表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
目が覚めたら異世界でした!~病弱だけど、心優しい人達に出会えました。なので現代の知識で恩返ししながら元気に頑張って生きていきます!〜  作者: 楠ノ木雫
第四章 異世界のお手紙

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

26/115

◇26 お手紙

 最近、お母様のご友人であるラル侯爵夫人が来訪するようになった。その理由は、私の貴族作法レッスンの為だ。


 こんな凄い人にレッスンなんて頼んでもいいのだろうか、と思ったけれど、お母様も全然問題ないわと言っていたし、とにかく本人が大歓迎だった為お願いしたという事だ。押し花のお礼も兼ねているらしい。別に気になさらなくてもいいのに。



「では今日は、お手紙のお勉強ですね」


「よ、よろしくお願いします……」



 今日のレッスンは、手紙の書き方。この内容は、前回のレッスンの時私がお願いした。……というか、あれは助けてくださいというSOSだ。


 ……遂に来てしまった。王太子殿下からのお手紙が。


 はぁ、どうしてこんな事になっちゃったんだろう。初めて王様達に謁見した時王太子殿下にお会いして、何だかんだでお手紙からという事になっちゃったから……


 私は本気で言っているとは全く思わなかったから、手紙が来た時には本当にびっくりしてしまった。


 こっちに来てから、自分でお手紙を書いたのはカリナとナカムラ兄妹、あとナカムラ兄妹のおじい様にだけ。それにマリアに教えてもらってだ。それにだいぶ苦労した。


 地球でもちょっとお手紙の書き方を習っただけで実際に書いた事なんてない。SNSが身近にあったからだ。今思うと、SNSの使い勝手の良さが身に染みてよく分かる。


 殿下のお手紙からは、そう焦らずすぐに返さなくてもいいし、短い文章でもいいと書かれていた。本当に親子揃ってお優しい方達だって安心したけれど。でも王族の方にお手紙だなんて手が震えそうだよ。



「ではまず、お手紙の種類からお話しましょう。こちらをご覧ください」



 そうして出されたのは、色違いのレターセット。金色、青色、緑色、黄色、黄緑色、白色だ。



「書く人物の階級によって色が変わってくるのです。まず白ですね。こちらは平民が扱うものとなっています。そして黄緑は商人、黄色は下位貴族です。伯爵、子爵、男爵、準男爵、騎士爵です」



 なるほど。確かに、カリナが送ってくれた手紙は黄色だった。カリナは伯爵家のご令嬢だからか。



「そして緑色は上位貴族です。公爵と侯爵、辺境伯ですね」



 ラル侯爵夫人から頂いた手紙がこの色だった。なるほど、分かりやすい。


 これは、手紙を仕分ける為に色が違うらしい。王宮ではたくさんのお手紙が届くらしいし、貴族でも複数送られる。なるほど、それは便利だ。



「じゃあ、私が使うのは緑色ですか?」


「いえ、違います。このアドマンス公爵家には皇族の血が流れておりますので、お嬢様がお使いになる手紙はこちらです」


「……え?」



 夫人が指したのは、青のレターセットだった。なんか、青色のレターセットが残っちゃったなと思ったらそういう事だったのか。確かに、この家は特別な家だって言ってたけれど、ここでも違いが出てくるなんて。やっぱりすごい家なんだ。


 では、早速書いていきましょうか。と、便箋が目の前に広げられた。 白い紙に、青い綺麗な装飾がされた便箋だ。さっきも見たけれど、この異世界での便箋は全部罫線の入っていない無地のものだ。


 いつも、曲がっちゃわないように集中して書くけれど、結局ちょっと曲がっちゃったりインクが伸びちゃったりとで書き直しになってしまう。けれど今日はラル夫人がレッスンしてくれているんだから頑張らないと。



「謹啓、から始めます」


「は、はいっ!」



 頭をだいぶひねって、殿下へのお手紙が何とか完成したのだった。殿下からは、短くてもいいとおっしゃって下さったから、便箋の半分しか書けなかったけどこれでも大丈夫だと思う。うん。本当にすみません。


 最後に、封蝋をたらしてスタンプを押した。これは、このアドマンス家の家紋。何度見ても、かっこいい家紋だ。


 はい、お疲れさまでした。とラル夫人が褒めてくれた。本当に頑張った、偉いぞ私。



「これって、郵便屋さんが持っていってくれるんですか?」


「郵便屋さん、ですか?」


「……え?」


「お手紙は、屋敷の者が直接届けるのが普通です」


「へぇ……」



 じゃあ、郵便屋さんという職業はないって事? なんか不思議だな。



「その、お聞きしてもよろしいでしょうか」


「あ、はいどうぞ」


「その、郵便屋さん、とは?」


「あ、私の生まれ故郷では、郵便局員という職業があって、郵便物を配達してくれるんです。あ、手紙の他に荷物も運んでくれるんですよ」


「運送とは違うのですか?」


「う~ん、よく分からないんですけど……荷物の大きさ、ですかね」


「なるほど……確かに、そういった職業の方がいらっしゃったらとても便利になりますね。特に、長距離の配達となると何日もかかりますから、専門の方がいらっしゃったらもっと早く届ける事が可能かもしれませんね」



 公爵夫人にお話してみてはどうでしょうか、と言われてしまった。おっと、これはこの前のパターンかな? でも、よくなるなら言ったほうが良いのかもしれない。


 とりあえず、今日のレッスンは終わりにしましょう、という事になった。そのまま、お母様の所に向かったのだ。


 そして、お約束の展開になってしまった。



「良いじゃない良いじゃない! なんて素晴らしいの!」



 早速バートに話してみましょ! と本気にしてしまったのだ。まぁ、今回は魔道具じゃないけど。でも、結構大変なものになってしまうのでは? だって、新しい職業を作るって事になっちゃうわけでしょ? なんか、またすごい事になってしまった。


 そして、帰ってきたお父様に言ってしまったお母様。またお父様の執務室で作戦会議となってしまった。



「なるほど、専門の郵便配達員か」


「郵便の他にも、小さな荷物も一緒に配達するらしいの。とっても良い職業だと思わない?」


「確かに、ウチにも他の屋敷にも配達する係の者はいるが、長距離となると重労働である為負担がかかってしまっていたし、限られた者にしか任せることが出来ない。そういった専門の者がいるのであれば手紙を出すこちらとしても安心して渡すことが出来る」


「専門となるのであれば、決まったルートを確保することも出来るし、一回の配送で沢山の手紙を配りに行ってくれるから効率もいいわ」


「荷物の量で、乗り物も選択できる。少ないのであれば足の速い馬でいけるのだからな。乗り慣れていればもっと短時間で配送出来るだろう」



 よし、検討してみよう。そう言って下さった。そうだよね、負担が軽減出来るのであれば、とっても嬉しいよね。


 これでまた、ちょっとは貢献出来たかな?



 もしよろしければブクマ、評価、ご感想などなどよろしくお願いします。特にご感想やレビューなどがあればとても嬉しいです。励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ