定期的な発作を鎮めるためのモンスター解説 王鯱編
本編しか読んでない人には内緒だよ(フライング開示)
あとがきに理由は書いてありますがこいつが登場するのもう少し先になりそうなのでフライング公開してもいいんじゃねという悪魔の誘惑に負けました
アトランティクス・レプノルカ
深海に存在するあらゆる「生命体」の中で最強クラスのモンスター。アルクトゥス・レガレクスすらをも捕食する生態系ピラミッドの頂点。
身体の上半分が燃えている水晶で出来た翼が生えたシャチ、としか形容できない姿をしている。その正体は「精霊」に限りなく近づいた生物、という分類の難しいものである。そも精霊とは物質的な肉体を持たない魔力生命体、その中でも特定属性の魔力で構成された存在であるが、アトランティクス・レプノルカは生物のまま肉体の上半分が膨大な魔力に耐え切れず魔力の塊と化している。
アトランティクス・レプノルカの「核」によって固定されている魔力体であるが、通常の生物の肉体が老廃物を排出するようにアトランティクス・レプノルカは余剰魔力を海水へと排出する。炎のようにゆらめいて見える魔力体は常に余剰魔力を海水中へと排出しているためである。
この排出された魔力は海水内に存在するプランクトンを活性化させるため、アトランティクス・レプノルカが通過した後には豊富なプランクトンが大量に発生することになる。それを求めて数多の魚類が群がり、さらにその魚類を狙う捕食者が集まるためアトランティクス・レプノルカの通った道に配下が続くようにも見える様子からアトランティクス・レプノルカは魚人族達から「王」の象徴とされている。
アイパッチのように見える部位は結晶化した頭蓋骨の一部であり、通常の鯱でいう脳が存在する位置にある「核」から放つ魔力を体内で乱反射させ、体外へと照射する際に一点へ収束させるレンズの役割を果たす。結晶化した、とは言うが通常時は暗い藍色の宝石のような材質であり、多重層構造であるアイパッチレンズは極めて明度の高い光しか透過しない。
胸鰭や背鰭、尾鰭から生えた結晶体は厳密には鉱物ではなく、「触手」として機能していた皮膚や筋肉、骨が透明化するほどに圧縮、純化されたものである。元々はアトランティクス・レプノルカが今の姿になる以前に備えていた翼状の鰭の先端の触手がなんらかの要因で圧縮と純化の果てに結晶体に近しい状態へと進化したものと推測される。
この結晶体は頭部のアイパッチ状の結晶体とは別の構成物質によって形成されており、戦闘時には自身の魔力を充填することで雷撃状に変質した魔力を放電する。その硬度は武器などに用いられる鉱石にも匹敵し、単純な武器としても極めて大きな威力を発揮する。雷と同じ性質を持つため、仮に水中でアトランティクス・レプノルカと相対したならば、アトランティクス・レプノルカを中心に半径50mが放電による「致死圏内」である。
アトランティクス・レプノルカは深海における最上位捕食者であり、自らの魔力で活性化したプランクトンに誘引された魚類や、それを狙う捕食者を主な食料とする。「核」を振動、明滅させることで同種族同士でコミュニケーションを取ることが可能なのだがアトランティクス・レプノルカという種族自体が極めて好戦的なモンスターであるため、高い知能は狩りか決闘以外に用いられることは稀。竜種すらをも凌駕する海の王であり、アトランティクス・レプノルカに一対一で勝利できる存在は片手で数えてなお指が余る程度にしか存在しない。
魚人族からは古くより王権の象徴、民を統べる者の証としてアトランティクス・レプノルカの鰭水晶を用いた王冠と、実体を持つ下顎の牙から削りだした三叉槍を魚人族の長の証としている。基本的に「狩り」の場合は栄養分の高い魚類を優先して狙うため、意外なことに触ることができるほどに近づいても安全であったりする(なお放電は考慮しないものとする)。
ただし「決闘」の標的として定められた場合、文字どおりどちらかが完全なる勝利を獲得するまで止まることはなく、アトランティクス・レプノルカ同士の戦いは海底の地形を歪め、海底火山を活発化させるほどの被害を撒き散らす。地上に浮上することは絶無と言っていいほどなく、万が一、億が一にもこのモンスターとの決闘を望む者がいたならば、海の上ではなく下へと向かわねばならないだろう。
ちなみにギガリュウグウノツカイはこいつの数倍身体が長いがそれでも大体五分で晩御飯にされる。
こう、文章で特徴を描写しても「違う! こう、表現が……違う!」とキレる自分が心の中にいまして……じゃあイメージを出力すればいいじゃない! とガイアが俺に囁いたので生まれて初めて挿絵機能を使いました
水晶群蠍や金晶独蠍にも挑戦したんですがその、画力がね……?




