないと思うんだけど。



「ご飯にこれ作ってみたんだけど、どう?」


「あ……うなぎ!」


「そう!」



 お魚は違うみたいだけれど、うなぎの味にとっても近いお魚を使ってるみたい。ちらし寿司となっていて、とっても美味しそう。食欲がない私の為に、量を少しにしてくれたみたい。これなら食べられそうかも。



「ん~! 美味しい!」


「ほんと? 良かったぁ!」



 うなぎのたれとか、もう最高です。中々食事が喉を通らなかったけれど、何とか食べられそう。夏バテにはうなぎが一番って言われてるからね。あ、でも魚が違うんだっけ。でも、肉や魚とか食べたほうがいいってどこかで聞いた事があったと思う。あ、あとは旬の野菜とか?



「ナナミちゃん達は、8月はどうするの?」


「そうね~、一応冷気魔道具は買ったし、お店も休みになるから家に籠ろうかって思ってる所だよ」


「……じゃあ、一緒に来る?」


「え?」



 確か、領地には毎年リアさんも一緒に行ってるって聞いた。お父様もお兄様も王城に残るってなるとお母様は一人で領地に行く事になってしまうから、毎年リアさんも一緒に行っていたみたい。


 でも今年は私も一緒に行くから、どうせならナナミちゃん達も一緒に行けばいいんじゃないかな?


 でも、悪いでしょ? と言われたけれど、聞いていたマリアがお母様に聞いてみますと行ってくれて。お母様は、いいじゃない! と了承してくれた。



「ほ、本当にいいんですか?」


「えぇ、いつもお世話になっているのだから、もちろん歓迎するわ」


「あ、ありがとうございます! 早速兄達と相談してきますね!」



 と、嬉しそうに帰っていった。


 あ、因みに言うと私の事業である【フラワーメール】も8月はお休みです。特に配達員が熱い中走り回ったら熱中症どころじゃなくなっちゃうし、持ってくるお客さん達も大変だもん。だからもう張り紙はしてあるし、王城の方にも言ってある。というか言われた。猛暑が終わった頃にまとめて出すと。


 だから8月は従業員の皆さんはお休みです。あ、でも〝伝書ラロク〟ちゃん達のお世話係争奪戦があったそうだ。お休み中郵便局は無人になってしまうから、お家に連れて行ってお世話をする係が必要となってくるのだ。


 もう全員が名乗り出てしまい、最後にはじゃんけんという形をとる事となった。すっごく気合いの入ったじゃんけんだったよ。もうアイドルだよね、ラロクちゃん達。



 そんな事がありつつ、夏バテと格闘する日々が続いた。冷気魔道具のある部屋から出られなくなり、外には全く出ることが出来なくなってしまって。ちょっと不満ではあったけれど、倒れるのは嫌だったから我慢して。そんな事が続いていたら、もう領地に向かう日となった。



「これから数週間、よろしくお願いします」


「いいのよいいのよ、人が多い方が楽しいじゃない」


「こちらこそだよ!」


「うん、ありがと!」



 結局、ナカムラ兄妹だけとなった。他の二人は、あまり面識がないからと遠慮したらしい。別にいいのに。


 お父様とお兄様が一緒に行けなかったのはちょっと残念だったな。毎年近衛騎士団は、城を守る者達と避暑地に向かう王妃様達の護衛の者達とで別れてしまう。近衛騎士団長であるフェレール団長は護衛役の方に回る為、副団長であるお兄様が代理役として残った近衛騎士団員達を指揮するそうだ。


 そして城に残る国王陛下をお守りするのはお父様の役目である。


 まぁ、しょうがないよね。


 と、いう事で私、お母様、リアさん、あとナカムラ兄妹となった。


 初めての旅行だし、アドマンス家の領地に行くのも初めて。とっても楽しみだなぁ。


 あ、これからアドマンス領まで馬車で4日間だっけ? それも大変ではあるけれど、それも旅行の醍醐味よね。ちゃんと泊まる宿もあるみたいだし。



「ふふ、楽しみ?」


「はい!」



 地球でだって、旅行はした事がない。あ、病院に入院するくらい? だから、今回の旅行がとっても楽しみです!



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