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17話 何を言っているかわかるけど解らない

前回までのあらすじ

学校で正体ばれそうになるもそもそも外人だからばれない。

このゲームが実は北欧の小国で行われる陰謀っぽいかんじでおわる。

それから

ゲームのβテストが始まって早1週間が経ったそうだ。

なんでももう王都に来ている人が居るとかなんとか。

多分、8時間全部ゲームしてあちらの世界で2週間程だから頑張ればいけるのかな。

村から王都までの移動だけで6日くらいかかるはずだからある意味すごい執念だ。


そして、今日はアルバイトの日である。

毎日というわけでは無いけれど結構このゲームにも慣れてきた。

ログインしてゲームの世界へと向かう。


「姫様。あまり明るみに出なかったのですがどうも一部で不具合バグ扱いされているものがあります」


「え?そうなの?って何か厄介ごとの予感がするわね」


いつものようにアルバイトの為にログインすると時間を計ったように現れるユークは開口一番にそんな事を云った。

当然だが、嫌な予感しかしない。

不具合レベルの事を「扱いされている」と言っているのだ。

多分、これは動画でそれは「不具合」ではないと言わないといけないのだろう。

でも・・・それで納得させられるのだろうか?


「大丈夫ですよ姫様。ここは泥船に乗って沈んでしまう勢いでがっつり船底に大穴を開けていきましょう!」


「全部沈没してるじゃない!何を言いたいのかさっぱりわからないわ!」


「そーりー。ワターシ。日本語フトクイデースw」


「どう見てもベラペラじゃない!あれ、でも最初のころもそんな話し方してなかった?」


「そうですね。そんなわけで今回は言語の話です。

 この世界には言語は一つのみですので「日本語」や「英語」等の言語の壁は無いのです。

 が、流れ人が入るβテストが始まりまして出てきた不具合が今回の話になりますね」


さらっと突っ込みを無視して不具合の話に入ったユーク。


「それって、英語で話す人と日本語で話す人が居て言葉が通じないとかなの?」


「いえ、そういう訳ではないのですが・・・実際に話していただく方が面白・・じゃない理解しやすいのではないかと」


今、絶対「面白くなる」と言おうとしていた。

やはり、これは何かあると思った方がいいのだろうか。


「一応、このゲームは全世界で1万人の抽選を行っています。

 なので各国からのテストプレイヤーの方がいらっしゃるわけですが、

 実はプレイの制限時間を設けていますので時差がある他国のプレイヤーと会う機会が少ないのです」


なるほどね。

一日の時間が決められていればある程度、国別のログイン時間帯が限られてくる。

仕事や学校等で平日の昼間等にやるような事は無いだろうし。


「でも、そりゃ会うんじゃない?いつかは」


「ええ、そこがちょっと盲点でした。少ないと言うだけで会う事もあるのだと・・・」


で、何かしらの問題が起こっているということなのかな?


「ですので、今日は無理を言っていくつかの国の方に来ていただいています。

 国名は出せませんが色々な国の方ですね。国名は出せませんがね」


何故か国名を出すのを拒否している。

これは振りなのかしらん?


「ひょっとして今日はその人達と話したり?」


「その予定ですね・・・ただ全員と同時に会話するのはさすがにカオス・・・。

 じゃなくって、動画的に難しいので一人づつにしておきました。

 ちなみに、この国の臨時近衛兵になりたいと言ってきた方(身の程知らず)ですね。

 ちょうどいいので面接官として参加をお願いします(全員落としてください)」


ん?なんか副音声が聞こえるきがする。

まぁ今回はお城の談話室での面接となるらしい。

まずは移動する事になった。


相変わらず金色の刺繍が施された赤い絨毯の上を歩いて行く。

そこかしこにある絵画やら壺等の装飾品がある。

そんな廊下を歩いて部屋にへと入っていく。


ローテーブルを挟んで豪華なソファーが並ぶ部屋。

ここは応接室の一つなのだろう。

後を追うようにすぐにメイド達がワゴンを押して入ってくると紅茶とクッキーでローテーブルが彩られた。

そして、そっと手に何か手のひらサイズの重い物が置かれた。


「まずはお一人目の方をお連れします」


そう言うとメイドの一人がそう言うと扉を開く。


「姫様、それは持っているだけでは駄目ですよ。装備なさってください」


手の中の物を見ずにとりあえず簡易コマンドで装備をする。

手にした物を簡単に着脱する事ができる便利機能である。


「失礼します。どうぞこちらです」


そう言うとメイドの一人が最初の人物を連れてくる。

入ってきたのは東洋系の顔の人だった。


「ハイルアルネ(しつれいしますね)」


え?

副音声っぽいのが聞こえるんですけど?

それにこの人絶対中国人じゃないの?

そんな目をソファーの後ろに立つユークに向ける。

すると、分かりましたと言わんばかりに頷く。


「このように異国人であっても言葉が通じます。

 実はこれは自動翻訳ではなく、思考の投影です。

 端的に言えばテレパシーですね」


いや、確かに言葉通じてるけどね。

聞きたかった事じゃないんだよね?


「ワタクシワンイーロンアルネ(私はワン・イーロンと言います)」


「ヨロシュータノミマンガナァ(本日は採用試験と言う事でよろしくお願いします)」


「!」


どっち?え?関西人って外国人なの?

またも振り返り、ユークを見るも。


「姫様。イラっと来たらその装備品をお使いください」


そう言う事じゃない。そうだけど。いや、ユークへのアイコンタクトがまるで通じない。

そんなユークにちょっとイラッと来たので何かわかんないけど使うかと思って握った手を見るとそこにはメリケンサックが装備されていた。

これで殴れと?


「ではそちらのソファーにおかけください」


メイドの一人が席へと促す。

対面の席へと座ったワンさんは大人の男性である。


「マジカデミルトオパーイカイデー!(姫様はとてもお綺麗でいらっしゃる)」


ゴッ!

思いっきり右拳を飛ばしていた。


「ナイスフック!ドエムノワタシハキモチイイ!!(ええ?一体何をするんですか!)」


「申し訳ありません。姫様の限界ですのでこれで退室願います」


「ドボジデ?(え?一体どうして?)」


「あまり姫様は男性が得意ではありませんのでこれ以上同席はさせられないのです」


そう言うと殴られた頬を抑えたちょっと小太りの中国人が連れ去られた。

一体、この部屋のメイドの腕力はどれくらいなのだろうか。


彼が居なくなることで私は我にかえる事になった。


「あれ?私・・・」


「はい、姫様見事なナックルでした」


「というか、おかしいでしょ!あの副音声!言葉通じてるけど通じてないよね?」


「そうです。これが不具合と言われているものですね。

 現行のフルダイブ技術の人間の発する言葉のイメージを伝達する機能があるのですが・・・。

 同時に身体を動かす機能が働くのです。

 その為、動いてしまう喉と舌と口の影響を受けてしまうため混同した言葉になるのです」


「いや、もうそれ不具合でしょう?」


「そう思うのも無理はありませんがこれを一つ進化させると、

 『思っている事が伝わってしまう事』になります」


思っている事が伝わってしまう事。

人として言葉を発して対話している私達にとって思っている事を言っているわけでは無い。

これはつまり、下手に思ってしまうと伝わってしまうと言う事だ。


「そうなると世界はカオスになってしまうのですよ」


「確かに・・・」


例えばちょっと気持ち悪いと思っていた男子でも目の前に居たら「キモ!」とか伝わってしまう。

例えば好きな男子が目の前に居たら「ちゅき!」と伝わって・・・。


簡単に言えば・・・


・・・・軽く世界が終わるね。


「では二人目の方をお連れします」


「え?まだやるの?」


さすがにかなりオナカイッパイなのですが?


「副音声としての慣れが必要になってきますので耐えてください」


耐えるレベルが来るのかぁ。来ちゃうのかぁ。


「ではお次の方どうぞ」


メイドの一人が扉を開くと長身のがっしりした金髪の男性が現れた。


「ハローマイネイムイジマイク・デイビス!(こんにちわ。私の名前はマイク・デイビスです)」


「教科書か!」


思わず叫んでしまった。

これが初めて学んだ英語の教科書の一文だったからだ。


「姫様、どうなさいました?」


「あ、いえ、なんでもないのよ? 大丈夫よ、ええ。まだ平気だから」


コホンと一つ咳をして、入れなおしてもらった紅茶を飲む。

うん、まぁちょっと呆れただけだしね。


「プリンセスナイトフィーヴァーアハン(私も姫の臨時騎士の募集と聞いて思わず立候補してしまいましたよ)」

「ディスイズケーン、ヒーイズマイフレンド(これでも剣の扱いには、自信がありますよ)」

「ハウメニードッグスドゥユーハブ?(そういえばどれほどの数が親衛隊にいるのです?)」


何を言っているのか解るのに解らない。

この矛盾感がものすごい。


「あははは。ごめんもう無理、ユークお願い」


「ですか、まぁアッポーペン等言わないだけまだましかと思いましたが・・・」


「どこの芸人を集めてるのよ!」


すぐに控えているメイドにより彼は連れ去られていく。引きずられて。

はぁとため息をついて紅茶を口に入れる。

その味にちょっとだけ心が


「実は私、最後の方はちょっと期待しています。

 姫様は気に入るかはわかりませんが・・・」


そう言うと先程彼を連れ去ったメイドが戻ってきた。


「では次の方をお連れします」


丁寧なお辞儀をすし扉を開いていく。

そして、そこには銀髪の美少女が立っていた。

メイドがどうぞ、と招き入れるのを見ていた。

今更だけど、このゲームをするのは女の子も含まれるんだったなぁと思ってしまった。

評価、ブックマークありがとうございます。


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