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目が覚めたら異世界でした!~病弱だけど、心優しい人達に出会えました。なので現代の知識で恩返ししながら元気に頑張って生きていきます!〜  作者: 楠ノ木雫
第四章 異世界のお手紙

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◇32 郵便屋さん【フラワーメール】


 あれから郵便事業は着々と進んでいた。ナジアンス侯爵様と何度も何度も話し合って、レストリス侯爵様ともレターセットについて話し合った。



「なるほど、封筒を開けると花柄が出てくるのか。とても面白い案だと思うよ」


「本当ですか!」


「しかも全種類作ってくれたようで驚いたよ」



 そう、階級で色が決まっていたレターセット全てに、色は変えずに新しいデザインのレターセットを作成してみた。2パターンあって、一つは封筒の外側を花柄に。そしてもう一つは、封筒の内側を花柄にしてみた。そう、開けたらびっくりお花柄! みたいな? 


 あぁあと便箋にも綺麗なお花柄のデザインを用意してみた。


 今後も、お花柄以外で何かデザインを考える予定である。……まぁ、私は絵が苦手、いや、壊滅的だから何か考えなきゃなんだけれどね。



 あと、この郵便事業の名前は、【フラワーメール】となった。可愛すぎるかな、って思ったけれどナジアンス侯爵様もそれが良いとOKを頂いて。お母様も、とっても素敵な名前ねって言って下さった。


 局員も、募集したら何人か人が集まった。事務員の人、そして配達員の人だ。


 そして、その中にはお父様とお母様の推薦の方が一人ずつ。


 お母様からの推薦の方は、リタ・エルマンさん。ラル夫人の姪にあたる方で、声をかけたらぜひ私にやらせてくださいと言ってくれたそうだ。



「私、この歳でこんなに素晴らしい事業を立ち上げられた令嬢を尊敬していたんです。私も、令嬢のような皆に喜ばれるような事をしてみたいと思っていて……だから、ぜひ私にやらせてください!!」


「は、はぃ……」



 向かいに座ってた彼女が身を乗り出してそう言ってきた。とりあえず圧にやられた。あ、もちろんそう名乗り出てくれたのだからお願いするつもりではあった。ラル夫人から、手先も器用だし頭もいいと聞いていたから。だから、事務員としてお願いした。


 お父様からの推薦の方は、ラトス・オランジールさん。以前は王宮騎士団をしていた方だ。最近、任務で片腕を負傷してしまい退団しなければならなくなってしまったらしい。


 彼は馬に乗る事が好きらしく、次の職場も馬を扱えるところが良いと考えていたようなんだけど、そうすると重い荷物を持たなくてはならなくなる。でも負傷した腕では重い荷物を持つことが出来なくて。だから、手紙などの軽い荷物なら運べるのではないかとお父様が話をしたらしい。


 騎士から郵便屋さんに、だなんて断られちゃうかなって思ってたんだけど……



「ぜひ私にやらせてください!」



 と言ってくれたらしい。やる気は十分だったよ、とお父様から聞いた。


 彼は馬の扱いはベテラン、この国の地理なども頭に入ってるし、いざという時にはたとえ片腕が上手く使えなくても自分の身も手紙も守れるだろうとお父様から太鼓判を押されていた。


 なら、安心して手紙を任せられるね。



 そして今日、やっと完成した郵便局の初めての営業が始まる。



「では皆さん、今日からよろしくお願いします!」


「はい!」


「よろしくお願いします!」



 郵便屋さん【フラワーメール】初営業開始です!



 郵便局を開けると、すぐに何人か入ってきた。きっと貴族の使用人さんかな? という人ばかり。


 手紙を直接持ってきて、事務の人に説明されて手紙を預けていく人、切手だけ買っていく人といて。


 あ、因みに私は郵便局の奥の方から覗いてるだけね。マリアとジルベルトと一緒に。お客様に見つかったら大変なことになるから。だから覗きつつ仕分け作業をお手伝いしてます。


 これなら大丈夫かな、と思ってたんだけど……



「……えっ、ほ、ほんと?」


「は、はい……」



 なんと、切手が全部売れてしまいました。あんなに印刷して用意したのに。まさか全部売れてしまうなんて予想してなかった。置いてみたレターセットももうそろそろでなくなっちゃいそう。



「その……大量に購入されていく方が結構いらっしゃいまして。きっと、貴族の方々だと思います」


「そ、っか……買い占められちゃったのね」



 まぁ確かに、貴族の方々は手紙のやり取りは普通に行われている。それも見越して用意したんだけど駄目だったか。じゃあ、また明日切手を用意しなきゃだ。あ、でもまた買い占められちゃったらどうしよう。


 でも、そんな大量買いしたところで沢山手紙を書かなくちゃいけなくなるし、コレクションにと取っておくとしても3種類しかない。たぶん、大丈夫かな。



「それと、アヤメ様。こちらを……」



 渡された、束になった手紙。


 大量にお願いされたのかな、と思ったら違くて。送り先が……アヤメ・アドマンスご令嬢、となっていた。


 ……私? え、私に? ……切手、いらなくない? あ、でも私がここにいるの知らないからか。これ、家にそのまま送ってもらってから読むべき?


 でも、その中にとある封筒を見つけてしまった。



「金色……」


「二枚も、ありますね……」



 金色、という事は王族の方々が使用出来るレターセット。送ってきた方は……王妃殿下と、王太子殿下からだ。マジですか。あ、そういえば王妃様、開業したら私に送るって言ってなかったっけ。その言葉通りって事か。


 こりゃマズい、と思い中身を確認した。内容は、今回の事業郵便局初営業のお祝いの言葉だった。なんか、ありがとうございます。それと、今度お茶をしようというお誘い。今度招待状を送る、という事らしい。



 そんな感じで今日の営業が終わった。今回の事を踏まえて、改善すべきことを今日帰ったらお母様と話し合おう。持ってきてくださったお手紙は、今オランジールさんが配達している最中。……あ、戻ってきた。すごい、もっと時間がかかるはずだったんだけど、やっぱりベテランさんは違うね。



「大丈夫でした?」


「はい、無事全てお手紙を配達いたしました」



 配達したお手紙の中には、宛名と送り先の場所が隣同士だったものや、宛名の家が郵便局より送り先の方が近かったものだったり。まだここ首都でしか手紙のやり取りがないみたい。これから、第二首都、第三首都まで配達先が伸びるといいんだけど。その為に開業したわけだし。


 今日は、全て貴族の方々からのお手紙。あまり平民の方々は手紙を利用しないって言ってたから、これから白い封筒が来てくれるといいな。




「こ、これは……」



 帰宅すると、玄関には沢山のプレゼントボックス。あと、花束も沢山。ついさっき見た名前の人達からのもの。そう、私宛に持ってきてくださった手紙に書かれていた名前の人達。これを贈るなら、手紙の一緒にしたら? と思ったけれど、郵便事業だからそうしたんだろうね。お手間取らせてしまってすみません。ありがとうございます。



「これ、全部押し花にするか……」


「皆に声をかけますね」


「うん、お願い」


 

 プレゼントボックスには、宝石とか織物とか。う~ん、どうしたものか。とりあえず、ドレスルームに入れておいて、とお願いした。


 まぁ、初日だからこういう事もあるよね。これから色々と改善していかなきゃ。



 もしよろしければブクマ、評価、ご感想などなどよろしくお願いします。特にご感想やレビューなどがあればとても嬉しいです。励みになります!

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