ヲタッカーズ19 時をかける大叔母さん
ある日、聖都アキバに発生した"リアルの裂け目"!
時空海賊、ギャング、宇宙人の聖都侵略が始まった!
聖都の危機にアキバのCharlie's angels
"ヲタッカーズ"が立ち上がる!
オトナのジュブナイル第19話です。
今回は"紅い線香"を名乗る地上最速の幼女が現れ、折からパワハラから怪人化した悪女達と対立します。
幼女と組み、あわよくば秋葉原の信頼を取り戻そうと躍起になるヲタッカーズの前に悪女タッグが立ち塞がって…
お楽しみいただければ幸いです。
第1章 紅い線香
「もう何もかも嫌っ!死ぬわ!」
「えっ!早まるなっ!」
「きゃあああー!」
絶望した腐女子がビルから身を投げるw
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
その夜の御屋敷。
「飛び降りたのは"リアルの裂け目"から落ちコボれた異次元人だったりして。ミユリさん、知らない?」
「いいえ。でも、見た人を全て覚えてるワケではナイので…」
「またもやラズゥ博士のトコロの"人類戦士"だったりして」
僕はメイド長のミユリさんに小声で囁く。
あ、僕の彼女はスーパーヒロインなんだ。
「だって、地上37階から飛び降りて無傷だょ?そんな人、パワーを持ってる以外ナイでしょ」
「では、彼女こそアキバの新しいヒロインなのカモしれませんね」
「えっ?どーしたの?ミユリさん率いるスーパーヒロイングループ"ヲタッカーズ"がヲタクの信頼を取り戻せナイからイジケてるワケ?ミユリさんポクないね」
「私達なりに色々やってみたのです。レンタルボックスのレイアウトとかまで手伝ったのに許してもらえない。たった1度の失敗でヲタッカーズへの信頼が一気に消え去りました」
実は、前回、スーパーヒロインのアンチ物資"不機嫌ニウム"にヤラれたヲタッカーズのエアリの奇行でアキバは危機に陥ったのだ。
「大袈裟でしょwアレは全部"不機嫌ニウムが原因ってわかってる。ヲタッカーズのせいじゃない」
「でも、そう逝って下さるのはテリィ様だけだから」
そりゃそーだ。僕は彼女のTO。
ミユリさんは長い溜息をつくw
「とにかく!ヲタッカーズは、もう"ヲタクの希望の星"では無くなってしまったのです」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
その頃、問題の飛び降り女子はアキバ防衛秘密組織ジャドーのERに担ぎ込まれている。
「全身を強打したのに、なぜ彼女は平気ナンだ?」
「最後に発した金切り声が、強力な音波となり、地面に反射して落下の衝撃を和らげたと思われます」
「何だって?じゃ僕と"良い感じ"だった女子は、パワーの持主ってコト?超音波系スーパーヒロイン?」
シボヌは、巨大メディア企業ワラッタのCEO秘書だったがパワハラに逢い投身自殺を図るも金切り声のお陰で自殺は失敗したらしいw
「うーん。DNA的には人間ナンだが」
「では、あの金切り声パワーは?」
「恐らく"宇宙の神秘"か?」
ラチがあかないw
シボヌの彼氏?のダマヤは"国民的ヲタク"を自称スル天才ハッカーだ。
使い勝手が良いので、ジャドーでも派遣社員的にコキ使われているのだ。
ストレッチャーの上のシボヌが目を覚ます。
「…何かわかった?」
「君が無事で死に損ねたコトがわかった」
「…ジャドーの検査は無駄だったってコト?」
「いいや。君が人間だと確認出来た。"リアルの裂け目"から落ちコボれた異次元人でなくて良かったね」
「無駄足だったのね…ところで、ダマヤ。貴方、いつムーンライトセレナーダーと知り合ったの?」
ムーンライトセレナーダーは、ミユリさんが変身した時のスーパーヒロインのネームだ。
「え。ソレは…また今度話すよ」
「いつ?」
「僕達がキチンと付き合ってからかな」
「…不安なの」
「そうだね。わかるょ。みんなで協力すればシボヌの金切り声の謎も解明出来る。ジャドーの人達も、僕も、君を決して見捨てない」
その瞬間、突如シボヌが頭を抱え込んで声にならない叫びを…何かが頭の中で叫んでる?
「どうしたンだ、シボヌ?大丈夫か?」
「私、行かなきゃ!」
「今、ドクターを呼ぶょ」
「結構ょ。急ぐの」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
同時刻のジャドー本部独房No.17。
看守が囚人女子と話し込んでるw
「昨夜は5人が病院に運ばれたそーだ。脳波のバランスが乱れてバタバタ倒れたらしい。アンタ、何か知ってる?」
「知ってる。ココのメシは不味過ぎ」
「アレだけ深刻な電気現象を起こせるのは、アンタしかいない。一体どうやった?」
「買い被ってくれて thank you。でも、私が狙うのはワラッタのサリアCEO…ソレとムーンライトセレナーダー」
「そりゃ随分と高望みだな」
「私がココを出る時は…アンタも覚悟しな」
次の瞬間、独房いっぱいに図太い稲妻が走り入り乱れて、明滅!
看守が蜘蛛の子を散らすように逃げ惑い囚人女子は高笑いスル。
その様子を移送中のシボヌが偶然目撃スル。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
ワラッタ・ワールドワイド・メディアHQタワー最上階のサリアCEOルーム。
「美の極限ね」
「色使いが…まさに芸術ソノモノだわ」
「ホント美味しそう」←
サリアCEOの広大なデスクの片隅で、有名ケーキショップの箱が開けられ、キレイに並んだカップケーキに女子的賛嘆の声が上がる。
「食べたいと顔に描いてある。でも、貴女に奪い取る勇気はなく、タダ遠巻きに眺めて、手に入れたいと願うだけ」
「あぁ」
「こういうカップケーキはね、永遠にあるワケじゃない。油断すると取られちゃう。早い者勝ちょ。TOも同じ」
実は、カップケーキを手土産にサリアを訪ねたのはヲタッカーズのマリレだ。
マリレのTOだったダマヤは…実は"推し変"を考えている…恐らくシボヌにw
「サリアCEO?」
「このカップケーキを貴女の不毛な略奪TO騒ぎに例えたマデょ」
「その話は気マズいです。ダマヤには、考える時間が欲しいって言われただけだし…でも、いつまで待てば良いのかしら」
「追いかけるだけじゃダメ。彼を妬かせるのょ。私が去年に出した恋愛マニュアル本は買ってくれた?灯台みたいに自分を輝かせれば、TOの方から寄って来る。この本の出版を機に、私はワイドショーの常連になったのょ?」
「彼のハートを射止めるために…敢えてアプローチをしない?」
目を輝かせ、ケーキにも手を伸ばすマリレ。
「その通り。気のない素振りね」
彼女が伸ばした手をピシャリと叩くサリア。
「私のょ!」
「痛ぁーい!」
「あぁ天国」
カップケーキの匂いにウットリするサリア。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
地下アイドル通り。
颯爽と歩くのは退院?したシボヌだ。
だが、突如頭を抱えてしゃがみ込むw
「また頭の中で…誰かが叫んでる!」
閉じた瞼の裏側に…骸骨の像←
何度もフラッシュバックするw
「私、どーしちゃったの?頭が割れそう!」
平衡が取れズにフラフラするが…突然、直立不動になり、別人のようにスタスタ歩き出すw
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
ワラッタ・ワールドワイド・メディアHQタワー最上階。
「シボヌ、何してる?君は解雇された。もう出入り禁止だ!接近禁止命令を出すぞ!」
屈強なセキュリティを楽々突き飛ばし、オフィスに乱入するのは…シボヌ?まるで別人だw
「警察を呼べ!その女は、イカれた目をしてるぞ!」
「シボヌ、出て行って!」
「よくも私の人生を…台無しにしてくれたわね…サリアCEO!」
何ゴトかとルームからサリアが出て来る。
ソレを見たシボヌが、不気味に微笑んで…
「きゃあああー!」
凄まじい金切り声に、その場の全員が耳を押さえてうずくまる!
その金切り声は超音波となり、サリアCEOに向かって一直線だ!
「サリアさん、危ないっ!」
恋愛相談中だったマリレが咄嗟の判断でサリアを庇い前に出る!
だが、シボヌの金切り声を満身に浴びて吹っ飛び、ビルの外へw
失神したママ、地面へ真っ逆様だw
「マリレさん!」
「タイヘン!ココは地上37階ょ!」
「あぁサッパリした」
スカったした顔のシボヌ。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
マリレが意識を取り戻すと、目の前に…洗面器みたいなヘルメットを被った幼女がいる。
「あ、ゴメン。お姉ちゃん、服が萌えてる」
確かにロケット兵装備の下のメイド服が萌えており、幼女らしい遠慮の無さで、バストやヒップも御構い無しに叩いて消火?してるw
「高速だったから空気との摩擦でメイド服が萌えちゃった。ゴメンね、お姉ちゃん」
「余計なコトしないで!貴女は…誰?」
「え?でも"ヒストリー1"で高速訓練中だった私が助けなかったら、今頃"ヒストリー37"のお姉ちゃんはペチャンコだったょ?」
「ヒストリー…何?私、秋葉原に戻らないと」
「大丈夫。ココはアキバだょお姉ちゃん」
だが、幼女の答えを待たズ、ロケット兵装備でジェット噴射で飛ぶマリレ。気味が悪い。
「スゴいな、お姉ちゃん。空を飛べるの?」
幼女らしい天真爛漫さで、心から驚いた顔の彼女も猛スピードで"走っている"。
空から見ると地表を走る赤い閃光だが、ソレに気づきマリレが空から舞い降りる。
「貴女、スゴいスピードで走れるのね?音速?」
「お姉ちゃんこそ。飛べるの?」
「私、ヲタッカーズのマリレ」
「誰それ?」
「え、知らないの?ごめん、えっと…ってか、叫び声のせいで私、かなり混乱してルンだけど、ナンで助けたの私を?」
「だから…お姉ちゃんが落ちるのを見てキャッチした。こんなトコロまで来たのは練習の成果なの。かけっこが大分速くなったわ」
「それは良いけれど…貴女はだぁれ?」
「私は…マリーアン」
「マリーアントワネット?」
「違うわ」
「じゃ知らない」
「ウソでしょ?私はマリーアン。"地上最速の幼女"を知らないナンて…どうやら私、別の歴史に来たみたい。助けて、お姉ちゃん」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
御屋敷裏にモグリ酒場風の秘密基地を作ったらスッカリ常連やヲタッカーズの溜り場だw
とりあえず、幼女らしく?紅いスク水のマリーアンを呼んで色々と話を聞くコトにスル。
「別の歴史?歴史って他にもいくつもあるの?」
「だって、お姉ちゃん達の歴史では、秋葉原にスターラボがない。ハリソもトリンもいないから、私は元の世界に戻れないわ」
「ミユリ姉様。この子、大丈夫?ところで、シボヌは?」
「マライアみたいな声で大騒ぎして逃走中」
赤いスク水の幼女が叫ぶ。
「この歴史にもマライアはいるのね?初の女性大統領でしょ?!」
「うーん。ホントに貴女はだぁれ?」
「マリーアンょ」
「マリーアントワネット?僕はダマヤだ」.
「そして、コチラはテリィ様ょ。実は…テリィ様。説明がヤタラ難しいのです。頭の中がウニみたいになっちゃって…」
「おいおい、ミユリさん」
「あ、ごめんなさい。簡潔に申し上げると…マリーアンは別の歴史から来た幼女です」
魔術で呼び出したみたいに手をヒラヒラさせて紹介するミユリさん。
マジシャンの助手みたいだょコレで黒レオタードで網タイツならな…
あ、いかんいかんw
「マジでスゴいね。もしかして、多元宇宙論は正しいコトの証明かな?」
「部分的にYES」
「妖精の私もビックリ」
「え?」
「エアリは妖精ナンだ」
「妖精さん?こっちの歴史って…」
「こっちの歴史?」
「あのね。歴史には、いくつものバージョンがあるの。例えば、ナチスが勝った歴史、キリストは未だ生きてて…」
「みんなが悪人の歴史は?」
「あるわ。最悪ょ」
「歴史は、全部同じ宇宙に存在スルけれど、異なる周波数で波動してるから、お互いには見えないのょ」
「スゴいコトを逝う幼女だなwで、もし超高速で移動出来れば、時空の境界に裂け目が出来て、別の歴史に行けるとか?あ、ソレが"リアルの裂け目"ってコト?」
「でも、そんなに速く移動スルのは理論的には不可能だけど…」
次の瞬間ヲタッカーズだけ全員手にアイスw
「いつの間に?超早い!」
アイス片手に無邪気に喜ぶヲタッカーズ。
全く!どっちが幼女なのかワカランなーw
「実を言うと、私は量子加速器が爆発した夜に雷に打たれてスーパーヒロインになり、超高速で走れるようになったの。あ、お兄ちゃん達はアイスは嫌いかと思って」
「大好きだよっ!…ってか、君もスーパーヒロインなのか?そりゃスゴいな」
「貴女は、異なる歴史の間を自由に往来が出来の?」
「ソレは無理ポ。私は、偶然ココに来たの。まぁ一種のタイムトラベルね。パラレルワールドの世界と世界の間を旅行する理論は未だ構築されてない」
「うーん」
「とにかく!こんなパターンは初めて。戻る方法が分かるまで、ココに足止めだわ」
「大丈夫。私達ヲタッカーズのお姉ちゃんがついてるから」
アイスをペロペロ舐めながら大きく頷くヲタッカーズのお姉ちゃん達。限りなく頼りないw
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「お兄ちゃん達、ゴメンね。私、1日1万kcalを摂る必要がアルの」
「ええっ?!ソンなの、お姉ちゃん達に相談すればスグだょ?」
「任せて!マリーアン、ドーナツは好き?」
「もちろん!」
「可愛いお店があるの!じゃスーパーヒロインはlet's go!」
「じゃテリィ様、また後で」
僕とダマヤを残し女子全員がゾロゾロ出発。
「ナ、ナンでしょう?テリィたん」
「皆目ワカラン。でも、マリーアントワネットがマリレと話してると、ダマヤは微妙な顔をスルょね?しかめ面とは意外だゼ」
「テリィたん。俺、そんな顔してないって」
「認めろょ。君は幼女に嫉妬してルンだ」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
その後1万kcal?を摂取した女子達と合流してワラッタ・ワールドワイド・メディアへ。
全員でサリアCEOを訪ねる。
「マリレ!生きてたのね?」
「ご心配なく。助けてもらえました」
「知ってるわ。もうニュース速報のネタになってるし。ソレに…またもやウチの元社員が復讐鬼と化しちゃって」
「金切り声女子は、新たなスーパーヒロインの出現なの?吉報?凶報?ヲタッカーズの味方?ソレともライバル?」
「ライバルでは…無さそうね」
「じゃあ…ヲタッカーズの弟子?」
「ソレも違うわ」
「同じな立場かしら?じゃ同志とか相棒とか?」
出しゃばるマリーアン。
サリアが溜め息をつく。
「ねぇ。全員で突っ立ってるだけ?新作ドラマの仲良しキャストみたい。で、おチビなレディは誰なの?」
「彼女は姪で…」
「私はマリーアン。この中の誰の親戚でもなく、単なる通りすがりの幼女です」
「あ、家族同然の付き合いをしてて…」
「あっそ」
「とにかく!誰か、あの紅いスピード狂の写真を。それから、みんなは今回の騒ぎについて黙ってて。話すべき時が来たら教えるわ。そして、私は…ニューヒロインに名前をつけなきゃ!候補は"レッドビューン"とか"赤い閃光"とか…あ、コレはもういたかw」
溜息をつくマリーアン。
「"プチフラッシュ"は?可愛くてかっこ良いカモ」
「"プチフラッシュ"?梵珠山(青森県)の火の玉を連想させる名前ね。却下。謎めいていて魅力的なのが良いわ…幼女だし、か細いから"赤い線香"はどーかしら?」
「ええっ?!」
「じゃ決まりね!では、男子は出動。女子は残って」
ウマを逝わさズ僕達はルームを追い出されるw
「ねぇ。マリレが幼女といると、ダマヤが妬いてるわょ?」
「え?でも、マリーアンは幼女で…ホ、ホントですか?!」
「マリレ。このママ、一気に灯台モードよっ!」
ニンマリと笑うヲタッカーズ+幼女w
第2章 秋葉原の泣き女
メイド通りから1本入った雑居ビルの4F。
狭い階段を登り小さなトイレ脇の部屋w
「…では、ごきげんよう。貴女の運命の恋は、必ず成就しますわ。毎晩日記に彼の名前を5回ずつ描くのを忘れないように…」
ドン臭そうな腐女子がぬぅと部屋から出て来てモノも逝わズ階段をドスドス降りて逝く。
ソレを壁いっぱいに張り付き、かろーじてすれ違う(やり過ごす?)のは…や?シボヌだ。
「フン。相変わらズ気取った話し方ね?」
「腐女子どもに安物の水晶を高く売りつけるためさ。かわいい姪っ子。元気かい?」
「相談があるの、叔母さん」
抱き合うふたり。
仲は良さそうだ。
「アンタ、頭の中で叫び声がするンでしょ?」
「そ、そーなのょ。誰の声なの?」
「バンシーね。疑問に思った事はナイ?ウチの1族の女は、なぜ人に嫌われるのか?ソレはね、呪われてるからさ。1族が半島から渡って来る前、女の先祖が妖精のバンシーからモノを盗んだ」
「それだけで、私は一生呪われるの?」
「お前が誰かを恨んだから呪われた。呪いを解くには、アンタが恨んだ相手を殺すしかないわ」
「叔母さんも誰か殺したの?」
「叔父さんの最期を覚えてるかい?」
「…殺さなかったら?」
「お前のパワーはドンドン強くなり、金切り声を武器に何処でも攻撃出来るようになる。叫ぶ時に相手をよく狙えば、殺すコトも出来る。その代わり、アンタは人としての心を失うコトになる」
「ソレでも、あのパワハラCEOを始末したい。殺そうとしたけど、ムーンライトセレナーダーが庇うの。スーパーヒロインに守られてるCEOを、どうすれば殺せるかしら?」
自問自答の果てに、ジッと考え込むシボヌが熟考?の末に、顔を上げてパッと輝かせる。
「な、何だい?気味が悪い」
「敵の敵と手を組めば良いンだわ。ねぇ。名案だと思わない?」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
ジャドー本部の独房No.17。
突如金切り声が響き渡るw
超硬化ガラスに無数のヒビが走り、次の瞬間微塵に砕け床一面に粉々の破片が飛び散る。
突然の出来事に茫然と立ち竦む囚人女子は生きた電流を操る異次元人"エレギャーナ"。
「動くな!」
飛び込んで来たセキュリティが短機関銃を乱射、悪魔祓い用の塩弾頭ロケット弾を発射!
何れも青い電流でひと祓い、監視装置と電子錠も放電で破壊、高笑いを残し女囚が脱獄w
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
ワラッタ・ワールドワイド・メディア本社タワー最上階のサリアCEOルーム。
「CEO!タイヘンです!今、万世橋警察署から連絡があり、CEOに解雇され恨みを持つ元社員が脱獄したとのコトです!直ちに避難を!」
口から泡を飛ばして秘書が飛び込んで来る。
「まぁタイヘン!午後のホットヨガのお誘いを断って」
「あのですね。例の"生きた電流エレギャーナ"が脱獄したのですょ!CEOに解雇された恨みで、いずれココに来ます!すぐ、家に帰って荷造りを。息子さんと羽田空港へ行く車と飛行機、護衛のボディガードも手配します!」
「あら。私は何処にも行かないわ。ヲタッカーズがまた助けてくれる。ヲタクは彼女達を見限ったけど、私は彼女達を信じてる。貴女も信じなさい」
「CEO!お願いです!」
「私は、何処にも逃げナイわ」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
御屋敷裏のモグリ酒場風の秘密基地。
メイド長のミユリさんが頭を下げる。
「力を貸して!お願い」
「もちろん」
「何でもするょ」
僕とダマヤの即答にミユリさんは首を振る。
「あ、恐縮ですが、男子諸兄ではなくマリーアンに逝ったのですw」
「え?どうかしたの、お姉ちゃん」
「あのね。エレギャーナって悪党がいてね、彼女はいわば生きた電流なの」
「へぇ。私のいた"ヒストリー1"にもブラックアウターって電流系の悪女ヒロインがいたわょ」
「で、そのエレギャーナが脱獄したの。彼女は、巨大メディア企業の社長さんの命を狙っている。得体の知れない金切り声の女も出没して、今やアキバは油断のならない状況だわ」
「それで?」
「"地上最速の幼女"マリーアントワネットの出番ょ」
「わぁい。でも…」
「モチロン協力してくれたら、貴女を全力で元の歴史"ヒストリー1"だっけ?に返すと約束するわ。どうかな?ねぇ私達、相棒でしょ?」
「そうね!よろしくね、お姉ちゃん!」
「タッグ成立ょ!」
ナゼか、ヲタッカーズを代表して幼女とガッチリ握手スルのはマリレだw
そして、長い溜息をつき、ソファにドーンと腰を下ろす嫉妬顔はダマヤ←
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
その後、何らかの手掛かりが得られるカモと全員で脱走現場のジャドー司令部を訪れる。
「わぁ"ヒストリー37"も科学が発達してるのね!アレは…宇宙船?最高!一緒に写メ撮って!」
「あ、写メはマズいカモ…」
「え?そうなの?」
「そうょ!そのスク水幼女は誰?宇宙人?」
鋭い声に振り向くと、完全武装のセキュリティを従えたレイカ司令官だ。
セキュリティは銃を構え…止む無くマリーアンの前に立つヲタッカーズ。
「この子は…"ヒストリー1"から来たメタヒューマンょ」
「え?ヒストリー何?とにかく!気軽に連れて来ないで!極秘施設ょ!」
「この子も手伝ってくれるのです」
見ると、ヲタッカーズの陰に隠れてマリーアンも銃を下げてとジェスチャーをしているw
「…そう?なら、ありがたいわ。何て呼べば良いの?フラッシュnano?」
「"地上最速の幼女"マリーアントワネットです」
「アキバ防衛秘密組織ジャドーの沈着冷静なレイカ司令官ょ。マリーアン、足が速い以外に特技は?」
「実は、私の"ヒストリー1"でも電流悪女を追いかけてました。この司令部にラボはありますか?」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
その夜。
神田川沿いにいくつかある廃倉庫のひとつで
暗闇に電撃が走って割れた窓から光が明滅…
中では…ジャドーの独房から脱走したエレギャーナが、久しぶりに電撃を試射しているw
「おや?私のお気に入りだわ…」
暗闇にノンアルコールビールが1ケース。
「気に入ってくれたかしら?」
不意に声をかけられ、暗闇の中に目を凝らすと…フラフラ頼りなげな女の人影が見える。
「アンタ、誰ょ?」
「シボヌ」
「気取った名だね」
「私に手を貸して」
「感電死したいのかい?」
「感謝して。私がジャドーの独房から出してあげたのょ?」
「どうやって?」
突如金切り声が響き渡り、暗闇のアチコチでガラスが割れ、地面が震える。
もちろん、エレギャーナ自身も頭を抱え両耳を塞ぎ床にガックリ膝をつくw
「こんな感じだけど?」
「O, OK。話を聞くわ」
「とりあえずね。貴女には殺したい相手がいるでしょ。ワラッタ・ワールドワイド・メディアのサリアCEOとムーンライトセレナーダーょ。私も同じ。手を組まない?」
「スウィフティーズみたいに?」
「どうかしら?」
「…とにかく、着替えて。ユニクロ愛好家とは組めないわ。貴女のコスプレを見て決める」
「楽しくなりそうね」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
ジャドー司令部のラボ。
中ではヲタッカーズ就中マリレがマリーアンと気の合った連携プレイで調査を進めてる。
僕とダマヤは、その様子をラボの外から眺めてるが…ダマヤの目には明らかに嫉妬の色←
「ミユリさんも、そんな目で僕を観てたコトがアルな。も少しキュートだったけどw」
「…さっきのは、考えゴトをしてただけです。何でもありません。鼻がムズムズしただけです」
「そうか。ヲタッカーズを手伝おうと思ってジャドーに来たけど、どーやら手は足りてるみたいだね」
「マリレと俺のコトで気を使ってるなら無用です。マリレが俺から去ったのは、俺達が上手くいってなかったから。俺が追いかければ良かったけど、ナゼだか…無理だった」
ソコへ、ラボから喜色満面のマリレとマリーアンが飛び出して来て口々に叫んで大騒ぎw
「見つけたわ!」
「マリーアンのおかげょ!マリーアントワネットばんざーい!自由!平等!友愛!」
「なんなんだコレ?」
ココで"紅い線香"スク水マリーアンから幼女らしからぬ天才肌なもっともらしい説明w
「エレギャーナの電流を吸い取る力に目をつけました。空気中の電流量の変化を調べるアルゴリズムを描いて実際に回してみたら…この倉庫が特定出来たンだけど…ふーん"ヒストリー37"でも、悪人ってボロい廃倉庫が好きなのね」
「お手柄!早速ジャドーの特殊部隊を差し向けるわ!」
「ダメだょ司令官。危険過ぎる」
「そうね。じゃ!ヲタッカーズが片付けるわ。コレでヲタクの信頼を回復スルわよっ!」
「し、しかし、作戦は?」
「敵を捕まえ、閉じ込める。多分殴り合いになるわね」
「ま、待ってょミユリさん。ソレで、どうやってエレギャーナを捕まえるの?電流ごと吸い込む?やっぱり何か作戦が必要だゼ?」
「前回エレギャーナ捕獲に使った業務用蓄電器を使いましょう」
「無理だょ。前回ミユリさんが壊したし」
「新しいの作って、テリィ様」
「ソンなの待ってたら、敵を見失って大きな被害が出るわ。1度倒したのだから、何とかなりますょミユリ姉様。マリーアンも手伝って!」
「モチロンょお姉ちゃん」
複雑な表情の僕…とダマヤw
第3話 アキバンシーの正体
真夜中のアキバ。
神田川沿いにある廃倉庫に向かい、夜空を飛ぶ黒い影と地表を駆け抜ける"紅い線香"。
ほぼ同時に廃倉庫の前に到着。ヲタッカーズ+幼女のスーパーヒロイン4人が集結スルw
得意顔のマリーアントワネット。
「お姉ちゃん達、私が1等賞だから」
「あのね。私達は、上空から周囲を偵察しながら来たの。貴女に華を持たせたのょ?」
「あはは。幼女と同じ目線で喧嘩しないで」
全くだ。
と、ソコへ電光と稲妻が交差!
生きた電流エレギャーナ出現w
「久しぶりね、ヲタッカーズ…あら?子連れなの?誰かシングルマザーだっけ?」
「何ですって?!」
「まぁまぁ落ち着いて、お姉ちゃん達。ココは任せて」
マリーアンがダッシュ!
悪気はなくて本気で頭をヒネっているエレギャーナの周りを超高速でグルグル走る。
すると、周囲の空気がイオン化し紅く輝いてエレギャーナは"紅い金縛り"状態だ。
「ソレ!稲妻投げよっ!」
「あ、らめぇマリーアントワネット!」
「えっ…ぎゃあん!」
隙を見てマリーアンが仕掛けるが、軽く返され逆に投げられて、地面に叩きつけられる!
「ふふふ。軽量級の悲しさね。しかも、稲妻投げトヤラのお陰でスッカリ充電も出来たわ。じゃ死んで!おチビちゃん」
「危ない!マリーアン!」
「お待ち。オトナ女子の方は私が相手よっ!」
金切り声!
飛び掛かったヲタッカーズが、まるでナギナタで払われたかのようにバタバタと倒れるw
物陰から現れたのは…緑のボディスーツに灰色のマント?そして、顔には骸骨のマスク←
新手のスーパーヒロイン?悪だょ多分←
「コッチも独りじゃないのょ」
「な、何者?」
「私は…アキバンシー。今まで呪われた一族の自分が嫌だったけど、今は呪われて良かったと思ってる」
「貴女…シボヌ?こんなコト、ヤメて。私が助けるわ」
「騙されないで、アキバンシー。ヲタッカーズは私にも同じコトを言ったわ」
「そぅよねっ!もう騙されるモノか。私の返事はコレよっ!」
金切り声!
またまた吹っ飛ばされるヲタッカーズw
呪文も電撃も使うヒマなくヤラれ放し←
「ヲタッカーズが死ねば、私も安心してサリアCEOを殺し、やっと恨みを晴らせるわ」
「アキバンシー、貴女はワラッタのCEO秘書をやってたシボヌょね?ねぇ正気を取り戻して!」
「うるさい!死ね、ヲタッカーズ!」
続く金切り声をヤリ過ごし、マリーアンを抱き正悪が入れ代わった捨て台詞を吐いて退却w
「覚えてなさい」←
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
アキバで落ち込んだ時はチリドックだ。
食欲がなくても、ダイエット中でも、とりあえず、チリドッグを食べなきゃダメなんだ。
あ、もちろん、マチガイダサンドウィッチズのチリドッグに限る。他の店のじゃダメだ。
「ミユリさん、大丈夫?モグモグ」
「未だ、かなーり耳鳴りが酷くて…でも、平気デス。パクパク」
「ホント?とても、そうは見えないな」
「すみません。作戦も立てズに捕まえようとして。まさか仲間がいるなんて」
「スーパーヒロインの宿命だょ。常に不測の事態に備えなきゃならナイ」
「未だ前回の"不機嫌ニウム"の影響が残ってるのカモ。私達は、エアリ以外も全員おかしくなって…恐ろしい間違いを沢山犯しました」
「キツいょね」
「テリィ様の御采配で、ヲタッカーズとしてヲタクの役に立てて、スゴく幸せでした。でも今は、アキバの誰にも必要とされず、虚しくて。また認めてもらおうと焦ってミスをしてしまったわ」
「いつも低空飛行の僕が逝うのも変だけど、焦っちゃダメだょ。今は目の前のコトだけにベストを尽くそう。心配しなくても、いつかアキバはヲタッカーズを許すさ」
「逝い切れますか?」
「許されるコトにかけちゃ経験が豊富だからね」
「ホントですか?解決策は?」
「時間と…マチガイダのチリドッグだ。ヲタッカーズは、スーパーパワーで大抵のコトを解決してる。だから、手に余る問題にぶつかると戸惑う。凹むょね」
「はい」
「ソンな時は、焦っちゃっだめだ。成り行きに任せょう」
「…私、テリィ様に出会えて良かった」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
ワラッタ・ワールドワイド・メディアHQタワー最上階サリアCEOの社長室。
「あ、かけ直すわ。ソレ、もう聞いたから…ねぇ誰か!私が戻ったらマッサージの予約を頼んで。凄腕セラピストを指名してょ!なぜソンな目で見るの?私は平気。怖いモノは何もないわ」
「疑ってません!」
「そう?ソレなら良いわ」
ソコへ突然、全画面にエレギャーナが映るw
またもハッキングか?脱獄直後にTV出演←
「私、エレギャーナのコトは、貴女達は恐れナイのかしら?」
「あら?またウチに特ダネを提供スルために脱獄したの?」
「ちょっと。爪を全部引っこ抜くょ」
「猫系のギャグは飽きたわ」
目の前に出現したエレギャーナに背を見せ部屋を出るサリアCEO。
すると…入れ替わり的な感じで、エレベーターからシボヌが登場。
「あら?シボヌ?元部下2人が手を組んだのね。団結して戦う?労働組合に労使交渉のコツでも聞けば?」
警察を呼ぶボタンに触ろうとして放電を食うダマヤ。
壁に激しく叩きつけられて、同僚に抱き起こされる。
「サリアCEO!アンタと同じ位に耳障りな声を聞く?」
「シボヌ!シボヌ!シボヌ!待てょ止めルンだ」
「邪魔ょ。私はアキバンシー。もうシボヌじゃナイの。離して!」
「力になるよ。僕と元に戻る方法を探そう」
「結構よ。コレが本来の私の姿」
「違うよ。君は平気で他人を傷つけたりしない」
「このママが良いの」
「まぁ良いから聞けょ。君は今、混乱してルンだ。昔、パパの浮気現場を見て傷ついたんだょね。パパに心を入れ替えて欲しかったょね。君は正しい生き方を望んでいる。だから、こんなのはダメだ。シボヌ、頼むょ。僕が力になる」
「ほっといて」
再び金切り声を上げるシボヌ。
耳を塞ぎつつ吹っ飛ぶダマヤ。
そして、サリアは誘拐される。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
ジャドー司令部。
「コレは人間の最高頭脳を結集して作られたジャドーのメカニックだ」
「メカニック…って機械工のコトですょね?」
「う、うん。でも、当時は小学生で…ってソンなコトより!アキバンシーとの決戦用に備えてヤバいモノを作った。ヲタッカーズに使って欲しいンだ」
「タダの耳栓…ですか?」
「良くわかったな」
レイカ司令官が入って来る。
「タイヘン!ワラッタタワーがエレギャーナに襲撃されて、サリアCEOが拉致されたそうょ」
またまた全画面ハッキングでエレギャーナが登場!ジャドーは秘密組織のハズなんだが…
「どうもみなさん。サリアCEOの血を見たくないなら電気街口に来な。でなきゃ、改札が血に染まるょ。あははは」
「テリィ様は司令部にいてください。コレは…私達の戦いです」
「ダメだょ。ヲタクはヲタッカーズのために。ヲタッカーズはヲタクのために。な?ヲタッカーズってアキバの三銃士だろ?」
「テリィ様」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
アキバの電気街口。
飛び交う電光と金切り声、倒れる街灯、逃げ惑うヲタク。
サリアを鎖でベンチに繋ぎ、やりたい放題の悪役タッグ。
「ヲタッカーズは来るかしら?」
「さあね。どっちでも良い。とにかくサリアは拉致った。サリア、アンタに血が通ってるかは微妙だけど今、心臓を止めてやるょ」
「ラズリ、やめて」
「おや?命乞いかい?ガッカリだよ。此の期に及んで何が欲しいの?くだらない賞のしょうもない授賞式でゴマスリ達にチヤホヤされたいの?」
「いいえ。息子のために頼んでる。私はシングルマザーなの。子供から母親を奪わないで」
ヲタッカーズ到着。
同行した僕の感想w
「うわ。エレギャーナにアキバンシーだ!元気?真冬なのに2人とも露出系セクシーなコスチューム、ありがと」←
「ヲタクは引っ込んでろ。ヲタッカーズ、女らしく女同士でカタをつけょう!」
「望むトコロょ!」
金切り声。
人々が耳を抑え、ヲタッカーズも思わずたじろぐが…踏みとどまる。
何しろ地下鉄の中でも通話が出来る特製耳栓だ。高かったゼ、実は。
たじろぐアキバンシーw
「何?お前ら…」
「どう?耳栓が効いてる?」
「はい。テリィ様」
ムーンライトセレナーダーが僕にウィンク。
「アキバンシー、驚いた?それとも声が枯れたの?ノド飴いる?」
「く…金切り声が効かない。エレギャーナ、タッチょ!早くやっつけて!」
「タッチをカットょ!」
赤い線香が悪役タッグの間を駆け抜け分断。
電流となったエレギャーナを追いビル屋上。
「ココは…ラジオセンタービル?」
「遅いわょおチビちゃん」
「良く言うわ」
ラジセンビルの屋上を"紅い線香"が駆け抜けてエレギャーナを翻弄!
が、捕まって放電を食い黒焦げwスク水がプスプス音を立てて大の字w
「楽勝ね。そのママ、ネンネしな幼女ちゃん」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
ヤケのヤンパチで金切り声を上げるアキバンシーに手を焼く内に、マリーアンを片付けたエレギャーナが合流し悪役タッグは絶好調!
と、ソコへ現場上空にマスコミの取材ヘリコプターが飛来し、ハデに爆音を撒き散らすw
「取材ヘリは嫌いなんだよっ!」
かつて、交通情報に左遷され怪人化したエレギャーナが吠え、ヘリに向けて放電!
その時、自らの命も顧みず、ヘリの前にカラダを投げ全身に電流を浴びるエアリw
放電の激しい衝撃をカラダで防ぎ、力尽きてヲタクの前で電気街口の路面に墜落←
ムーンライトセレナーダーとマリレが駆け寄り抱き起こして介抱スルが息がナイw
「様子が変だ!」
「ヘリを守った?」
「しかも、ヘリが墜落して爆発炎上スル大惨事を防いだンだ!」
エアリを介抱するヲタッカーズに電気街口のヲタク達が駆け寄る!
悪役タッグの前に次々立ち塞がって思い切り両手を広げ制止スルw
「もうやめてくれっ!」
「何?お前ら、昨日まではヲタッカーズを吊るし上げてたくせに?急にかばうワケ?」
「ヲタクを命がけで守ってくれた!」
ソレを聞いたエレギャーナが、フンと鼻先で笑って、トドメの電流を放つポーズをとるw
「上等さ。ヲタクは全員まとめて黒焦げだ!」
その瞬間、エレギャーナが激しくショート!
地面へ流れた大電流にアキバンシーも感電w
「ぎゃうああぁああぁああっ!」
「…アキバンシー、アンタまで?ぎゃああ!」
「近づくな!地面に漏電してる!」
何が起きたのか?!
「神田消防ハシゴ1、放水開始!」
「安全確保!急げ!」
「大丈夫か?ヲタッカーズ」
駆け付けたハシゴ車から消防士達が放水をはじめ、取り囲んだヲタク達が歓声をあげる!
今度はエレギャーナとアキバンシーが感電w前回ビル屋上で負傷した消防士の姿も見え…
彼がヲタッカーズに駆け寄り手を差し出す。
「やっと、この前の恩返しが出来たょ」
硬い握手。鳴り止まない拍手。
電気街にいつまでも響き渡る。
第4章 初めて言葉を交わした場所
「秋葉原のヲタクがヲタッカーズと団結したのです。危険を顧みず、ヲタクを救ったヲタッカーズは、秋葉原が誇るスーパーヒロインに返り咲きました。さて、次のニュースは…」
液晶プラズマTVからニュースが流れる。
御屋敷裏の秘密基地に僕とミユリさん。
「アキバンシーとエレギャーナ?シボヌとラズリ?は、結局ジャドーに収監されたの?」
「はい。テリィ様が神田消防を呼んでくださったお陰で、今は万世橋の留置場に収容されてます。テリィ様のおっしゃる通り、何人にも裁きを受ける権利があります」
「…アドバイスは僕の得意技さ」
微笑み合う僕とミユリさん。
彼女の笑顔ってサイコーだ。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
ワラッタ・ワールドワイド・メディアHQタワーのサリアCEOルームをダマヤが訪れる。
「サリアCEO。実は、ヲタッカーズの従姉妹のマリーアントワネットが地元に帰るとかで見送りたいので、少し外出しますが」
「そう?コレからも紅いスク水で楽しく走り回ってと伝えて」
「…マリーアンの正体を御存知で?」
「当然ょ。いつもヲタッカーズと同時に現れるし、ネーミングにもこだわってた。でも、幼女にしちゃ生意気だけど、感じの良い子ょね。ヒロインでなきゃ、宗教の勧誘に向いてるわ。私はね。スーパーヒロインがヲタクを装っていても、すぐ見抜けるの」
鋭い視線でダマヤを見るw
「明日の朝9時から眉毛処理に行きたいの。外出スル前に予約しておいて」
「お任せを」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
真夜中のパーツ通り。
「マリーアン、うまく逝くと思う?」
「私にもわからないわ、ミユリ姉様。でも、エレギャーナ達がタッグを組むのを見て、思いついたの。私達も力を合わせてみたらって」
「マリーアンのスピードと私の電撃を掛け合わせるのね?私がマリーアンの背中を押す感じ?ソレで"リアルの裂け目"が開くかしら…」
人影も皆無な裏通りにたたずむ、ムーンライトセレナーダーと"紅い線香"マリーアン。
コレからマリーアンを"ヒストリー1"に帰す実験を行う。back to the future みたいだ。
「ねぇねぇ。ソレって姉様の電撃と私のスピードとドッチが速いかレースを挑んでるってコトにもなる?」
「あら?そう聞こえた?ウフフ。ついてこられる?"紅い線香"さん」
「かけっこなら負けないわ。ムーンライトセレナーダー」
「了解…寂しくなるね、マリーアン。いいえ、アンマリィ」
「…気づいてたの?姉様」
「YES。貴女はアンマリィ。ソレが本名でしょ?ジャドーのレイカ司令官の大叔母さんで蒸気世界のスーパーヒロイン。実は、タイムトラベラーだったなんて」
「…いつから気づいてたの?」
「あのね。その名前がバレバレなの。私のTOは、何でも逆さま言葉にして喜ぶJAZZミュージシャンなのょ?」
「そっか…あのね、姉様。テリィたんも同じ想いだから」
「え?急に何?」
「テリィたんの焦るなってアドバイスは、ヲタッカーズへの助言であって、姉様にじゃない。両想いのふたりはアクセル全開でスピードアップしなきゃ!」
うなずくムーンライトセレナーダー。
「そうね」
「よし。行こうか」
「位置について…」
「よーい…」
「ドンキホーテ!」
深夜の裏通りに"リアルの裂け目"が開く。
「さよなら、アンマリィ」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
御屋敷裏の秘密基地で僕は待っている。
「テリィ様」
「あ、ミユリさん。マリーアントワネットは"ヒストリー1"に戻れた?」
「多分。そう思います」
僕とミユリさんは同時に話し出してしまう。
「ところで…」
「実は…」
「あ、ミユリさんからどうぞ」
ミユリさんは少し間を置いてから話し出す。
「歴史って、無数にあるそーです」
「無数に?」
「そうみたいです。マリーアントワネットによれば、ですけど」
「彼女が逝ったの?」
「えぇ聞いたでしょ?彼女の説明だと、歴史は無数に存在し、それぞれが異なる周波数の波動を持つので、互いにコンタクトは取れないそうです」
「多元宇宙論の考え方だょね?天文学の最新概念を時間の世界に当てハメてる」
「でも、ですょ?と、逝うコトは…もし無数にある歴史の内、2つが、何とかして、同じ速さの波動を持てば?もしかしたら、2つは一緒になれるカモ」
「ミユリさん?何が逝いたいの?」
「こういうコトです」
そして、彼女は僕にキスをスル。
おしまい
今回は海外ドラマでよくモチーフになる"タイムトラベル"を軸に、別の歴史から来た幼女、幼女と対決する生きた電流と金切り声女子の悪女タッグ、国民的ヲタク、防衛組織の司令官、巨大メディア企業CEOなどが登場しました。
海外ドラマで見かけるNYの都市風景を、第2次コロナ宣言の延長が決まった秋葉原に当てはめて展開しています。
秋葉原を訪れる全ての人類が幸せになりますように。