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デモ版ネフィリムホロウ2

ただでさえ時間も足りないしメタグロスにも進化出来てないのにシャンフロと並列して更新なぞ出来るはずもなく。

年表とか考え出して設定が宇宙規模になった時点で「あ、これ無理だわ」と悟ったので供養。皆様の感想を念仏代わりにしたく………こう、P.T.的な感じで行きましょう

「はっ……はっ……はっ……」


荒い息を吐いて、少女は形骸化したビルの中に蹲っていた。


「ふぅっ……ふぅっ……げほっ、むぐっ」


塵混じりの空気が少女の味蕾に不快感をもたらす。それは乾いていて、何より滅んだもの特有のえぐみを含んでいた。思わず咳き込んだ口から出た空気を左手で喉の奥へと押し込み、抱きしめていた若い少女とは恐ろしく不釣り合いな銃器をさらに強く身体に押し付ける。


「ふっ………ふっ………」


息を整え、潜める。気づかれないように、見つからないように。そうすれば聞こえてくるだろう、痛い程に早鐘を打っていた心音が和らいだことで、少女を内側からではなく外部から揺らす振動が。


「Aaaaaaaaa……」


「っ!」


呻くような、歌うような、軋むような。そのいずれにも該当しているようでその逆のような……薄っぺらな感情を演じているかのような、ビルごと少女を揺らす程の足音(・・)と共に放たれる声が塵だらけの空気を震わせる。


「あと、二つ……」


サイズの合っていないジャケット、ロゴが擦れて何をその背に刻んでいたのかも分からないボロのポケットを弄れば、円筒に吸盤をくっつけた奇妙な装置が二つだけ転がり出る。

本当は肩から吊るしていたショルダーバッグの中にもっと多くあったはずだった、だがそれはここに至るまでに消費と喪失によって数を損ない……残ったのはこの二つだけだった。


「………」


少女の脳裏にサレンダーの文字が浮かぶ。だがすぐさまそれは掻き消され、半ば自暴自棄な色を含んだ覚悟で瞳を光らせる。


「足首を狙って、体勢を崩せば……!」


「Aaa?」


「っ!」


気取られた。

少女の全身を悪寒が駆け巡り、恐怖に硬直した筋肉を怒りにも似た叱咤で無理矢理動かしてその場から跳ねるように逃げ出す。


「LaaaaaaaAA……!!」


次の瞬間、元は清潔な印象を抱くよう塗装されていたのだろう、今は穴だらけの壁が外側からの圧で粉砕され、のっぺりとした球体関節によって繋がれたあまりに巨大な「指」が箱の中に残ったチョコレートでもほじくり出すかの如く無遠慮に少女へと迫る。


「今なら……!!」


だが少女が選んだルートは指から離れるための逃走ではなく、敢えて指へ……その「手」が入り込んできた方へと駆け出した。

小柄な体躯を最大限に活かして指の隙間を潜り抜けた少女は、ビルの外と中とを隔てる役割を果たせなくなったビルの壁があった場所にまで到達し………


「Aaaa?」


「ひうっ」


ギョロリと、少女の身体をすっぽり包んでしまえそうな程に巨大な「眼球」と、超至近距離で視線を交わした。


「あ、ぁ……う……」


喉が干上がる、身体の震えが次第に激しくなる。

それは生き物ではない、少女は知る由もないがありとあらゆる非道が許容されそして天から降り注いだ災厄によって滅び去ったかつての文明ですら、巨人を生み出すことなど出来なかったのだから。


であれば少女の姿を眼球に捉え、ギヂギヂと硬質な口腔を開いたそれはなんなのか。


かつてそれは「資源」と見做された。


かつてそれは「道具」と使い潰された。


かつてそれは「福音」と崇められた。


それらは共通してこう呼ばれていた。天から堕ちてきた巨人、人ならざれどあるいは人と共に在って交わりしモノ達………


「大人しく、してもらう……!!」


ネフィリムと。












「っ!!!」


「LuuuaAA?」


金属とも違う奇妙な質感の「口」を開き、岩すら砂利にしてしまうミキサーの如き喉を見せつけながらゆっくりと顔をビルへと近づけていたネフィリムは、少女の姿を見失った事を認識してギョロギョロと視線を揺らす。


「首、筋……!!」


きゅぷんっ! と気の抜けた音を立ててネフィリムの首筋に先ほどの奇妙な道具(ガジェット)……吸着式中距離起動爆弾「(ヒル)」が吸着する。


「距離、を……!」


左首筋から左肩へ、少女が交戦する前から既に破壊され喪失されていた左腕の付け根から腰を伝って滑るように降りていく。


「AiiiiiAAA!!」


「あ……うぎゃうっ!?」


だが己に張り付いたそれに不快感を示したのか、少女のような矮小な存在であっても加減なく対処したのか、ネフィリムが大きく身体を揺らした事で腰まで降りていた少女の四肢はいとも容易く降下の支えから離れてしまう。

わずかな浮遊感、そして背中から地面に叩きつけられた衝撃に、肺から空気の全てを圧し出された事で出た掠れた悲鳴とは対照的に華奢な少女の身体は絶叫をあげる。


「あ、か、ひゅ、ひぅ……?」


少女の思考が、視界が、感覚があますところなくスパークする。まるで意識が身体からベリベリと剥がされるような激痛と虚脱感、息を吸い込もうにも肺が膨らまない。

全身が痛む、出血するような鋭い傷ではなく全身をゆっくりと痛みに漬け込んでいくかのような耐え難い苦痛。


思考は漂白され、一瞬とはいえ記憶が飛び………しかし、先程恐怖に震える本能を理性が叱りつけたというのならば、今度は停止した理性を本能が動かした。


「あ、ぐ、か……ひ、ぃ」


じたばたと溺れているように脚を滅茶苦茶にばたつかせながら、砂に頬をこすりつけつつもかろうじてその場から逃げ延びる。直後、うつ伏せの少女のすぐ隣にネフィリムの巨大な足が振り落とされた。


「───ひゅ」


理性も、本能も、その全てが恐怖と絶望で停止する。内蔵の全てが収縮するかのような恐ろしさを受けて失禁しなかったのは奇跡に近いだろう。

少女が恐る恐る視線を向ければ、ネフィリムの脚に隠されて見えなくなった己の右腕………


「あ、あぁ……え?」


だが少女は気づいた、己の腕は潰れてもいなければ千切れてもいないのだと。

それはネフィリムという巨大な人形(ヒトガタ)が人類のそれとは若干異なる形の足をしていたことであったり、少女自身が栄養を欠いた平均以下の健康状態(瘦せぎす)であったり……地面とネフィリムの足との間に出来た僅かな隙間が少女の右腕を救っていた。


「っ!!!」


であれば、消えかけた闘志が再び燃え上がる。今のご時世では鼠よりも希少存在となってしまった芋虫が這うような動きでポケットから「蛭」を取り出した少女は、渾身の力でそれをネフィリムの左足首に叩きつけた。


「う、ぐ……」


ひゅ、ひゅ、と吐き出す息が荒く不穏だが、それでも立ち上がった少女はよろめきながらも必死にネフィリムから距離を取る。


「………!!」


SMG(サブマシンガン)、打ち棄てられ放置されていた中で奇跡的にその役割を十一発だけ果たすことが出来た銃器を構え、手に入れた時に試し撃ちで使った三発を引いて残る八発を躊躇いなくネフィリムへと撃ち込んだ。

当然、瘦せぎすで死にかけの少女がサブマシンガンの狙いをつけられる筈もなく。デタラメにばら撒かれた弾丸は幸運にも二発だけネフィリムへと命中するも、その外殻を一切傷つけることはなくほんの少しだけ跡を残すだけで終わる。


だが、元より豆鉄砲でネフィリムを倒せるなどという甘い夢を見るほど少女は楽観的ではない。

ネフィリムは二腕二脚、ホモ・サピエンスに非常によく似た形状をしている。つまり移動するためには二つの脚に何もかもを依存しているという事だ。


「吹き、飛べ……っ!」


「Aaaaarrrrrr?」


サブマシンガンを放り捨て、絞り出すように呟いた少女は「蛭」を起爆するスイッチを押す。

「蛭」は企業(・・)によって正規製造された遠隔起動爆弾「蜘蛛」のダウングレード、低品質な模造品である。それ故に遠隔起動はスイッチから最も近いものから起爆し、さらに一つ一つにつきスイッチを押し直さなければならない。


だからこそ、起爆したのは後に設置した足首の方だ。元からダメージを受けていた巨人は片方のみを襲う衝撃に耐えきれずバランスを崩す。


「……っ、これで!」


もう一度スイッチを押す、二度目の爆発は最初に設置した「蛭」……即ちネフィリムの首筋で炸裂。元より損傷の多い状態、不安定な体勢で首に食らった一撃。


「Aa、aaaaaa………」


ぐるん、とネフィリムの眼球がひっくり返るように回り、その全身が地面に叩きつけられる。砂煙が舞い、その身体が動きを止める……


「げほっ、げほっ! ごほっ!!」


爆風にぶつかり、振動に足を取られた少女はズタボロの身体をそれでも立ち上がらせる。むせ返りながらもゆっくりとネフィリムへと近づき……プラスチックともゴムとも言えない表面へと縋り付くように全身を触れさせる。


「……………てよ、」


今、己が打ち倒したネフィリムへ祈るように、懇願するように、少女は鉄の味混じりの声で叫ぶ。


私を(・・)乗せてよ(・・・・)……!!」


その時だった。


『そこの君っ、危ないから離れて!』


地を揺らす衝撃、少女が倒したネフィリムは未だ動いていない。であれば振動を起こした者は少女がしがみついているネフィリムとは別の、巨躯を持つ者という事だ。


『開眼個体……左腕がないって事は標的で間違いはない、か』


少女が振り返れば、やはりというかそこにいたのはネフィリムであった。だが少女が命がけで戦ったネフィリムとは大きく異なる点があった。


『パイロット「モルド」、人類種少女を能動的に避難させることを提案します』


『そうだね「ヘッズ」……あー、その巨人はとても危険なんだ。今すぐ離れ……』


「……渡さない」


『───え?』


少女は、両手を大きく広げて立ち塞がっていた。あたかも己が倒したネフィリムを、武装した(着飾った)ネフィリムから守るかのように。


「これは、私の……私の、ネフィリム、だっ!!」


『え、は? いやどういう……危ない!!!』


「え?」


振り向けば、そこには無機質な「瞳」で少女を凝視し、四肢を蠢かせて距離を詰め、大きく口を開けたネフィリムの姿が──────


「あ…………」


『ヘッズ!!!』


了解(ラジャー)


着飾ったネフィリムが怪物(ネフィリム)をその二つの目でしかと睨みつけて(・・・・・)無骨な銃口を突きつけ、撃った。

少女は知る由もないが、正規の規格として製造された15センチ口径対ネフィリム用徹()弾は空を切り裂いて少女を食らわんと襲いかかるネフィリムの頭部を串刺しに貫く。


「げふっ!!」


至近距離を凄まじい速度で通過した杭の余波は少女の身体を容易く吹き飛ばし、宙を舞った小さな身体は地面に………


『対象の「死」を回避するには、これしかありませんでした。パイロット・モルド、迅速な処置が必要です』


『見れば分かるよぉぉ!!』


再び全身を潰すかのような衝撃、そこで少女の世界は暗闇に染まった。










─────────


──────


───


始まりのネフィリム「グリゴリ」が再び地に堕ちてどれ程の時が過ぎたのか。

人類は否が応でも巨人(ネフィリム)と共存せざるを得ず、そして人類は巨人の秘密を知った。


この荒廃した世界で唯一の「法」を敷く「企業(カンパニー)」の細い繋がりでかろうじて縫いとめられたこの地球(世界)で、一人の少女が当たり前の幸せを掴むまでの物語である。


盛大に、何も、始まらない!!


「本編のゲームとしてではなくそういう世界での物語」としてスターシステム的な感じでキャラの設定コンバートしたけど、何も、始まらない!!



安らかに眠れ……南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏……

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― 新着の感想 ―
[良い点] こういうif物良いね 惜しむらくはシャンフロ内で出てくるゲーム、クソゲーが多すぎて死ぬの前提見たいなとこあるからこういうの他でできないって言う 強いて言うなら大統領?
[気になる点] えっと、つまりこの少女がルストなのね?
[一言] 福音...巨大ロボット......はっ!まさか....エv(記録はここで途切れている)
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