第一話
読もうと思っていただきありがとうございます!
まだ幼かったあの頃
想い出すと今でも
胸が苦しくなる・・
君は今
どこにいて
何をしてて
誰の隣で笑って
るんだろう。
何度も君を想った
何度も君を嫌った
何度も君を信じた
何度も君を疑った
君が傷ついた分だけ
あたしは傷ついた。
傷ついた心も
時間が過ぎると
痛みは薄れていった
その痛みが薄れて
いく度に
君を想い出したよ。
美しい過去
なんかには
できないだろうけど
君と過ごした日々を
君への想いを、
ちょっとずつでも
いいから
カタチに残そうと
思ったんだ。
「みとれてんなよ変態まきかちゃん♪」
これが初めて
雪斗に会った時に
言われた言葉。
今想い出すと
結構失礼な
奴だったと思う。
毎日毎日くだらない
話ばっかだったけど
それなりに楽しかった。
200X年―5月10日
なんか放課後に
雪斗に呼び出された。
ちょっぴり淡い期待を胸に
緊張しながら
待ち合わせの場所まで
向かったんだ。
「おーい!ここッ」
雪斗が手まねきしてる。
「ごめん、待った?」
なんか彼女みたいな一言〜笑
「全然いーよッ」
「よかった★んで、
話ってなぁに?」
「あー…そのぉ…」
なんかいつもと
話し方が違う気がする。
それから長い沈黙。
いきなり雪斗が話しだした。
「あのさ、俺と付き合って欲しいんだけど…!!」
突然言われた
衝撃の一言だった。
その頃あたしは
雪斗の事を
好きになっていた。
「それって本気?」
好きだったから
疑ってしまった。
「嘘でなんか告んねーよ!」
照れながら
君は言ったんだ。
嬉しかった。
ずっとあたしの
片思いで終わると
思ってたんだ。
「あのさ、あたしも
雪斗が好きだったの・・」
告ってしまった。
「はぁ!?」
と雪斗。
「え!?どうしたの?」
とあたし。
いきなり雪斗が
大声で驚いたから
びっくりした。
「もっと早くいえよ!
俺は、振られるの
覚悟で告ったんだぞ!
心配して損した〜」
「あたしでいいの?」
「お前がいいの!」
2人の気持ちが
通じ合った瞬間だった。
次の日。
「俺、坂口雪斗と!
こいつ、山川真希華は
付き合う事になった!!」
雪斗はクラスのど真ん中で
大声で言った。
「ちょ、ちょっと!何言ってんの!?」
当然あたしは
驚いてあせった。
恥ずかしいに
決まってるじゃん…
クラスのみんなは、
「ひゅーひゅー♪」
「まぢかよー!」
「おめでとうッ♪」
「まきかー!
よかったね★」
「俺もまきかの事
狙ってたのに…涙」
「俺も狙ってたー!」
「失恋だぁぁぁぁ」
「私も坂口君の事
好きだったのにぃ涙」
「お似合いだよッ!!」
みんなが大声で
言うから、
他のクラスにまで
聞こえて、噂となって
広まっていった…
「ねぇねぇ知ってれる?
4組のまきかと坂口
付き合いだした
らしーよぉ!!」
いきなりあたしの耳に
聞こえてきた
言葉だった。
「え?まぢで!?」
「まぢまぢ★」
「坂口やるなぁー」
「あのまきかを
手に入れるなんてねぇ♪」
「まきかって
ちょーモテてるぢゃん!」
……は?
あたしが、モテる?
あたしの何を
見てきたんだろう…
「まきかモテるよねぇ!」
モテませんってば…
「だってめちゃ
イケメン君達に
告られてるもんねぇ☆」
「うらやましぃぃ」
全然だから。
「んまぁ〜まきか
可愛いもんねっ」
…はい?
「性格もいいし!」
えぇ!?みんな
そんな風に思って
たんだ…
あたしは、みんなが
思ってるよぅな
女ぢゃないんだよ…?
でも…!!
確かに雪斗は
かっこいい!!
って、のろけみたいだぁ…笑
「雪斗に似合うよぅな
可愛い子になりたいな〜。」
それが付き合う以前の
あたしの口癖だった。
いつも皆に
「だまればーか笑」
って冷やかされたけどね。
今、雪斗の隣居るのは
あたし。
山川真希華なんだから!!
自信もてっまきか!
なぁんてねッ笑
馬鹿みたいだぁ〜
と、いいつつ
なんか顔が
にやけてしまう。
「おーい!まきかッ」
雪斗があたしに向かって
走ってきた。
「どーしたのぉ〜?」
「あ、あのっまきか!!
おれっ…はぁ、はぁ…俺と一緒に…」
息を切らしてて
何喋ってるか分かんない。
「落ち着いて話してよ〜雪斗」
「あのさ!俺と一緒に
帰らない!?」
「……えぇ!!??」
息を切らして走ってくるまでしても
あたしと帰りたかったんだろぅか?
「うん、帰ろッ★」
もちろん答えは
即答。
「よっしゃぁぁぁ!!!」
いきなりのガッツポーズ。
びっくりしたぁ…笑
「手ぇ寒いねぇ…」
まじで寒かった。
「ん?手ぇ寒いの?
じゃあさ……」
長い沈黙。
「え?続きはぁ?」
やっとあたしが
声を出した。
すると雪斗は、
「手!…でも繋ぎますか!?///」
きゃあぁぁぁぁ!!
雪斗が照れてるッ!?
新鮮すぎて
こっちまで照れちゃう…///
「うん!!」
もちろん即答。
「ほい。」
雪斗の手が差し出される。
「あったかぁい…」
ついつい出てしまう
気持ちいい声。
「ちょ!おまえッ!
こんな所でエロい声なんか出すんぢゃねー!!///」
顔真っ赤にして
叫ぶ雪斗。
なんて…
なんて可愛いんだろぅ。
この時はまだ
あたし達に襲いかかってくる
闇になんて気付かずに
ただ、
自分達の幸せを
感じとっていたんだ・・・
その闇が順調だった2人の
運命を変えるなんて気付かずに…
ピロリロリン♪
あたしの携帯が鳴ってる。
この音はメェルかなッ??
やっぱメェルだぁ★
………………………
0*/05/26 19:31
―――――――――
受信:雪斗
―――――――――
件名:無題
――――――――――
次の日曜日さぁ〜
暇だったら俺ん家に
遊びに来ねぇッ!?
…………………………
えぇぇぇぇ!!??
まさかのお家に
訪問されちゃったんですけど…///!!
恥ずかしぃけどぉ…
………………………
0*/05/26 19:32
―――――――――
送信:まきか
―――――――――
件名:Re:
――――――――――
行きたいなぁッ★
んぢゃあ日曜日の1時に、
М公園で待ち合わせね♪
…………………………
――送信――
ふぅ〜…
メェルなのに
すっごい緊張しちゃった!!
心臓破裂しそぅーッ!!///
家に行くとなったら
可愛い服で決めなきゃ★
よしッ決めたぁ♪
最近買ったお気に入りの
ピンクのワンピにしよぉ〜っと!
自分の部屋で騒いでると、
「うるさいよッ!
もーちょっと静かにしてて!」
ドアの外から聞こえる
お母さんの声。
「はいはーい♪」
機嫌が良かったあたしは
陽気な声で答えた。
5月28日―日曜日―
ついにお家デートの日が
やってきちゃったよ…
服へんぢゃない?
髪と化粧、おかしくない!?
なんて、鏡を見ながら念入りに
確認した。
「よしッ!完ぺき★」
声に出してしまった笑
するとー…
「なにが完ぺきなの?笑」
雪斗がちょっと遅れてやってきた。
「待った?」
心配そぅに聞く雪斗。
「全然ッ!あたしも今来たとこだよ♪」
本当は10分前に来てたけど、
あえて言わない事にした。
「そっか!んじゃ行こ?」
手を繋ぎながら向かった坂口家ー…
「ここ、俺ん家。」
と、雪斗が指差した
その先には…
「養護…施設…?」
ふと表札を見て
口にだしてしまったあたし。
「え、ここが雪斗ん家って…」
当然あたしはびっくり。
そんなあたしの気持ちに気付いたのか、
「そーだよ!ここが俺が
ちっちぇー頃から住んでた
俺ん家だ!笑」
満面の笑顔で、雪斗は言った。
それでちょっと理解した。
(親…いないのかな?
でもあんま聞かない方がいいに決まってるよね!)
と、自分で考えて
「すっごい大きな建物だねーッ!」
と答えた。
「だろ〜笑」
「うん、お風呂とかおっきそう笑」
そんな会話をしていた。
この時、雪斗の本当の気持ちと不安を
あたしは気付かなかったよね?
ねぇ、雪斗…
今さら思うけど、
この時どんな気持ちであたしに言ったの?
どんな気持ちで、あたしをココに
連れてきてくれたの…?
聞きたいことがたくさんあるよ…
「わあ〜!!すっげえ久し振りに
ココ来たんだよな★
なつかしい〜」
と言ってはしゃぎまくっていた雪斗
その姿を見てあたしは、
(でっかい子供がいるよ笑)
と思っていた。
楽しそうに部屋を説明する雪斗は
なんだかとっても
可愛くみえた。
まぢすいません!