第2話
「あら?雪斗じゃないの?」
けっこう年をとった、
優しい笑顔のおばさんが言った。
「おー!!田中のばあさんぢゃん!!」
(知り合いなのかな・・・?)
「久しぶりに顔みせたと思ったら!ばあさんとはなんだい!」
その田中さんと言う人は
怒りながらも、嬉しそうに言った
「いやー悪ぃな!最近忙しくてよー」
「ふーん。ところで、そちらの可愛いお嬢さんは?」
びくっ!!!
あたしの事・・・だよね・・・?
挨拶したほーがいいよね!?
「は、初めまして!山川真希華と言います!!」
緊張して声裏返っちゃったよぅ〜・・・
「ははっ、まきか緊張してんのかよー笑」
雪斗が言った。
恥ずかしいよーぅ・・・
「俺の彼女!可愛いだろっ!!」
ちょ、ちょっと!?
なんて紹介をーっ!!!
消えたい…
今すぐ穴にはいりたい…
「あらあら!彼女さん!?」
田中さんはびっくりしていた。
「俺だって彼女くらいできんだよ!笑」
雪斗が自慢していた。
(本当に恥ずかしいです…)
そんなあたしの緊張を消すように、
ドタドタドタ…
『雪斗兄ちゃーーーーん!!!!』
向こうの方から大勢の子ども達が走ってくる
「おぅ!おまえらー!!大きくなったな!!」
雪斗が懐かしそうにそう言った。
「ばあさん!俺、こいつらと遊んでくるから、まきかよろしく!」
(はああああ!?)
ちょ、ちょっと待って!!!
と、言いたいあたしに気付かずに、雪斗は走り去っていった。
(どーしよ!!!)
「あはは、緊張しなくていいよ。」
田中さんは優しい笑顔でそう言ってくれた
「あ、ありがとうございます。」
そう言われても、緊張する…
「こっちにお掛けになって。」
【職員室】
と書かれた部屋に案内された。
「あなた、まきかちゃんだっけ?ここ、田中養護施設の園長の田中です。」
お母さんのような優しい笑顔えをしている…
「あ、園長さんなんですか!」
また声がー…
「ふふ。緊張してるわねー」
その通りです…
「あなたは、ここが雪斗の家だと聞いてびっくりしなかった?」
いきなり田中さんは聞いてきた。
「びっくりしました。でも、なにか訳があるんだろうなあって思いました。」
あたしは素直に答えた
「ここに来た人は大体そういう顔をするわ。笑」
あたしびっくりした顔してたかなあ〜…
「その顔じゃあ、何も聞かされずにここへ来たのね。」
「あ、はい。」
本当に何も聞いてない
そんなあたしに、田中さんは
信じられない事実を言った。
「雪斗の両親はね、
父親は雪斗が1歳にもなっていない時に亡くなって
母親はその後すぐに姿を消したの…」
…!?!?
考えもしていなかった事を聞かされた。
「まだ生まれたての雪斗をこの施設の前に置いて、どこかへ行ってしまったの。」
そんな……
次々に真実を聞かされる
あたしの口は開いたまましまらない
「え、そんな…」
あたしはそれしか言えなかった…
次回もよろしければ見てください。