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さぁ、未来に続く終焉を始めよう

リライズ……(流石にフルネームは出せませんがある作品の最終回に情緒を木っ端微塵にされた愚かな物書きの魂をインクにした書き殴りです)(時系列とかそういうの全く考えてないのである種のifっていうかいわゆるイベント時空だと思っていただければ)


株式会社「ブラックドール」。男にとっては古巣であり……それと同時に、生まれ故郷とはまた異なる「故郷」として今なお忘れ難い思い出の詰まった場所。


「おう哀川! 久しぶりだな!」


「お久しぶりッス社長」


少々肉付きの良すぎる男は、年中通して手放せないハンカチで額の汗を拭きながら()ブラックドール社のエントランスを訪れていた。

と、そんな彼にエントランスのど真ん中で仁王立ちしていた壮年の男性が快活な笑みを浮かべて男を迎え入れる。


「いやぁ心はいつでもブラックドールの社員スけど肉体的には所属違うのに誘ってくれたのはマジ感謝です」


「ワハハ! ネフホロ2をリリースする前の最後の祭りだ! 呼んでやらなきゃ「メイキー」の恩を返せんからな!!」


肥満気味の男性の名は哀川(あいかわ) (こう)。現在はユートピア社が覇権の称号と共に運営するシャングリラ・フロンティアにおいて一角の地位にいる男だ。

それを迎え入れたのは株式会社ブラックドール社長津軽(つがる) 重都しげと。一ヶ月前に五十五歳の誕生日を迎えつつも、今なおクルミを握り割る一発芸を十八番とするおよそゲーム会社の社長とは思えないマッシブシニアである。


「で、社長。メイキーちゃんの調子はどうですか?」


「どうもこうもあるか! バカ共が四徹してウチの全データを叩き込んだせいで俺達よりウチの気風に詳しくなっちまった」


「流石のバカ軍団ッスね」


かつてのブラックドール社は六階建ての大きいと言えば大きいがビルと呼ぶには少々小柄な会社であった。だが数年前、哀川がとある女性からスカウトを受け、その上で提示された「条件」によって僅か二年で新造された新ブラックドール社は……控えめに言って、高層と呼んで差し支えないほどの「大柄」なビルとなっていた。


「しっかし、俺も五十と五年生きてきたが、いきなりンなビルの所有者になるたぁ思わなかったぜ」


「働いて分かりましたけど、あの人(・・・)なんか色々価値観がおかしいッスからね……」


たった一人を引き抜くために高層ビルの建造を「条件」にする人間が世界のどこにいるというのか。そしてそれを容易く実現できる、という純然たる事実がなによりも信じ難い。


だが事実として恐ろしく多岐に渡る特許の数々を保有し、会社の地下に籠もって古臭いPCを弄っているだけで哀川の生涯収入の数万倍の金銭を懐に収めているあの女性であればビルの一つや二つ……いいや、「超高層サーバー搭載ビルディング」の六つや七つ(・・・・・)を建てる事など、それなりの手間ではあっても決して不可能ではないのだろう。


「……まぁそれはどうでもいいんですよ、俺らみたいな一般クリエイターが踏み込む世界じゃねぇです。で、本題ですよ本題」


「おう、今回はメイキーの試運転も兼ねて「BLACK DOLL」と旧サーバーを直結させる……つまり、」


「SFサーバーのパワーでネフホロを拡張できる……! オイオイマジかよこんなん終盤特有の旧型の初代主役機に新型の装備を無理やり装備させる展開そのものじゃねぇか……!!」


「行ってこいよ鋼、もうバカ共はお前を待ちわび過ぎてそろそろキレてるぜ」


「ひゃっほう野郎共! 世界を燃やすような祭りにしようぜ!!!!」


その数日後、とあるパッチノートが発表される事になる……










深夜二時


「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!!!!!!」


ガタァンッ!!!!(窓ガラスにヒビが入る程の膂力で窓を開く音)


「っっっっ!!!!」


バギョッッ!!!(少し手を伸ばせば届くほど近い隣家の窓ガラスにヒビが入るほどの膂力で隣家の窓をノックする音)


「な、何!? 何!!?」


「夏蓮どうしたの!?」


深夜二時に響く狂ったような叫びに、何事かと別室で就寝していた少女の両親と、隣家で寝ていた大柄な少年が飛び起きる。

そんな中、少年と比べると大人と子供かと見間違えるほどに小柄な少女は、ガラスに亀裂を走らせた拳を握り締めながら、赤く充血した眼が眼窩からこぼれ落ちそうな程に眼を見開いてただ一言呟く。


「……祭り」


「「は?」」


両親も、幼なじみの少年も怪訝な顔をする中……佐備(さび) 夏蓮(かれん)は涎を垂らさんばかりの笑みを浮かべて狂喜乱舞の根本となった理由を高らかに叫ぶ。


「ネフホロファイナルイベント!! (よう)、今からログイ……」


「今何時だと思ってるのお馬鹿っっっ!!!!」


「んぎょっ!!」


少女の脳天に、あらゆる感情が怒りと膂力に変換された少女の母渾身の鉄拳が叩き落とされた。




古戦場?並行じゃいっっっっっ!!!!!

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― 新着の感想 ―
[一言] リライズの作品テンションは二次関数みたいな爆上がりするから仕方ない
[一言] ルストとモルド、並んで歩いてたら通報されない?
[良い点] 短いけど面白い。 [気になる点] 深夜発表はメインユーザーが北米市場だからとか。 鉄の騎兵が戦うゲームの実働ユーザーはそんなんだったっけかなあ。 [一言] 本編更新と古戦場やApexなどの…
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